前回に引き続き、狭山市駅西口の入間川七夕通り商店街(狭山市入間川、吉田早苗会長)の挑戦を紹介する。
大型店の出店やコロナ禍であっても、商店街として地域の購買機会提供へ力強く挑んでいる。
新規出店で雰囲気も変化
ここ3年に及ぶコロナ禍の中で、近隣の商店街では飲食店を中心に閉店を選ぶ店舗がある。折からの高齢化で後継者不足に悩む店舗も多く、シャッターを閉める事案も少なくない。
同商店街でも店舗が減少傾向にあったが、逆にコーヒースタンドや若者向けの衣服リサイクル店と、若年層による新規出店もある。飲食店が少ない中でもコーヒースタンドができたことで、朝に出勤するサラリーマンなどがコーヒーを買い求めるなど、今までとは異なる雰囲気も生まれつつある。
住宅が多く駅からも近いだけでなく生活コストが低いことで、若者にとっても同地域は魅力的に写ってくるようだ。吉田会長も「我々とは考えも異なる」としながらも、確かな感触を得ている。
各店舗とも次の世代にバトンを託すタイミングになったが、あとはバトンチェンジがうまくいけばと思いをかける。
特徴出して存続はかる
それまでは商店街が地域の買い物の中心だったが、昭和40年代になると西友が近隣に開店するなどスーパーマーケットが買い物の中心に躍り出るようになってきた。入曽駅近くの旧入間小学校跡にイオン系列のショッピングセンターがオープン予定など、今後もスーパーやショッピングセンターの開店が見込まれる。
そうした中で、生鮮三品を扱ってきた店舗はスーパーへの顧客流出がもとで閉店を選んだ。
どうしようかと商店街でも頭を悩ませたが、レジ横に椅子を置いて茶を出し休憩スペースを提供したりと各店舗でも顧客満足へ向けて工夫を行なっている。現在では「お茶屋さんや菓子屋さんなど、ここじゃないけど買えないというお店が生き残っている」と吉田会長。個別に特徴を持つことで顧客関係性を強化し、店舗の支持につなげることで存続が図られている。特に狭山茶の産地だからこそ、茶を扱う店舗は確かな支持がある。同商店街にも2点存在している。
このほか、スポーツ用品店であれば学販、呉服店であれば式典でのレンタルと、それまでの流通経路の見直しでサービス開発で収益を上げ存続している店舗もある。
地場野菜の販売も
生鮮三品を扱う店舗がない中でも、同商店街ではチャレンジショップとして野菜即売市を8年前から実施している。
地域には農家が多く、販売機会の提供として実施。第1回は大雪に見舞われたというが、地場産野菜を目当てに多くが来店。野菜だけでなく惣菜も販売。茶を飲みながら話ができるようなカフェスペースも設けた。
大きなものをやろうとしても難しいものはあるが、「手探りだけど、やってみないとわからない」と吉田会長。
「協力あってこそ」
高齢化やコロナやスーパーの出店と様々な事情がある中でも、「小さいながらもみんなと取り組んで街を盛り上げて行ければ」と吉田会長。
新しい時代に伝統を継承していく協力あってこそ事業もできる。
今後も入間川を生かした地域活性化や、市民との共創にも展望を抱く。
駅近くの飯能信用金庫の協力で地域グルメを生かした弁当も同庫で販売しており、イベントの際にはスタッフとして応援に来ることもある。規模として小規模であっても地域の各位と協力してまちを盛り上げていく姿勢が、同商店街の何よりの持ち味なのだ。
おわり