【埼玉県議会短信】コロナ対策チームCOVMAT設置へー2020年6月定例会可決議案から

先日7/3に閉会した埼玉県議会6月定例会。知事提出の補正予算案などをはじめ、各種議案や条例案、決議などが可決となった。

可決内容を見ていく。

一般会計補正予算について

予算規模

同会で大野元裕知事は2件の一般会計補正予算を提出。第5号・第6号と銘打たれた同案類は委員会での審査を経て、原案可決となった。

内容は後述するが、いずれも新型コロナウイルス対策とその第二波への対策が主となる。

予算規模を見ると、第5号は107億4,118万1千円、第6号は1,484億4,435万9千円で、補正額合計は1,591億8,554万円。補正後の一般会計は累計で2兆1,770億3,002万6千円となった。

財源については国庫支出金や諸収入や寄付金などで賄うとしている。

予算内容

医療体制の強化策

検査体制の強化として、短時間で感染の判断が可能な抗原検査の導入や、郡市医師会と連携した発熱外来PCRセンターの本格稼働に伴い、大幅に増加するPCR検査に要する経費を14億5,527万6千円計上した。
また、入院医療体制の強化を図るため重症者の受入れに必要な体外式膜型人工肺(ECMO)や重症患者をリモートで一元管理できるTele-ICU体制整備の構築に7,900万円を計上した。

さらに患者等の受入れ体制を更に強化するため、重点医療機関等が行う病床確保や設備整備を支援(285億6,723万円)
県内の医療機関・薬局などの院内感染防止対策へも助成を行う(204億8,734万1千円)

加えて、福祉施設や医療機関などにおけるクラスター対策として、感染症対策の専門家等で構成されたコロナ対策チーム「COVMAT」設置・運営に1億1,509万7千円を計上した。
施設内で感染者が発生した場合に同チームを速やかに現場に派遣することで、感染拡大防止の指導を行うとともに、検証結果等を関係者が共有できる仕組みを築く。

なお同会終了直後の7/6には県内の福祉施設で感染が発覚し、同チームが初めて派遣された。

感染拡大防止に向けて

感染拡大防止に向けて、介護施設等における感染防止対策やサービス再開に向けた支援に104億1,343万7千円を計上。介護・障害福祉サービス等を提供する事業所に対して、感染症対策用品購入や専門家による研修実施を支援する。万が一施設内で感染者が発生した場合には、入所者が一時的に移動し生活するための多機能型簡易居室の設置などに必要な経費を助成する。

地域公共交通における感染防止対策や運行継続への支援には2億604万円が盛り込まれた。県独自の支援金を支給するとともに、利用者の減少に伴い運行が困難となったバス路線を支援するとしている。

この他幼稚園及び県立学校における感染防止対策に12億3,571万1千円が計上されている。

教育現場への支援

教育現場への支援として、県立学校におけるICT環境の早期整備による遠隔学習機能の強化に7億4,963万8千円、 児童養護施設等におけるオンライン学習の環境整備への助成に6,050万円が盛り込まれた。

臨時休校により学期が伸びたが、児童生徒の学びの機会を確保するため県立中学及び特別支援学校小・中学部における一人一台端末の整備を前倒す。それに加えて県立学校における高速大容量の通信回線や貸出用モバイルルーターの整備等を行う。

この他、公立小・中・高等学校などへの学習指導員の追加配置に約25億円、 保護者が負担する修学旅行キャンセル料への支援に1億8,402万3千円が盛り込まれた。

企業支援・地域経済活性化

中小企業に対する資金繰り支援を更に強化するため、県制度融資のうち新型コロナウイルス感染症対応資金と経営安定資金の融資枠を増額し、全体の融資枠を8,000億円から1兆2,000億円に拡大する。それにあたり、金利負担などに今年度は56億2,690万円を支出し来年度以降は127億5,710万円を限度に債務負担行為を背停止た。

また、中小企業・個人事業主等に対する家賃への支援に120億2,354万7千円を計上。家賃を一定程度減額した不動産オーナー等に対しても減額した家賃の一部を補助するとしている。

第2波の襲来に備え、テレワークを導入する県内企業等への更なる支援には6,347万8千円を計上。また、商店街等による「新しい生活様式」への移行を促進するため、空き店舗を活用した商品の受渡し拠点の整備など感染症に配慮した販売促進策に4,326万円を計上した。

この他飲食店等の休業により需要が急減している県産和牛肉等の消費拡大に6億4,244万8千円を計上した。

生活困窮世帯への支援

県が各地の社会福祉協議会を通じて行っている生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付について、貸付が当初の見込みを上回っていることから、貸付を継続していくために必要な原資を136億6,794万1千円助成する。

また、所得の低い一人親世帯において子育て負担の増加や収入の減少が生じている現状を鑑みて臨時特別給付金を支給、5億4,405万円を充てる。

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