【埼事記 2023/4/9】統一地方選挙投開票日 社会の成員として当事者意識を

■「今や社会そのもの、さらには社会活動、社会問題のすべてがあまりに複雑である。唯一の『正しい答え』があらゆる問題に通用するはずがない。答えは複数ある。そのうちかなり正しいといえるものさえない」

20世紀を代表する経営学者ピーター・ドラッカー(1909〜2005)の言葉だ。

20世紀の社会原理を成した巨大企業に着目して、組織のマネジメントに関して経営学や社会学からアプローチした。「未来学者」と呼ばれることもあるが、戦争が落ち着き資本主義が発展する中において社会の複雑さは強く実感していた。

複雑な社会ゆえ、すべての課題を解決する術というのはないという。それでも、ただ手をこまねいている訳にもいかないのだ。

■本日4/9は、コロナ禍に入って以来初となる埼玉県議会議員選挙およびさいたま市議会議員選挙を含む統一地方選挙前半戦の投開票日だ。

期日前投票もなされてきたが、こと県議選は投票率が低い・無投票の選挙区も発生するなど有権者にとっていまいち関心度が低いようだ。一方で、区ごとの議員定数見直しが行われたさいたま市議選は新人候補も多数立候補し、各区で激戦が繰り広げられている。

市役所の移転問題も一定の収束を見せた中で、ことさいたま市内においては同市議選への注目度が高いと見える。

県内でも後半戦となる4/23(日)投開票で白岡市長選挙など一部自治体の首長・議会議員選挙が控えているが、県議選や同市議選の結果が後半戦に影響を与える可能性も無視できない。

■統一地方選挙について街からは「自分が子育てをするようになってから子育て支援に興味を持つようになった」といった声がよく聞かれる。子育て然り介護然り教育然り医療然り、個人のライフステージや普段身を置いている状況などに応じてこうした側面における問題点を意識するようだ。

いくら複雑な構造の脳をしていても、一人の人間が興味を持てることは限られている。一つの道を極めるというのも確かに有効な選択肢だ。

それでも社会というのも同じく複雑だ。いつもどこかで何かしらの問題が起きているわけだし、一つの問題が解決することでまた別の問題も起きうる。やっとコロナが落ち着いたかと思ったら、今度は空前の物価高。我々も予期すらできなかったことだ。

各位の興味関心の優先ももっともだが、眼中にない側面というのもしっかり目をつけていかないと全体最適にはならないのだろう。そのためにも、興味関心だけでなく社会の成員たる有権者として社会そのものに当事者意識を持たねばならない。

■冒頭のドラッカーの言葉にあるように、全ての社会問題を解決する唯一無二の「正しい答え」があるわけではない。

しかし、それに近いものとしたらやはり1票を投じることではないだろうか。

票を通じて選ばれた議員が、社会問題の解決に必要不可欠な行政予算や権限を監視し調整する。市民活動として展開していくことも有効だが、やはり行政が動くことが抜本的な解決や社会構造改善には必要だ。自ら立候補することも考えられるが、社会への当事者意識を発揮する第一歩として1票を投じることは大きな意義があるといえる。

■「判断に迷った時は、より大きな集団の利益を優先することだ。自分よりも仲間たち。仲間たちよりも社会全体。そうすれば判断を間違うことはないだろう」

アドラー心理学を創始した心理学者アルフレッド・アドラー(1870〜1937)の言葉だ。

近年では無党派層の増加や選挙への関心低下でどの候補に票を入れるか決めかねている者も少なくなかろう。原則は社会そのものに当事者意識を持つこと。そのためにも、多くの者に利益をもたらすと考えられる候補者に1票を託した方が良かろう。

久々に説教くさい社説となったが、やはり1票を投じてこその有権者だ。自身の思いをその1票に込め、明日を創っていこう。

 

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