
さいたま新都心・アルピーノ村内にあるギャラリー樟楠(くすくす)において、県内で活躍する陶作家の作品を紹介する「さいたまの陶を巡る冒険」が3/14〜29の期間で開催される。
身近な作家を知ってー開催の狙い
焼物不毛の地ではあれど
益子の陶器市や笠間など陶の産地を訪れる人が埼玉県内にも多いことだろう。
こと埼玉は焼物に合う粘土が出にくいなど「焼物不毛の地」とも言われている。
しかしそのような中でも地元の木を焼いた灰を使って釉薬を作ったり、少しでも埼玉らしい焼物をと日々鍛錬を重ねている作家も数多く活動している。
自分たちが暮らす身近にも素敵な作家がいることにはなかなか気づきづらい。それでも地域の作家やその作品を知ることにより、モノ作りに興味のある若い人達の後押しになる。加えて地元での発表の機会が増えるようにもなろう。
そのような狙いから開催されるのが同展だ。
芸術祭にも対応
2015年以来5年ぶりの開催となった同展。
開催初日となる3/14はさいたま国際芸術祭2020の本来の初日でもある。(新型コロナウイルスの影響で、同芸術祭の開催は3/28からに順延)
同芸術祭のテーマ「花・flower」に合わせて、各作家は花器や植木鉢などの草木花に関連した作品も出品する予定だ。
県内16作家の作品を紹介
約2週間にわたって開催される同展には、さいたま市を中心に埼玉県内に暮らし工房を構え、制作・展示・陶芸教室などを主宰している16名の陶作家が腕によりをかけて製作した作品を出品する。
伝統から独特な世界観ー勝村顕飛氏
16名の作家のうち一部を簡単に紹介する。
さいたま市内を拠点に活動する勝村顕飛(あきと)氏は、伝統的な模様や文字を取り入れながら和とも洋ともとれない独特な世界観が持ち味だ。
器や食器として使用するだけでなく、あるだけで空間を変化させることができる力があるという信念のもと作られる作品は、陶芸財団展などでも多数入選を果たしている。
植える楽しみーセキグチタカヒト氏
鴻巣市で陶工房SORAHI主催するセキグチタカヒト氏は、デザイン性とアドリブを生かした植木鉢の制作が持ち味。
大学在籍中から様々な陶芸作品を制作する中で、使うための器をコンセプトに、器を使う人や場所に思いを馳せた器を制作している。
自身の作品を通じて、鉢植物を植えて愛でる楽しみを訴求する。
有田から自己流へー原村俊之氏
日高市で活躍する原村俊之氏は、佐賀県有田で磁器制作を学び独立し、2020製陶所という屋号で活動している。
有田で学んだことを生かしつつ、オリジナリティに溢れた器づくりを展開する同氏。「用の美」に強く共感されたという器はシンプルで凛としたデザインが魅力的で、あるだけで食卓が彩られる。
器に描かれる染付は同氏夫人が担当している。
このほか、同展に合わせてオケヤファームによる三富野菜販売なども予定されている。同展期間中は作家在廊日もあり、会話や人と人の繋がりが増えてくれると嬉しいと同ギャラリー。
イベント紹介
◇さいたまの陶を巡る冒険
- 開催日:2020/3/14(土)〜3/29(日)
- 開催時間:11:00〜18:00(最終日〜16:00)
- 定休日:火曜日・水曜日
- 開催場所:埼玉県さいたま市大宮区北袋町1-147 ギャラリー樟楠
- 問い合わせ:048-641-9156