役割分担を意識 県警・さいたま市児相が児童虐待合同訓練

高止まりが続く児童虐待への適切な対応に向けて、さいたま市児童相談所と埼玉県警察が合同訓練を11/25(金)に埼玉県警察学校(北区植竹町)において実施した。

臨検捜索について実践的訓練を実施、各自がその役割を確認した。

「児童守る最後の砦」

市児相には県警職員も出向しており、児童虐待に関する情報共有システムにおいて児童虐待の可能性がある情報を共有している。

同校内の模擬家屋を用いた同訓練には市北部・南部児童相談所と県安全課の職員、県警少年課や各市町村警察生活安全課の警察官ら約30名が参加。実際にあった案件をもとに想定を組み立て、臨検捜索における立ち振る舞いを確認する。

訓練に先駆け、澤田好一県警少年課長は「児童を守る最後の砦として緊張感を持ち、相互に交流を」と呼びかけた。

臨検捜索想定し助言も

虐待の可能性がある通告を受けた児相は、通例当該家庭に架電の上で訪問して児童の安全を確認するが、訪問が拒否された場合は立入で調査。それでも児童の安全が確認できない場合は、警察に援助を要請し、裁判所から臨検捜索許可の令状を受けて臨検捜索に踏み切る。

想定1では、児相職員が玄関前で令状を読み上げる際に父親が抵抗したため、チェーンカッターでドアチェーンを切断し立入。家屋内で母親が庇っていた児童の人形を保護した。

想定2では、令状を読み上げる児相職員の様子をSNSで拡散しようと母親がスマートフォンを取り出した。それでも、令状執行中は撮影を許さない。

想定3では令状執行中に児童の叔父が乱入したが、令状執行中は他者の立入を許さず。想定4では児童とともに帰宅した父親に対して保護の説得を行ったが、父親が暴れたため児童を保護の上で父親を取り押さえた。

「令状を読み上げる際は必ず名前の確認を」「スマホの使用が許されないことはあらかじめ通達を」など、各想定後は県警も児相職員に対して助言した。

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「小さいことでも連絡を」

昨年度にさいたま市内で対応した虐待案件の件数は3236件。直近5年間で2020年度の3355件がピークだったが、依然として高い傾向が続く。子どもの泣き声の通告も多く寄せられているという。

訓練を受けて市南部児童相談所の長澤和哉室長も「役割分担が確認でき、今後も訓練を継続したい」と手応え。それでも「泣き声や怒鳴り声など、少しのことでも何かあれば児相に連絡を」と呼びかける。

昨年に県警が県内児相に通告した児童数も9716人に上り、県全体でも虐待件数は高止まり。市内で臨検捜索に踏み切った例はないが、佐藤和則県警児童虐待対策室長も「臨検捜索に向けて県警と事前協議を」と呼びかけた。

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