【埼事記 2023/5/7】コロナ5類移行前夜 マスク取って感情の交換を

■"War is over! If you want it War is over! Now!"

季節が少し違うが、ジョン・レノン氏とオノ・ヨーコ氏が1971年に発表したクリスマスソング「Happy Xmas (War Is Over)」の歌詞の一部だ。

米国が当時携わっていたベトナム戦争への抗議の意味合いもあった歌だが、皆が望むなら今すぐ戦争は終わると説いている。ウクライナ侵攻も依然として続くが、戦争やそれに近い閉塞感を与えるものは今すぐに終わって欲しいと皆が望むことだろう。大切なのはその思いを強く持ち、その日へ向けて備えていくことなのかもしれない。

■3年以上にも及んだ長い戦いが、一応の「終息」となる。

明日より新型コロナウイルス感染症の感染症法における扱いが5類に移行する。

これまでは2類として位置付けられ、感染者には入院の勧告や就業制限、検査・医療費の公費負担といった扱いがなされていた。感染者数も全数で報告されており、今までニュースでもその日の感染者数が流れていた。しかし、これが5類となると季節性インフルエンザと同等で、入院勧告や就業制限といった要請がなくなる。検査・医療費の公費負担はなくなり自費負担となるが、感染者数も基幹病院からの定点報告のみとなる。これまでの厳重な体制から大きく緩和される見込みだ。

これに先んじて、5/5には世界保健機関(WHO)からも同感染症を巡る緊急事態宣言の終了がなされた。3年3カ月続いた同宣言も重症化率の降下や各国の規制撤廃を受けて終了となり、アフターコロナへ向けての機運が高まったきた。

■今回の5類移行に伴い、マスクの着用もいよいよもってして自己判断となる。

これまでは感染拡大防止のためにマスク着用が推奨されてきたが、一定の場合を除いてそれがなくなる。口元を堂々と見せられる日々が戻ってくるのだ。

このゴールデンウィークには人々が集まるイベントなども多く行われてきたが、これまでオンラインで行われてきた打ち合わせなどもマスクを外して対面で行う機会が増えてくるかもしれない。3年ぶりの形にはなるが、少し最初は戸惑いそうだ。

■思い起こせば、マスクをするようになったことで互いの感情をうまく伝えられなかった日々が続いていたように思う。様々な感情を表現するのには顔全体の筋肉を使う必要があったが、目元だけだとうまく伝わらない。

むしろ長引く感染状況から不安がどんどん高まって、負の感情を互いにぶつけ合うことが多かったように感じる。それが、小欄でも取り上げたような「埼玉コロナマン」への攻撃になったり、いわゆる「自粛警察」にも繋がっている。顔が見えないことに乗じて感染の恐れがある者を攻撃する。そこに人間らしい感情の交換はない。

マスクをしていたことで、そうした大きな不安が我々の口元を覆っていたのだ。

■5類移行したところで新型コロナウイルスが完全に消え去るわけでもないし、いつ新たな変異株が出てくるかもわからない。ただ、これまでと違うのはマスクを外したりリアルに会うなどして、人々の交流がしやすくなるということだ。感染者は感染者で隔離されるのが常だったが、いつも隣に人がいて感情を交換できることは非常に心強い。

笑う人の顔を見ればこちらも笑いたくなるし、泣いている人の顔を見ればこっちも泣きたくなる。

どれだけ状況が暗転しても、そうした感情の交換があることで一人ではないと思えるし、頑張ろうと思えてくるのではないだろうか。ワクチンにも劣らない特効薬といえる。

■「人間はみな似たりよったりの能力と、感情の持ち主である。これを悟らなければならないと思う。つまり、我も人なら、彼も人なのである」

本田技研工業を創業した本田宗一郎(1906〜1991)の言葉だ。人間は他の動物と異なり、感情を持つ。感情がわからないと、その人が本当に同じ人間なのかわからなくなってくるかもしれない。それでも、確かに人間なのだ。

人を人たらしめるものとして感情は重要だが、この3年間はマスクのもとで封じられてしまったきらいもある。これからはマスクを外して、大いに感情を交換しようではないか。

そうした感情の交換から新たな出会いや気づきも生まれるし、互いを思いやり認め合う社会ができてくると信じている。

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