【埼事記 2020/10/15】東日本台風1年のコロナ禍 自然の脅威に人間は

■やや勢いは落ちてきたように思えたが、埼玉県内において新型コロナウイルスが依然猛威を振るっている。中でも浦和区の劇団「ミュージカル座」で60人以上のクラスター感染が発覚し、緊迫した状態が続いている。

ワクチン開発も待たれるが、安心して暮らせる日はまだまだ遠そうだ。

■さて、コロナ禍ですっかり影も薄くなったかもしれないが、先日10/12に埼玉をはじめ関東・東北地方への東日本台風襲来から1年となった。

こと全国に名を馳せる川の国たる埼玉においても被害は甚大だった。

記録的な豪雨により越辺川や都幾川など河川が氾濫、洪水や土砂災害が県内各地で多発した。地域一面が水に浸かった東松山市や洪水で孤立した川越市の高齢者施設の模様が連日のようにテレビや新聞で報じられた。

その結果、土砂や水に巻き込まれ県内では4名の尊い命が奪われた。2011年の東日本大震災でも関東で唯一死者が出なかったにも関わらずだ。

災害に強いという埼玉の安全神話が一気に崩れた格好で、その衝撃は計り知れない。

■そしてこのコロナ禍である。冒頭のように埼玉県内においても日々感染者は増加し、死者も出ている。

クラスター感染だけでなく、経路不明の感染の割合も高いだけに予断を許さない状況が続く。

もちろん手洗いやマスクをつけるなど自衛での感染対策が重要ではある。しかしそれをしても必ずしも防ぎきることができないというのが、感染力の強いこのウイルスの怖いところだ。

■今月初めには、アメリカのドナルド・トランプ大統領も同ウイルスに感染した。大事に至らず3日ほどで退院し公務に復帰したが、その強大な軍事・経済力から「世界の警察」とも言われる同国のトップですらだ。

同氏周辺でも感染が確認され、いわゆる核のボタンを運ぶ係も感染したという。

■昨年の台風に今回の新型コロナウイルスと、自然の脅威の前に人間は手も足も出ないことがあると改めて痛感させられた。核兵器をもってしても、そのボタンを押す役が感染してしまえばもはや無用の長物でしかないのである。

そういう意味で、人間は自然を支配し克服することは不可能なのかもしれない。

■無論、その人間も自然の一部ではある。猿から進化したホモ・サピエンスという点で、紛れもなく人間自身も自然が作り出した産物だ。

しかし他の自然的産物と決定的な違いがある。それこそが人間の持つ知性だ。

太古の昔より、人間は火の利用から狩猟・栽培を営み、強大な文明を築いてきた。その裏には知性という何かを知りそこから新たに考え行動しまた何かを知るという仕組みが作用してきた。そうして科学や技術が生まれ、我々はその恩恵にあやかっているというわけである。

本能のみで動く動物ではここまでのことはできまい。

■いくら科学が進んでも、人間も一部である以上人間が自然を完全に越えるということはできないのかもしれない。

それでも、そこから何かを考えより良い方向へと仕向けていくということは知性をもってしてできるはずである。完璧な答えというものを見つけるのは相当に困難で時間もかかる。一歩一歩であっても、進んでいければそれでいいのだ。

未知の脅威が行く手に広がり不安も広がっていよう。しかし我々自身も着実に前進している。日々ワクチンの研究も進んでいるし、新しい生活様式に向けて皆ができる工夫を考え実行している。Withコロナへの歩みは、遅いのかもしれないが着実に起きている。

その歩みを止めないよう手を取り合っていくこと、それこそが苦境を突破する鍵になるのではなかろうか。

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