(写真出展: 東京新聞)

2010年代前半から、メディアにもその存在を知られるようになった「こども食堂」。2016年に319か所だったその数は、2年後の2018年に2,286か所に増加(朝日新聞社調査)。

今や、社会のインフラとも言える役割を担おうとしている「こども食堂」の世界に、昨年(2018年)末、大手コンビニが「参入」したことで、一部で議論を巻き起こしている。

スポンサーリンク

議論の概要

「下流老人」の著書で、社会運動家の藤田孝則氏の主張

2019年2月3日のYahoo! Japan配信記事「ファミマこども食堂への3つの懸念と意見」より

ファミマこども食堂への懸念1 従来のこども食堂との大きすぎる差異
  • 従来のこども食堂は先駆者であり、こども支援にかかわる市民団体が全国各地で試行錯誤を続けながら、こどもの居場所や交流スペースを主体にして運営をおこなってきた。
  • こども食堂では、手づくりで温かい家庭的な食事を提供されることが一般的であり、毎食工夫をしながら運営者が調理に取り組んでいる。
  • (ファミマがやるこども食堂は)あまりにも「こども食堂」から逸脱したものしかイメージできないのである。ファミリーマートは、従来の熱意あるこども食堂への資金提供、食料提供などの間接支援ではいけなかったのだろうか。「こども食堂」を名乗って、直接参入する意味は何があるのだろうか。
ファミマこども食堂への懸念2 低賃金労働を強いたうえでのこども食堂は何度でも批判する
  • こどもの貧困を生み出しているのは誰なのか。もう一度「こども食堂」を名乗る前に考えていただきたい。
  • 「企業が善意で取り組むことならば何でもやるべきだ。やらない善よりやる偽善。」など様々な声が聞かれるが、まずやるべきことはなんだろうか。僕はこどもに商品提供や企業体験をさせることではないはずだと繰り返し指摘しておく。
  • ワーキングプアを構造的に発生させながら、こども支援に取り組む姿は、火をつけながら消火活動をするような印象をどうしても持たざるを得ない。
ファミマこども食堂への懸念3 国家責任を後退させる民間支援
  • こどもの貧困は政府や自治体が責任をもって改善させる社会問題である。
  • 民間に委ねておけば、政府は責任を果たさなくていいと思うだろうか。僕はそうさせてはいけないと思っている。
  • 民間企業やNPOによる活動が政府による公的福祉を削減したり、縮小する口実を与えてはいけないはずだ。

「若者を見殺しにする国 」の著者で、フリーター・ニート政策などが専門のフリーライター 赤木智弘氏の主張

2019年2月3日のBLOGOSブログ「企業活動は福祉を達成できるのか」より

  • ファミリーマートの実施内容は、こども食堂というよりは、どちらかといえばマクドナルドが行っている「マックアドベンチャー」などに近いものではないか。
  • そのことが悪いわけではないが、そこに福祉的なイメージを結びつけてしまうのは安易ではないかと思う。
  • 「こども食堂」という言葉を使うことで、実際のファミリーマートの活動内容とイメージされる活動内容が大きく離反していること事実に対して、僕は強い違和感を覚えた。
  • そもそも大企業に求められていることはなにか。それは利益のまっとうな分配である。
  • その本質をないがしろにして、格差社会を産みその上に会社を立脚させながら、子供に対しては「福祉を与えている」かのように振る舞うことは、僕には社会的責任から離反した、とても下品な行為であるように思える。
  • だからこそ僕は「営利企業による福祉的活動は、決して福祉そのものにはなりえない」と主張するのである。
  • 企業には福祉的なことはできても、決して「福祉」はできないのである。企業活動の網からこぼれ落ちた人たちを支えるのが最重要な「福祉」なのだから。

以上が、福祉系論客の主張である。文字数の関係から、主張の主要部分のみ抜粋したが、論旨を公平に解釈するために、是非、記事の本文を参照されたい。

以上、二人の論客の主張をもとに、以下お読みいただけるとありがたい。

スポンサーリンク

参加者からはポジティブな評価の声が出ている

昨年(2018年)12月に、埼玉県所沢市やさいたま市内のファミリーマートで開催された「ファミマこども食堂」には、店頭のポスターや配布チラシを見て集まった、近隣の小学生が多数参加。
イベントの最大の売りでもある、「レジ打ち体験は、その中でも最も人気が高いカリキュラムだった。
参加者のこどもたちに取ったアンケート結果の上位に来るのが、「レジ打ち体験」で、「食事」そのものは、その次に位置している。
ファミマの制服を着て大人の仲間入りをするという疑似体験は、こどもたちに素朴な楽しみと、仕事や社会に対する興味をもたらしたに違いない。

こうした試みは、KCJ GROUP(本社:東京都)が2004年から東京都内を中心に実施し、今もこどもたちに大きな人気を博している、こどもの職業・社会体験施設「キッザニア」のミニチュア版・全国地域版とも言える。
キッザニアでは、大人の職業を気軽に楽しく疑似体験することで、こどもたちに、将来の職業選択の土台となり得る「夢」と、その夢を実現するために必要となる「羅針盤」を与えることに成功している。「キッザニア」も、そういう意味では、現代における数少ない「こどもの居場所」としての機能を果たしているのかもしれない。
とは言え、キッザニアは、こどもでも、入場に3,000円強の料金がかかる。例えば、休日に、中学生1人と小学生1人で参加すれば、1万円近い支出になる。これは生活困窮家庭には痛い出費だろう。一方のファミマこども食堂は、こども100円、保護者が400円だ。これに、職業体験と食事までが付いてくる。コストパフォーマンスとしては十分ではないか。

スポンサーリンク

この記事が気に入ったらフォローしよう

最新情報をお届けします

おすすめの記事