【埼玉県議会短信】安心・元気のスタートアップ予算ー令和2年度一般会計・補正予算成立

3/27(金)に閉会した埼玉県議会2月定例会において、知事提出の令和2年度一般会計および補正予算が原案可決となった。

新型コロナウイルスの影響なども感じられるが、成立した予算内容を見ていく。

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一般会計概要

大野県政初の当初予算

今回の一般会計策定にあたって、大野元裕知事は以下のように基本的な考えを説明している。

人口構造の変化により、これまでの枠組みでは対応できない課題が生じています。働き手の不足、医療・介護ニーズの増大など様々な課題に対応しなければなりません。
私が知事選挙の際に掲げた公約は、知事就任以前に埼玉県を外から見たとき、このような施策があれば埼玉県はもっと良くなるのではないかと考えたものです。時代の大きな転換点を迎えるにあたり、公約の中にはすぐに実現できるものだけでなく、将来を見据えて中長期的なビジョンもお示ししており、それを基に具体的な道筋を付けてまいります。

知事就任後には早速公約の具体化に取り掛かり、9月には公約の取組の方向性を、11月には工程表を取りまとめ公表し、県議会の皆様からも御意見をいただきました。

令和2年度はこれらを踏まえ、「日本一暮らしやすい埼玉県」の実現に向けて、災害対応をしっかりと行っていくこと、オリンピック・パラリンピックを契機に本県が未来に向けて大きな一歩を踏み出していくこと、この2つの思いを込めて「安心・元気のスタートアップ予算」として、次の3つの考え方に基づいた政策を中心に全力で取り組んでまいります。

まず第1に、県民生活の安心・安全をしっかりと確保するための政策の推進です。昨年発生した台風第19号やCSFは、本県に甚大な被害や影響をもたらしました。災害などから県民の皆様の命と財産を守る体制を見直し、不測の事態にも迅速かつ的確に対応していく万全の備えを着実に進めます。また、県民の皆様が安心して健やかに暮らせるよう、地域の医療体制の整備を進めるとともに、介護など福祉サービスの更なる充実を図ります。

第2に、本県の持続可能な成長・発展の実現に向けた取組を積極的に推進します。東京2020オリンピック・パラリンピックを成功させるとともにボランティア活動をはじめとした様々なレガシーをしっかりと継承していくほか、起業家の育成や農業のスマート化などを促進し、本県の稼げる力の向上に取り組みます。加えて、AI・IoTをはじめとした新たな技術を活用して少子高齢化などによる諸課題への対応を図るコンパクトなまちづくりや、交通網の整備による更なる利便性の向上など、未来を見据えた基盤づくりにも取り組みます。

第3に、シニアや女性、外国人、LGBTQの方など誰もが生き生きと活躍できる社会の構築に向けた政策を展開します。人生100年時代を見据え、スポーツを通じた健康寿命の延伸に取り組むなど、生涯現役社会の実現を目指してまいります。また、引き続き子育て支援に力を入れるとともに、女性の活躍推進や外国人との共生社会の実現に努めてまいります。

私は、縦割り行政を廃して、全庁が一体となって「ワンチーム」で効果的な政策を展開することが重要と考えております。
そのため、部局連携の取組として、不断の行財政改革を全庁的に推進し、安定した県政運営基盤を整えます。また、「社会・経済・環境の三方良し」のSDGsの視点を取り入れ、全ての皆様とともに「日本一暮らしやすい埼玉県」の実現に取り組んでまいります。

昨年8月に大野県政では初の新年度予算となった同会計。

選挙時に掲げた知事公約に則り、県民生活の安心・安全と県の持続可能な成長・発展と誰もが生き生きと活躍できる社会の構築という3つの視点を取り込んだ。

その上で社会・経済・環境の三方良しというSDGsの視点を取り入れ、「日本一暮らしやすい埼玉県」を実現していくとしている。

2兆円に迫る過去最大規模

そのようにして策定された当初予算は1兆9,603億1,500万円と1.9兆円台の大台に乗った。

前年度から3.8%増となっているが、これは過去最大規模の予算額だ。

なお特別会計と企業会計を合わせた累計額は3兆4,508億5,773万9千円で、前年度比0.8%減となった。

歳入概要

同会計に関して、歳入は以下のように見込む。

県税 7755
地方交付税 2187
県債 2098
国庫支出金 1642
3基金繰入 437

(単位:億円)

税制改正や海外経済の動向等の影響を受けた法人二税の減収などが見込まれるが、消費税率の引上げによる地方消費税の増収を見込み、県税全体では前年度比14億円増の7,755億円を見込む。

国から支給される地方交付税は質改善を図る地方財政対策を踏まえ、同135億円増の2,187億円を見込む

県債については、台風第19号での被災を教訓とした河川の決壊対策などの公共事業や児童生徒の増に対応するための特別支援学校の設置など、緊急性、必要性の高い事業の財源として活用することとした。これにより同61億円減の2,098億円を見込む。

歳出概要

歳出は以下のように見込む。

給与費 5747
扶助費・公債費 3895
投資的経費 1691
補助費 3015
県税交付金等 3393

給与費は退職者数の減に伴う退職手当の減などにより前年度37億円減、扶助費・公債費は発行利率の低下により公債費の利子が減少したことから同63億円減となった。

他方で投資的経費は県有施設の長寿命化に係る修繕や公共事業費の増により同114億円増、県税交付金は消費税率の引上げによる地方消費税市町村交付金及び地方消費税清算金が増となり同582億円増となった。

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一般会計主要新規施策

一般会計に盛り込まれている主要な新規施策を見ていく。

安心・安全しっかり確保

県民の安心・安全確保に向けて、危機や災害に対処する具体的なシナリオの作成及び図上訓練の実施による関係機関との連携強化(埼玉版FEMA)や 危機管理防災センターの大型映像装置改修や災害発生時等に警察活動で活用する装備資機材の整備を通じ、危機や災害に強い体制づくりを推進していく(約2億円)

また台風第19号での被災を教訓に、河川の決壊対策や漏水・浸透対策、溢水・越水防止対策、浚渫の強化等を実施する(約85億円)

平常時における交通の円滑化や大規模災害発生時における迅速な救援物資の輸送を確保するため、ミッシングリンク(幹線道路の未整備部分)解消に約42億円を計上する。

このほか令和8年度に向けて川口北警察署庁舎の新設に向けた用地の購入や開署予定に約13億円、ドクターカー広域運行拠点の整備に2,600万円を計上する。

持続可能な成長・発展

民間連携による魅力ある埼玉の観光づくりには2,100万円が計上された。
これにはアニメやeスポーツなどの本県ならではの観光スポットやコンテンツを生かして広域の周遊につなげる企画の実施やeスポーツイベントと連携した埼玉プロモーションや県産品の売り込みなどが盛り込まれる。

また産業労働部が推進する「渋沢栄一創業プロジェクト」の一環として、伴走型の創業支援に5,100万円を計上する。成長意欲のあるベンチャー企業等に対して、先輩起業家や専門家等による助言指導、ビジネスマッチング・資金調達等の伴走型の支援を主にスポーツ分野で実施する。
加えて 「(仮称)渋沢栄一起業家サロン」の検討にも500万円が計上され、起業家や様々な業種の大企業・中小企業が交流し、マッチングが創出される場を検討している。

さらにプッシュ型中小企業支援の実施に2,700万円が計上された。「省力化・省人化」「外国人人材活用」「事業承継」の三大課題について専門的知見を持ったアドバイザーによる訪問支援、積極的な企業訪問を行うコーディネーターによる中小企業の販路開拓支援、知財の保護・活用により経営力強化に取り組む企業の掘り起こしを狙う。

加えてボトルネック箇所の解消による円滑な交通の確保に約9.8億円が計上された。これは開かずの踏切や幅員の狭小などにより渋滞が発生しボトルネックとなっている箇所について、立体交差化や道路拡幅等により円滑な交通を確保するものである。

誰もがいきいき活躍

シニアの地域での活躍に向けて、彩の国いきがい大学の刷新に約1.2億円を盛り込む。
新たに「ライフデザイン科」と「地域創造科」を創設して高齢者の元気・自立を支援や地域の担い手となるシニアを育成する。カリキュラムの刷新に合わせ「彩の国いきがい大学」から「埼玉未来大学」へ名称を変更する。

シニアへの就業・起業支援にも約1.8億円を盛り込む。
具体的には、セカンドキャリアセンター川越会場の就職相談日を増やすとともに県民活動総合センターに就職相談会場を増設する。創業・ベンチャー支援センター埼玉にも専門アドバイザーを配置して起業を支援するなど取り組む。

現役世代に向けた施策としては、保育人材確保の取組充実に1,500万円を計上する。
潜在保育士の県内保育所等への就職を支援するため、県独自の就職準備金貸付事業を創設する。

働き方改革の推進には、5,700万円を計上。
働き方改革先進企業と取組を進めたい企業との事例発表・交流会の開催やテレワークの導入や長時間労働の是正に取り組む企業にアドバイザーを派遣し、目標を達成した場合に奨励金を支給したり企業向け働き方改革セミナーの開催などを予定する。

加えて、若者人材の県内企業への就職支援に7,200万円を計上する。
県内大学における1年次から卒業までのキャリア教育と就職活動を一貫して支援するモデルを構築するとともに、LINE相談による若者自立支援センター埼玉の利用促進や就職氷河期世代の求職者に対する正社員化支援及び企業に対する受入体制支援と定着支援を実施していく。

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