【愛と哀しみの埼玉の歴史】天然記念物指定100年ー田島ヶ原サクラソウの昔、これから 前編

埼玉県の花として名高いサクラソウ

さいたま市桜区の荒川沿いには国内でも希少なサクラソウの自生地・田島ヶ原があり、同地のサクラソウは国の特別天然記念物に指定されている。

今年2020年は同地サクラソウが国内初の天然記念物に指定されてから100年の節目となる。

地域の象徴たる花の価値やその存在意義を後世へとつなぐべく、同地のサクラソウの指定経緯と現状を伝える。

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サクラソウってどんな植物?

主な生態

サクラソウはサクラソウ科サクラソウ属の多年草。北海道・本州・九州の高原や山地など湿った高地や河川敷の草原で主に見られる。

地中の根茎から春に芽が出て長楕円形の葉を根元から数枚広げ、4月から5月にかけて花茎を直立させて淡紅色の花を咲かせる。

やがて花は枯れ梅雨頃になると葉も枯れるが、蒴果から弾けた種子から新たな根茎が生まれ、夏から秋にかけて既存の地下茎と共に休眠し次の春を迎える。

なお花言葉は「初恋」「青春のはじまりと悲しみ」「早熟と悲哀」など。早春の極めて短い期間に咲くことに由来するという。

人との関わり

荒川流域では古くより同種が自生していたが、江戸中期よりこれを用いた栽培が始まり、白や紫など色変わりやサイズ違いも生まれ主に武士階級に愛好された。その後も栽培が続き、現在では300種以上が観賞用として栽培されている。

しかし野生種は近世以降開発や開墾による生息地の減少などで数を減らしており、環境省レッドブックでは準絶滅危惧種に指定されている。

その希少価値から、1971年には県、2001年にはさいたま市の花にそれぞれ指定された。また、2003年にさいたま市が政令指定都市に移行した際に同地が位置する区は同種にちなみ桜区と命名された。ちなみに大阪府の花にもなっている。

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田島ヶ原の紹介

今度は同種が自生する田島ヶ原について紹介する。

希少な低湿地の群生地

同地はJR武蔵野線西浦和駅から歩いて20分ほどの場所にある、荒川流域の低湿地帯。
その広さは第一次指定地と第二次指定地とを合わせた約4.12haで、100万株以上とも言われるサクラソウと250種余りの野草が育成する国内最大規模の自生地となっている。

一帯はさくら草公園として整備されており、同種が映える自生地周辺には策が張り巡らされている。

生息地に冷涼な高地が多い中で、同地のような低湿地帯での大群生は非常に珍しいという。

なぜ群生地となれたか

もともとあった鴻沼川や小河川、そして江戸期にこの近くを流れるようになった荒川と古くから河川に挟まれていた同地。

夏や秋にオギやヨシが生い茂り、人々は茅葺屋根や俵に使うためそれらを冬に刈り取っていた。そして同種が花を咲かせる春には、地面に日差しが良く当たるようになっていた。
このように水辺と日当たりの良さが同地を希少な自生地へと至らしめたとされている。

現在でも毎年冬になると野焼きが行われている。オギやヨシは同種の地下茎を風雨などから守る役割もあり、野焼きによって灰になることで肥料としても機能する。

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