【こども食堂通信】川口だからこそ考える「共生」〜難民ってなんだろう?前編

少々間隔があきましたが、久々のこども食堂通信です。

今回はkkshokudoさんではなく管理人が担当ですが、先日4/27(土)開催の川口こどもホープ食堂に参加したため、その中の講演についてフォーカスさせていただきます。

深刻な川口でのクルド人いじめ

平成も末な先月中旬、川口こども食堂が開催される川口市でのあるニュースが列島を震撼させました。

国を持たない最大の民族といわれるトルコ国籍のクルド人が多く住む埼玉県川口市で、クルドの子どもたちへのいじめが深刻化している。市内北西部の市立小学校で、いじめを受け不登校になった女子児童(12)は、卒業後にいじめを避けるため学区外の中学に入学した。

日本には約2000人のクルド人が居住し、このうち1500人ほどが川口市を中心に生活している。中学生以下の子どもも300人以上いるといい、学校や周囲の大人の配慮が求められている。

支援者らによると、女子児童は昨年、複数の同級生から女子トイレに閉じ込められるなどのいじめを受けた。今年に入ってからも、体育の授業のサッカーで男子児童に倒されたり教室で背中を蹴られたりして、2月から不登校になった。

加害生徒側は謝罪と治療費負担などを申し出たが、誓約書の提出などを巡って折り合わず、最終的な和解には至っていない。

〜以下略〜

(「埼玉・川口の小学校でクルド人いじめ深刻 支援者『特別視せず平等に対応を』」 2019/4/23 毎日新聞)

当サイトでも以前取り上げたように、クルド人をはじめ中国人や朝鮮人など外国籍の住民も多い同市。そんな同市でクルド人の子どもへのいじめが学校で深刻化しているというニュースです。

別の記事では学校ぐるみでいじめを隠していたということも書かれていました。

たとえ国籍や人種が違えど同じ地域に生きる仲間。そのような人々を侮蔑することなど決してあってはなりません。

個人間のみならず地域ひいては外交問題にも発展しかねない事案だけに、このようなニュースを目にすると本当に心が痛みます…。

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そんな街だからこそ聞きたい講演

教会で開催!川口こどもホープ食堂

話はガラッと変わりますが、こちらが先日の川口こどもホープ食堂の会場となった川口中央福音教会です。

教会の2階が会場ですが、この日は朝から地域の方々やこどもたちがランチ作りに勤しんでいました。

この日のメニューは炊き込みご飯と豚汁とマカロニサラダにおひたし。朝早くから本当に頭が下がります。

講演ゲストはフォトグラファー

同食堂では毎回料理できるまでの間、ゲストをお呼びして参加するこどもたちや保護者の方々を対象とした講演会を開催しています。

今回のゲストは、主にシリア難民にスポットを当てるフォトグラファーにして登山家の経験もある小松由佳氏(写真中央)です。

同氏の活動内容は後述いたしますが、「チコちゃんに叱られる」などテレビ番組にもご出演されているお方です。

今回は「難民ってなんだろう?〜フォトグラファーと考える難民問題〜」をテーマに、ご自身の活動内容やその活動をはじめた経緯、そしてこれからの共生社会に必要なものについてお話いただきました。

難民というとすごく難しいテーマかもしれませんが、そのようなテーマだからこそ周りにいる人々とどのように接し自分たちがどのように生きていくか考えるヒントになればと講演の前の同氏もおっしゃっていました。

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日本人女性初のK2登頂

そしていよいよ講演へと入って行きます。

1982年秋田県に生まれた同氏は、東海大学時代に山岳部へ所属し登山活動に勤しみました。

富士山2倍強の巨峰

そんな中、大学卒業後の24歳の時に同部創立50周年事業として世界第2位の高さを誇るK2登山隊に参加されました。同山は中国とパキスタンの国境にまたがるカラコルム山脈の山の一つで、その標高は富士山の2倍強にあたる8,611mです。

その高さも相まって登山者の致死率も26%と登頂が難しい山ですが、同隊はパキスタン側から入り標高5200m地点から約1ヶ月かけてルートを開拓し山頂を目指しました。

その際麓に住んでいる現地の山岳民族に登山口までの物資の運搬を依頼していたのですが、彼らが1日あたり受け取る報酬は約¥600とのこと。日本の感覚からすると信じられませんが現地ではかなりの高収入であり、それぞれ世界が異なるということを痛感したといいます。

登山中に感じた生の感覚

いざ登っていくと酸素も薄く極寒の環境で緊張感や恐怖感を覚えるとともに、極寒で生き物のいない環境だからこそ今生きているという実感が持てたということ、

山頂から見た景色から地球が本当に丸いこと、そして下る途中に-25度の8500m地点で一晩ビバークした際には一度目を閉じるとそのまま死へと誘われるかもしれないという生死の分岐点にいたことで、朝目が覚めて太陽が昇るのを見て生きている実感が持てたと登山中に感じたことをおっしゃっていました。

本当の幸せとは?

このような経験から人間が生きているのは決して当たり前のことではなく様々な巡りの中で生きているということ、そして登山に協力してくれた現地の人々との交流から人間の本当の豊かさとは何かと考えるようになったといいます。

人間も自然の一部ーモンゴルでの生活から

K2での経験を踏まえて、世界各地を回るようになった同氏が次に訪れたのがモンゴルです。

国民の3人に1人が遊牧民というこの地域で実際に2か月間、彼らとともに草原での生活を体験されました。


家畜のために移動を繰り返す彼らとの生活では、360度見渡す限りの草原で家畜の世話や屠殺も経験された同氏。

そこから自然と人間は本来二元論として分けられるものではなく、人間も自然という大きな枠組みの中で生きていて自然の一部であるということ、そして人間が生きるということは他から命をもらうこと、そして草原に残された家畜の骨から命が循環していくこということを認識させられたそうです。

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