カーボンニュートラルをテーマに 令和4年度第2回県環境SDGs取組宣言企業成果発表会開催

県環境部環境政策課は1/31(火)、令和4年度第2回埼玉県環境ビジネスセミナーおよび埼玉県環境SDGs取組宣言企業成果発表会を新都心ビジネス交流プラザ(中央区上落合)にて開催した。(協力:埼玉県中小企業診断協会)

カーボンニュートラルに関する基調講演の後、県環境SDGs取組宣言を行った企業が日頃の成果を発表、SDGsに取り組む県内企業・事業者が交流を深めた。

「変革不可能ではない」

同会は基調講演と宣言企業の事例報告の二部構成。

欧米では若者がSDGsやカーボンニュートラルに積極的で、日本でも2050年にカーボンニュートラルを目指す動きがある。コロナ禍や原油高で今日のことで精一杯という声も多いが、地球温暖化はすぐに解決できない。「できることからできる範囲で」と、カーボンニュートラルをテーマに基調講演を行うこととなった。

基調講演には地球環境戦略研究機関の小野田真二氏が登壇。カーボンニュートラルを経営にどう絡めていくかということを主眼に、環境動向などカーボンニュートラルの最新事情を語った。

地球の生態学的上限を超えず人類が社会的土台の下に落ちない領域がSDGsが目指すべき世界だが、富裕層を中心にCO2が排出され生態学的上限に迫りつつある。一方で、日本でも7人に1人が貧困状態にあるように、人々の基本的ニーズが満たされず社会的土台にもたどり着いていない。

ただ、社会的土台に到達した項目が増えるほど、環境的な上限を超える項目も増える。「これまでとは異なる発展経路が求められている」と小野田氏。

その中でも企業は将来の結果に影響力のある重要なアクターとなる。日本全体の温室効果ガス排出量のうち1割~2割弱を中小企業が占めるが、その8割が具体的な方策を検討していない。近年では自社の脱炭素だけでなく、原材料製造時や製品使用時等も含めたサプライチェーン全体で脱炭素を進める動きもある。「持続不可能な状態で変革も難しいが、変革自体は不可能ではない」と、現状とこれから目指す姿を踏まえて、長中期的なGHG削減計画を組んで行くことを勧めた。

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食分野でSDGs発表

基調講演の後に、県環境SDGs取組宣言を行った企業がSDGsの取組について発表した。県内から2社が登壇したが、いずれも食品を扱う企業による発表となった。

「飲むことでSDGs」

このうち、有機JAS認定ドライフルーツの輸入・小分けなどを行うノヴァ(北本市中丸)のブッシュ一木社長は、自社で生産する有機ドライスピリッツ「仏手」について紹介。同社は2021年より酒造免許を取得し、選別除外品となったドライフルーツ・ナッツや認証外のマツタケなどを用いてクラフト有機ドライスピリッツ「仏手」を生産。その中で女性やシニア・障がい者を選別の担い手に採用し「誰一人取り残さない」スキームを展開している。

ブッシュ社長も2020年10月の県SDGsフォーラムでSDGsを知り、登壇した澁澤健氏の同言に感銘を受け、SDGsパートナーに登録。その直後に授産施設からの同スキームを構築、埼玉版スーパー・シティの推進へ邁進している。

同社には里山で有機農業を推進する農業法人もあり、バイオマスボイラーの指定管理者にもなっている。そのノウハウを生かして、間伐材や産業廃棄物となる木材を加工して木質バイオマスボイラーを稼働させ、蒸留の熱源とする。里山の管理にも障がい者やシニア層などを採用し、SDGsに応える。

そのようにしてできる同酒は「飲むことでSDGsが実現できる」とブッシュ社長も胸を張る。来年には北本市内に蒸留所を設けて、SDGsについて情報交換できるようにしていきたいという。

捨てずにとことん活用

弁当類に付属する練りからしなどを生産するチヨダ(戸田市上戸田、抱井麻理代表取締役社長)からも、横田孝常務取締役と管理部の白川弥生氏が登壇。

同社製品の原料となるからしの種子はほぼ全量をカナダから輸入しているが、そうした原料ひとつにしても殻などを捨てず様々な商品に活かしている。通常は種子を粉からしにすることが多い中で、同社では種子から全部を加工して練りからしを生産。搾油についてもラー油に活用し、製粉ろ過した際に出る廃棄物の包皮も抗菌性を利用した「ぬかみそからし」として商品化。1960年発売以来のロングセラーで、ぬか漬けの素の生産にも参入している。

加えて生産調整で出たロス品をこども食堂に寄付し、添付品に利用。約10%の15品目にバイオマスインキを利用するなど、環境SDGsへの取組にも積極的。今後は燃料使用料削減効果アップへ向けて工場のボイラー更新や照明LED化なども推進していく。「小さな会社ではあるけど、環境に配慮したSDGsの取り組みを推進していきたい」と意気込む。

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