先駆者からバトンを受け取ったファミマこども食堂

市場のライフサイクルは、参入するプレイヤーが徐々に増えながら、生成発展を遂げる。
草の根の活動が作り出したこども食堂という市場は、健全・純粋である一方、資金や組織などの点で脆弱でもある。そこを補完する役割として、ファミマという、現場の膨大な成功・失敗から学ぶPDCAを繰り返し、成長し続けてきた有力プレイヤーが市場参入し、②の拡大期のバトンを受け取った。
そのバトンの受け取り方は、稚拙かもしれない。だが、それは①の導入期でノウハウを十分に蓄積した先駆者たちが、丁寧に説明・共有して行けば事足りる話ではないか。現に、こども食堂関連団体は、その役割をも担うことを含めて、「歓迎」の意を表明している。それに対してしつこく異議申し立てを行う労組系論者の本当の意図は何なのか。組織防衛のためのプロパガンダだとしたら、それは大きなお世話だと言いたい。

先駆者たちからバトンを受け取ったファミマは、これまでのこども食堂の意図を十二分に尊重した上で、三方よしを目指しながら、市場のブースター(勢いを加速させる装置)として、重要な役割を担うことになるだろう。また、地域社会も、そうなるように支援すべきだ。

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ファミマを批判する前に、一定の見守りの期間が必要

東京新聞記事の最後に、デスクメモとして、「ファミマの狙いが単に宣伝目的とは思わない。だが、『こども食堂』を名乗るのなら「場所と食材を提供するので、地域の皆さん、ボランティアでやってみませんか」と呼びかける方がベターでは」と結んでいる。

良い問いかけだと思う。今後の進展の中で、そのような新たなアプローチも出てくるかもしれない。

ファミマは今後、ファミマ独自のやり方で、地域を活性化させ、貧困を解消するためのPDCAを、猛烈な速度で重ねていくだろう。そしてその過程で、自社の従業員(労働者)問題の解決も同時に図られて行くかもしれない。そこに警鐘を鳴らした労組系論者の意図は正しい。だか、その延長線で、自分たちの「業」を守るために、こどもたちを人質にとるのだけは、どうか遠慮して欲しい。
草の根のこども食堂も、ファミマこども食堂も、地域のこどもたちと同じく、いまだ発展途上なのだ。頭ごなしの判断を下す前に、「見守り」期間は必要だ。

文:佐藤 匡史
埼玉県川口市で川口こどもホープ食堂を運営(代表者)。
都内の不動産会社に勤務。

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