
先月28日に閉会した6月の定例市議会。
今回の市議会では21の請願が寄せられましたが、そのうちの一つとその審議結果をご紹介いたします。
請願第29号:低所得世帯にエアコン購入費の助成等を求める請願書
請願第29号として議題に上がったのが、低所得世帯にエアコン購入費の助成等を求める請願です。
請願人は生活と健康を守る会さいたま市協議会の村上工世話人代表で、紹介にあたったのは松村敏夫・竹腰連議員(いずれも日本共産党さいたま市議会議員団)です。
請願趣旨
記録的な猛暑に見舞われた昨年の夏。さいたま市内では4〜9月までにの半年間で1,032人が熱中症で救急搬送されています。
この猛暑を受けて昨年7月に厚生労働省は生活保護実施要領の一部を改定しました。一定の条件はあるものの熱中症予防が特に必要な生活保護受給者に対して、5万円の範囲でエアコン購入費の補助を行うようになったのです。
しかし、非受給者である一般の低所得世帯に対しては何の対策も取られていません。
一方で東京都荒川区では、65 歳以上の高齢者世帯や障害者世帯や就学前のこどものいる世帯などの熱中症弱者に対して独自にエアコンなどの購入経費(5万円の範囲)を助成する施策を実施し、今年も継続しています。
同区以外に福島県相馬市でも同様の補助が行われていますが、同区の6倍の人口があり予算規模も約10倍のさいたま市で同規模の施策を行った場合、9,000万円で実施できるといいます。
今年も猛烈な暑さが予想される中、下記2点を市の施策として請願しています。
- 低所得世帯で、熱中症弱者(65 歳以上高齢者のみ世帯、障害者・要介護度4以上の方のいる世帯、就学前の子供のいる世帯など)のいる世帯には、エアコン等冷房機器購入費を助成してください
- 電気代を助成するために、生活保護利用者に対する「夏季加算」の新設を国に要望するとともに、市独自の「夏季手当」等の施策を実施してください
保健福祉委員会での討論状況
同請願は市議会議員から成る6つの委員会のうち、保健福祉委員会で討論が行われました。
採択派からは国への要望がなされていないことや社会福祉協議会の貸付制度の利用を促進していることで少なからぬ負担を強いているという意見が出ました。
一方不採択派からはエアコンを購入できないのは低所得によるためか判別ができないこと、先述の国の助成制度であっても対象が限られているので対象を広げることは困難であること、その他の貧困対策や環境対策などを踏まえ相対的な立場で熱中症弱者の保護を行うべきという意見が出ました。
討論の結果、委員会では不採択となりました。
本議会での討論結果
この委員会での報告を受けて、会期最終日の6/28に本会議で討論が行われました。
討論の場に立った各議員からは、低所得者全体に対象を広げることは困難という声や生活保護には税金の免除などの特例もあり電気代に至っても各家庭で捻出はできるはずという声が聞かれました。