■冬本番、新型コロナウイルスの感染も歯止めがかからない状況が続いている。
先日1/8からは埼玉を含む1都3県で政府による緊急事態宣言が昨年4月以来発令された。2/7までの期間中は地域の店舗・事業者も営業短縮を余儀なくされる。
ワクチン接種は来月以降になる見込みというが、消耗戦の体を見せているコロナ禍である。
■そのような中でイベント・行事の中止・延期も相次いでいる。
正月明けということでこの時期の大きな行事といえば成人式だろう。ちょうど明日は成人の日で、県内はもとより全国の市町村の多くで成人式が執り行われる予定だった。
しかしこのコロナ禍で大勢の人々が一箇所に集まることが感染につながると危惧され、多くの市町村で中止や延期を発表している。
■中でもさいたま市においては、例年成人の日にさいたまスーパーアリーナで行われていた同式の実地開催を中止し、Youtubeでのライブ配信に切り替えるという。オンライン開催となる同式は明日11:30から配信予定だ。
オンライン開催への変更を受けて、昨年4月から準備を進めてきた実行委員や当日に向けヘアメイクの予約が詰まっていた地域の美容院などからは残念という声が上がっている。
何より一番残念なのは当の新成人自身だろう。一生に一度しかない成人式という晴れ舞台で艶やかな振袖を羽織り旧友との再会を楽しみにしていたのに、その機会が失われてしまった。その悲しみたるや言葉では表せまい。
■小生も随分前に同式に参加したが、新成人の悲しみは痛いほどわかっているつもりだ。
それでも、このオンライン形式での成人式というのは逆に好機でもあると捉えている。
実地開催の成人式は、大抵の場合当の新成人以外は参加することはできない。
しかし今回のオンライン成人式の参加に制限はなく、誰でも参加することができる。旧友同士でなくとも、今まで育ててくれた家族やパートナーと一緒に見ることができるのだ。
■もっと言うと、家庭に新成人がいなくとも参加することができる。実地でなくとも、未成年のこどもから高齢者まですべての人々に成人式がオープンになるのである。
実際にそうするつもりの人々がいるかどうかは知る由も無いが、高齢者であれば自分たちの成人式を懐かしんだり、こどもであれば成人式とはこういうものと体感できる。
新成人が味わう感動を皆で共有でき、同世代だけでなく異世代間とのコミュニケーションにつながる。無縁社会という言葉のように、人と人とのコミュニケーションが希薄になっている現代社会において好機であると考える。
■成人式は今から75年前の1946年に、敗戦直後で虚脱の状態にあった地域の次世代を担う若者を鼓舞する行事として蕨市で行われた成年式をルーツとしている。
戦争はなくとも、今日の地域社会はコロナ禍において多くのダメージを被ってきた。それゆえ、そのような地域社会の次代を担う新成人含む全ての人々を鼓舞するという意義が成人式には込められていると感じる。
そして地域活性化に必要なのは「よそ者」「馬鹿者」「若者」と言われている。少子高齢化社会において今では高齢者の割合が高まっているが、いつまでも若々しくありたい。オンラインという場だからこそ、老いも若きも若々しくなり地域をより盛り上げていけるのだと信じている。
■改めて、新成人の皆様本当におめでとう。友達や職場の人々、家族や地域、多くの人々の輪の中で生きていることを噛み締め、それを糧に今後も地域を盛り上げていこう。