シリコンバレーで刺激 さいたま市教委がイノベーションプログラム成果報告会開催

さいたま市教育委員会が同市立高校及び中等教育学校の後期課程の生徒を対象に、未来を生きるトップリーダーとして活躍できる人材の育成を目指して実施した令和4年度イノベーションプログラムの成果報告会が、3/18(土)に大宮国際中等教育学校(同市大宮区三橋)にて開催された。

生徒らが日本を離れて米国シリコンバレーに渡り、現地企業の訪問などを通じてデザインシンキングを実践。実際にビジネスを検討・提案し、世界思考を体得した。

人間中心の思考体得へ

今回で2回目を迎える同プログラムには10名の生徒が参加。今年1月下旬に約1週間の行程で渡米し、GoogleやStripeなどシリコンバレー周辺の企業ワークショップやスタンフォード大学での講義に参加。英語を交えてのコミュニケーションだけでなく、デザインシンキングを活用した自分たちのビジネスプランを現地投資家に提案した。

報告会開催に先立ち細田眞由美教育長は、「シリコンバレーはイノベーションの聖地であるが、10名が皆アクティブに動いていた」と述べた。人間中心のサービスやイノベーションの実現のためにデザインシンキング体得の重要性を訴えた。

世界最大級のコーポレート・アクセラレーター・プログラム「Plug and Play」では実際にビジネス提案も見学し、韓国から同じく見学に来た大学生と引率した教授らとも交流。同教授とは「イノベーションをともに起こしていけるようになれば」とも交わしている。

社会課題解決型のビジネスを英語で紹介

参加した生徒たちが、実際に同プログラムの中で現地投資家に提案したビジネスを紹介。当時さながら英語を交えている。

このうち、Horizonは高校や企業などオリジナルカップやマグカップなどを用いたコーヒー自販機・FREECOを紹介。モバイルオーダーでの注文でカップ類に各自のQRコードもついているので、提供時間の節減にも貢献。購買履歴から各自の嗜好分析もしやすいだけでなく、プラゴミ削減で環境問題を啓発する効果もある。

カルテットはフードロスへの対応へ、賞味期限が近い食料品を安価で提供するスーパーマーケット「Responsible store」を提案。他のスーパーから賞味期限が近い商品類を仕入れて提供。専用アプリに購入した商品をスキャンすることで賞味期限が近くなるとアラームを出したり、デリバリーにも対応する。

Earth&usは多忙な現代人のニーズに対応し幸福度を高めるビジネスを提案。フェアトレードやエコフレンドリーと付加価値の高い商品を扱うセレクトショップは、ソーラーパネルなど環境負荷の低いエネルギーで稼働。散歩などで使用できるマップアプリでは、移動した場所に応じて画面上のキャラクターからプレゼントが贈られ、例えば大宮であれば盆栽と地域にちなんだものを贈ることもできそうだ。

「参加して世界広がった」

社会課題解決型のビジネス提案が多かったことについて、「米国へ渡ったことで世界思考で考えられるようになった」と参加生徒の一人。日本にいるときは社会課題も人ごとのように感じていたものの、現地に渡り住民など様々な人々の話を聞く中でそうした課題を自分ごととして捉えられるようになっていったという。「将来はそうしたことを推進していける職業に就きたい」とも。

同プログラムに参加して世界が広がったという生徒もいて、中には「日本よりも海外の方が自分の性格に合っている」という生徒も。工学から都市デザインに興味が出たり、海外大学への留学を希望したりと、生徒たちの将来を考える上でも転換点になりうる出来事であったようだ。

同プログラムへの参加希望がある中学生に対しては、「自分が普段からどう生きているか、面接で聞かれたときに話せるように」と先輩として参加生徒もアドバイスしていた。

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「世界」テーマに初開催

同日の同校では、文化行事として「大宮国祭」を開催。

「世界」というテーマのもと、文化祭の枠を超えた学びや発見のある行事として、保護者や地域などコミュニティとのつながりを生み出す企画を生徒たちが行った。

自主制作映画をはじめeスポーツやカジノと国際的にも注目を集める企画を展開する教室もあり、行列ができるほどの盛況ぶり。生徒たちの創造力が磨かれる行事となった。

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