
埼玉県内の主要業界・業種の景況に関して調査した、埼玉県四半期経営動向調査の今年1~3月期分の結果が公表されました。
この調査内容について少し見ていきます。
調査について
埼玉県では産業労働施策を推進するための基礎資料とするため、県内主要業界や業種の景況感や今後の見通しについて見る調査を埼玉県四半期経営動向調査として四半期ごとに実施しています。
同調査では製造・非製造業を合わせた2,200の県内企業を対象にした書面アンケート調査と、5業種40の企業・団体を対象としたヒアリング調査によって行われます。
このうち書面アンケート調査は各企業の全般的な景況感や売上、資金繰りなどにおける動向をDI(良いと答えた割合から悪いと答えた割合を引いたもの)によって示します。これに加えて特定のテーマを回ごとに設けて特別調査として同じくアンケートを取っております。
今回調査では2,200の対象企業のうち、約7割に当たる1,522の企業から回答が得られました。内訳は製造業12業種677社・非製造業7業種845社です。
県内企業の経営状況
厳しい局面に転じた現況
まずは自社業界の景気について尋ね景況感を見ていきます。
製造・非製造業合わせると「好況である」とみる企業は6.6%に対し「不況である」とみる企業は43.7%で、両者の差である景況感DIは-37.1となりました。
前期(2019年10〜12月)の-29.0から8.1ポイント減少し、2期ぶりに悪化に転じました。
自動車や半導体関連で不振が続いていることや中国向け輸出が伸びなかったこと、暖冬で冬物が思うように売れなかったことなどが背景にあるようです。(ヒアリング調査より)
製造業では「好況である」とみる企業は7.3%に対し「不況である」とみる企業は42.0%で、景況感DIは-34.7となりました。同9.7ポイント減で2期ぶりに悪化転じました。
業種別では対象となった12業種中、「食料品製造」「家具・装備品」「印刷業」「プラスチック製品」の4業種が前期から改善したものの、「電気機械器具」(同34.3ポイント減)などそれ以外では悪化しました。
非製造業では「好況である」とみる企業は6.0%に対し「不況である」とみる企業は45.0%で、景況感DIは-39.0となりました。同6.8ポイント減で、こちらも3期ぶりの悪化です。
業種別だと7業種すべて悪化しており、特に「サービス業」は同14.2ポイント減となっています。
先行きは改善傾向
ただ、先行きを見ると一概に厳しい局面とは言えなさそうです。
全業界で見ると「良い方向に向かう」とみる企業は8.9%(同1.5ポイント増)に対し「悪い方向に向かう」とみる企業は26.2%(同0.7ポイント減)となりました。
両者の差をとった先行きDIは-17.3となり、同2.2ポイント増と2期ぶりに改善しており先行きに関してはやや明るいようです。
製造業の先行きDIは同0.6ポイント増-14.5で、非製造業では同3.4ポイント増の-19.6でした。
後者の方が企業数が多いため、後者での増加が全体の向上に寄与したと考えられます。
建設業での受注増や旅行需要の増大などが背景にありますが、一方で特に製造業からはコストの増大や中国情勢で先行きを危ぶむ声も多く挙がっていました。