【さいたま市議会短信】五輪・防災対策など重視ー令和2年度当初予算が成立

3/19に閉会を迎えたさいたま市議会において、市長提出の来年度当初予算が原案可決された。

5年連続で過去最大を更新した予算の特徴を解説する。

予算案概要

予算案のポイント

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今回の予算策定にあたってのポイントは、「2021年の先の『新たなさいたま市の創造』に向けた更なる成長・発展予算」

すなわち「市民一人ひとりがしあわせを実感できる"絆"で結ばれたさいたま市」「誰もが住んでいることを誇りに思えるさいたま市」の実現に向けて、令和元年度補正予算から令和2年度当初予算までを切れ目のない一連の予算として編成する。これには防災・減災対策事業等について迅速かつ切れ目のない対応を図るためという理由もある

加えて総合振興計画後期実施計画など主要な計画の総仕上げを行い、さいたま市誕生20周年となる2021年の先の「新たなさいたま市の創造」に向けた更なる成長・発展につながる事業について予算を重点配分している。

予算規模

予算規模は以下の通り。

  • 一般会計:5,627億円 (前年度比 +59億円 +1.1%)
  • 特別会計:3,164億円 (前年度比 +49億円 +1.6%)
  • 企業会計;1,264億円 (前年度比 ▲116億円 ▲8.4%)

合計:1兆58億円 (前年度比 ▲8億円 ▲0.1%)

当初予算は市民サービス全般を盛り込む一般会計に加えて、特定収入からの特定の目的となる特別会計と下水道や病院など公営企業の予算である企業会計から構成される。経費の不足や予想外の事由に対処するため補正予算が適宜組まれる。

企業会計の圧縮により全体では前年度より8億円縮小されたが、一般会計は5,627億円と5年連続で過去最大を更新した。

一般会計歳入

一般会計に関して歳入は以下の通り見込む。

(さいたま市発表資料より、以下同)

法人税率引き下げにより市税は微減なるも、消費増税に伴う地方消費税交付金などにより譲与税・交付金で30億円の歳入増を見込む。また特定教育・保育施設などの給付の増加等により、国庫・県支出金で76億円増を見込む。

一般会計歳出

一般会計に関して歳出は以下の通り。

会計年度任用職員制度の導入等により人件費で28億円の増、特定教育・保育施設等の給付や障害福祉サービスの支給等の増加により扶助費で22億円の増を見込む。

反面、市民会館おおみやや新施設整備事業の進捗等により、普通建設費は36億円減を見込む。

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一般会計の特徴

過去最大となった一般会計の特徴を手短に紹介する。

東京2020大会に向けた事業(6億8,900万円)

目玉の一つがさいたま市も会場となる東京オリンピック大会に向けた事業で、総額6億8,900万円が計上される。

具体的な施策として、以下が行われる予定だ。

  • 暑さ対策や回遊バス運行や都市装飾など「おもてなしアクションプラン推進事業」(約3億82百万円)
  • 機運醸成に向けた、聖火リレーやさいたまスポーツフェスティバルの開催(約1億円)
  • 大会期間中の競技会場周辺での、市施策や伝統産業など魅力発信(約5,460万円)
  • 大宮盆栽美術館での盆栽魅力発信(3,999万円)
  • 観戦客を対象にした東日本各都市との連携による日本酒RPイベント(1,820万円)
  • 氷川参道等の地域資源のPRや山丸公園での来街者おもてなしイベント等(約1,770万円)

防災・減災対策事業(42億2,591万円)

令和元年台風第19号による災害について検証した結果などをもとに、激甚化する自然災害から市民の生命と財産を守るため、防災・減災対策に42億2,591万円を投じる。

具体的な施策が以下になる。

  • 雨水貯留施設及び雨水管の整備を推進、シミュレーションを活用した内水ハザードマップ作成(35億5,904万円)
  • 油面川流域における浸水被害軽減に向けて、油面川排水機場の整備を前倒しで実施(4億8,236万円)
  • 防災ガイドブック作成(6,230万円)
  • 危険なブロック塀等の除却等に係る費用の一部の助成と民間の危険なブロック塀等の調査(5,781万円)
  • 携帯電話非所有の高齢者などに向けた、電話・FAXによる災害時防災情報配信(611万円)

「スマートシティ」の取組(3億4,842万円)

スマートシティの実現に向けては、3億4,842万円を盛り込む。

具体的な施策は以下だ。

  • 太陽光パネルや蓄電池等を設置し、災害時にも継続してエネルギー供給できるハイパーエネルギーステーションを市立美園小学校に整備(1億5,028万円)
  • 「公民+学」の連携・協力のもと、総合特区事業で得た知見などを活用しながら「経済・社会・環境」が連携して発展するまちづくりを推進(1億5,290万円)
  • 新たなモビリティサービス「MaaS」等の導入に向けた検討の実施など、ICTをまちづくりに取り入れるスマートシティの取組を推進(473万円)

新規の予算配分

加えて、新規に予算が配分されている事業もある。

以下がその一例だ。

  • 医療機関において実施する新生児聴覚検査の受診に要した費用を助成(3,130万円)
  • 福祉の複合的な課題を抱える市民に対応するため、相談支援包括推進員を配置した福祉丸ごと相談センターを創設(197万円)
  • 避難所としての生活環境の改善を図るため、指定避難所である市立高等学校体育館に空調機を整備(4億7797万円)
  • 公園遊具について安全性の向上を図る修繕や更新等の対策を実施(1億9408万円)
  • 高齢福祉事業及び介護サービス事業での各種申請書等の読取・システム入力を自動化するAI-OCR導入(1,108万円)
  • 文化芸術都市創造基金を活用した歌舞伎公演等(1680万円)

既存事業のさらなる拡大・充実

この他既存事業のうち、さらなる拡大・充実が図られるものがある。

具体的には以下のようなものだ。

  • 中高校生を対象とした学習支援教室を開催するとともに、小学生に対しても試験的に実施
  • 65歳以上の方が登録団体で健康づくり等の活動を行った場合にポイントを付与し、貯めたポイントを奨励金に交換できるシルバーポイント事業
  • 出産後間もない時期の産婦等に向けた宿泊型・デイサービス型産後ケア事業
  • 15か所の民設クラブの開設経費を一部助成
  • 学校でのいじめや問題行為に対応するさいたま市スクールロイヤーチーム(仮称)等の活用
  • コミュニティ・スクール実施校を拡大
  • 自治会の情報発信の強化を図るため、さいたま市自治会連合会のホームページ作成支援
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