【埼事記 2023/3/5】ウクライナ侵攻1年 理性もって終末避けよう

■「人類は戦争に終止符を打たなければならない。さもなければ、戦争が人類に終止符を打つことになるだろう」

60年前の1963年11月22日にダラスにて暗殺された、米国第35代大統領ジョン・F・ケネディの言葉である。核戦争一歩手前のキューバ危機なども経験した中、先の大戦の反省も兼ねてかのように述べた。

米国同時多発テロ以降、核だけでなく第三次世界大戦の恐怖が世界を覆う中、今一度噛み締めなければいけない言葉である。

■少し過ぎたが、2/24は忘れもしないロシアによるウクライナ侵攻開始から1年となった。

ロシアはこれまでもウクライナ領のクリミア半島の編入を宣言し、両国の間で紛争が起きていた。そのような中、NATO加盟を視野に入れるウクライナの姿勢を認めないロシアが軍事作戦として首都キーウなどで砲撃、同侵攻が始まった。

圧倒的物量と兵力で侵攻を行うロシアに対して、ウクライナには欧米各国から供与された武器で応戦。ロシア側約4万人、ウクライナ側約1万人の兵士が命を落としているが、ウクライナにおいては空爆などを受けて約8000の尊い市民の命が奪われている。ウクライナ側がやや盛り返しているが、依然として戦火が激しく燃えている。

■日本においても、同侵攻を受けてロシアや友好国ベラルーシへの経済制裁がなされ、モスクワ発着の国際線も運航取りやめになった。欧米と同じくウクライナ側に武器供与も行うとともに、難民の受け入れや募金活動なども行われてきた。

その一方、同侵攻を受けて原油高が深刻なものとなっている。欧米各国が経済制裁としてロシアからの原油や天然ガスの輸入を禁止したことで一気に原油不足が進行。特に原油輸入大国である日本では、原油価格が急激に上がったことで物価高につながっている。加えて、折からのコロナ禍以来の物流混乱で物資が行き渡りにくい状況も続いている。そこに原油高による輸送コスト増も加わり、まさに泣き面に蜂といったところだ。

企業も最終価格への転嫁がしづらい中でコストカットに苦心。我々市民の中で物価高騰により生活に窮する者も少なくなかろう。

このままだとまさに、我々も戦争で終止符を打たれかねない。

■「戦争は小銃の偶発から始めることができる。しかし戦争を終結させることは、経験豊かな国家指導者でさえ容易な事ではない。流血をとどめるのは、ただ理性だけである」

両国の前身であるソビエト連邦の最高指導者で西側諸国との平和共存を推進したニキータ・フルシチョフ(1894~1971)の言葉だ。

今この瞬間にも戦火に倒れる人が出ている状況を止めるのは、やはり理性、もっというとお互いをわかりあうことでしかない。侵攻開始直後も小欄で述べているが、かの国と日本は状況が似ているからこそとても対岸の火事ではない。それどころか、間接的に我々も侵攻に巻き込まれている。このままダンマリでは、我々自身も息の根を止められてしまう。

とにかく理性をもってして、この侵攻を一刻も早く止めなければならない。侵攻によって得られるものなど、苦しみや悲しみ以外の何物でもない。小さなことでもいい、一人一人が互いをわかりあう理性を持ち助け合う世界を作っていかなければ、本当の終末は遅からずやってくる。

武力による侵攻・支配ではなく心を大切にする世界の創造へ、我々も戦わないといけない。

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