伝統や誇りは消えず 大宮・清水園本店が3/26で一時休業へ

武蔵一宮氷川神社参道近くの老舗結婚式場・清水園(さいたま市大宮区東町、清水志摩子代表取締役社長)の本店が、移転に伴い3/26(日)で一時休業となる。

顧客だけでなく従業員の間でも一時休業を寂しく思う声が上がるが、新たな事業展開にも期待がかかる。

大衆会場へのターニングポイント

同社は明治時代に創業し今年で152年目を迎え、現在の清水社長は6代目。

2代目より割烹旅館として現在の地に店舗を構えていたが、同社長の夫で先代の清水猛社長時代の1980年代に現在の本店が完成。旅館から結婚式などを行う大衆会場へのターニングポイントとして建設された経緯がある。

氷川神社にゆかりがあることから同社を奉斎した神前会場をはじめ、太陽光の刺すチャペルや大人数を収容できる宴会場や和室など、幅広い利用ニーズに対応。結婚式や宴会に式典など、多く使われてきた。

しかし、築40年以上を迎え老朽化に伴うリニューアルの必要性から同本店を閉鎖。参道近くの旧駐車場に移転することとなった。

顧客にも従業員にも寂しさ

本店の一時休業に際して、「この建物での最後に」と結婚式などの依頼も増えてきていると同社。本店で結婚式を挙げたり宴会で利用したという顧客も多いが、そうした顧客が思い出作りに写真を撮りに来ることも多いという。

顧客だけでなく、「清水夫妻の象徴」と従業員にとっても現在の本店での営業終了に寂しさを表す声もある。多くの花嫁の髪型を整えてきた5階美容室の美容師も「悲しくなっちゃう」と話した。4階の写真室スタッフも「家にいるよりここにいる時間の方が長い」と語っただけに、その寂しさは大きいようだ。

「現役を退いた元従業員が惜別に本店を訪れることも多い」と同社。

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和モダンな店舗に

本店は氷川参道横の旧駐車場に来年移転する予定。移転計画自体はコロナ禍前からあったという。

新本店は参道文化の中の清水園として、和モダンな外装となる予定。敷地面積はやや小さくなるも、式披露宴やレストランと現在の本店と変わらない規模になる。ブライダルやマーケットスタッフの意見も取り入れつつ、建築計画に反映。「若手の感性がいろいろ反映されている」と同社。今年5月から新本店でのブライダル受付を始める予定だという。

同社を60年以上前から知る古参従業員も「駅に近くなるから若い人に使って欲しい」と期待。

「参道に面したところに店舗を構えたい」というのは先代の思いだからこそ、「参道を盛り上げる拠点になれば」と清水社長。

営業は継続、新規出店も

本店閉鎖・移転に伴い同社従業員もその準備に従事しているが、本店閉鎖後も氷川神社協力のもと呉竹荘や社務所の一部で結婚式や宴会も行われる。

また大宮駅東口近くにレストランも出店予定で、同社にしかできない料理を提供予定。同社によるレストラン出店は久しぶりというが、新規事業開拓に期待がかかる。

ブライダルやセレモニーと、それを演出する人財は同社にとって宝といえ、顧客から覚えられることも多いなど顧客満足の源泉にもなっている。「清水園は人が良い」と現場の従業員もその感触を得ている。企業としての伝統や誇りを維持していくためにも、「従業員も守ることも大きな使命」と清水社長。

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「埼玉一、それ以上に」

親子三代で結婚式を行った顧客もいるなど、地域住民に長く愛されている同社だからこそその歴史を途絶えさせるわけにはいかないと使命に燃える。

本店の移転にあたっては従業員の採用も強化し、今以上に若手を中心に多くの人財を取り入れるという。同社従業員も地域在住者が多く、雇用創出という面でも同社の役割は非常に大きい。

「若い社員と今までいる社員が一体になって、埼玉一、それ以上のお店に」と清水社長

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