新型コロナウイルスの影響で企業や店舗の営業自粛が行われているが、この4月から改正健康推進法が全面施行されている。
同法施行によりオフィス内での原則禁煙や喫煙専用室設置などが各企業・事業者に求められるようになった。
これに先立ち帝国データバンク大宮支店が県内企業における喫煙に関する意識調査を実施した。
調査概要
- 調査期間:2020/2/14~2/29
- 調査対象:全国968社(うち有効回答企業数412社、回答率42.6%)
改正健康増進法とは?
調査結果の紹介に先立ち、改正となった同法を簡単に紹介する。
改正のポイント
喫煙による健康影響を防ぐべく2002年に制定された健康増進法には受動喫煙対策が努力義務として設けられ、公共交通機関やオフィスなどで禁煙や分煙の取組が広がった。しかし店舗や施設によって対策がまちまちであることから、望まない受動喫煙をなくすべく改正法が成立した。
改正にあたっては3つのポイントがある。
- 「望まない受動喫煙」をなくす:屋内では原則禁煙
- 受動喫煙による健康への影響が大きい子ども、患者などに特に配慮:20歳未満の人、患者等が主たる利用者となる学校や病院等の施設では、敷地内禁煙
- 施設の種類や場所にあった対策を実施:施設の種類、場所ごとに、敷地内禁煙・原則屋内禁煙にすることや喫煙室を設置する場所には標識を掲示することなどが義務づけられる
この改正により、受動喫煙を防ぐための取組が「マナー」から「ルール」へと変わった。
企業・事業者に求められる取組
同法改正にあたり、企業や事業者には以下のような取組が求められる。
- 屋内での原則全面禁煙
- 喫煙専用室(飲食不可)および加熱式たばこ喫煙専用室(飲食可)や屋外喫煙所の設置
- 喫煙エリアへの20歳未満立ち入り禁止
- 喫煙可能な場合は標識の設置
など
特に飲食店においては今月以降に新規営業開始するものや100㎡以上の大規模店に関しては原則禁煙と喫煙専用室および加熱式たばこ専用室の設置が求められる。これにより喫煙席の喫煙というものができなくなる。
ただそれ以前に開店した店舗や小規模店に関してはこの限りではなく、経過措置として引き続き受動喫煙防止対策が求められる。
全面禁煙は20.6%
同調査では、自社の本社事業所または主要事業所の喫煙状況を尋ねた。
(帝国データバンク発表資料より、以下同)
適切な換気がされている喫煙場所がある、または屋外に喫煙場所を設けている「完全分煙」が57.8%でトップとなった。
また社内における喫煙を全面的に禁じる「全面禁煙」は20.6%となり、2017年9月実施の前回調査から3.8ポイント増加した。5社に1社は全面禁煙になる計算だ。
小規模・接客業ほど全面禁煙
全面禁煙について規模別にみると、規模が小さい企業ほど全面禁煙を実施している割合が高く大企業の倍近い数値となった。人数が少ない分、禁煙にもしやすいということなのかもしれない。
業界別に見ると「卸売」が37.7%でトップで、これに「小売」(37.5%)「金融」(33.3%)「不動産」(28.6%)「サービス」(28.3%)と続く。小売業やサービス業など顧客に接する接客業では人と人との距離が近いだけに禁煙割合が高くなっているのが特徴的だ。
一方で製造業や運輸・倉庫業などでは全面禁煙の割合が低くなっているが、個人の権利と協調性のバランスを考慮して喫煙を容認する声があるようだ。