事業継続計画(BCP)の策定について

景況調査はこのくらいにして、特別調査では県内企業の事業継続計画(BCP)について調査をしています。今度はそちらの結果を見ていきます。

事業継続計画(BCP)
Business Continuity Planの略。
災害や事故などが発生した場合に備えて、企業や行政組織が事業の継続や早期に事業を再開するために策定する行動計画。

最も事業への影響が大きいリスクは…

まず県内企業は事業への影響が最も大きいリスクについてはどのように考えているのでしょうか。

製造・非製造業合わせると最も多く回答があったのは「地震」で、49.4%が回答しています。

これに「火災」(38.4%)、「経営者の入院等による長期不在」(36.0%)、「取引先の倒産」(33.4%)と続きます。

業界別に見ると製造業では「地震」「火災」「設備故障」の順で多いのですが、非製造業では「地震」「経営者の入院等による長期不在」「火災」の順で多く業界の特性で捉えるリスクの順位も異なるようです。

小規模ほど進まぬBCP

ではBCPについて策定している県内企業の割合はどの程度でしょうか。

全体で見るとで「策定済み」が6.6%で「策定中」が6.4%となり、 この2つを合わせて13.0%でした。これは2016年調査時よりも4.7ポイ ント増となっています。ただ「策定する予定はない」は41.8%と「BCPを知らない」は22.9%で、6割以上の企業がBCPに関して意識を向けていないことが伝わってきます。

企業の規模別にBCPの策定状況を見たのが上記の図。

これを見ると、規模が大きいほどBCPへの策定状況も増加傾向にあります。反面、規模が小さい企業ではBCPの策定がそこまで進んでいません

こと小規模企業では人数にも設備にも限りがあるため、何かあった時に受ける影響も大きいことと思われます。なのでより一層BCPが求められている状況ではあるのですけどね…。

独自戦略が約2/3

では実際にBCPを策定している企業はどのような対策を策定したのでしょうか。

全体で見ると自社独自のBCPを採用している企業が65.8%とおよそ2/3を占めます。

こと製造業になるとその数値は大きいようですが、国土交通省や中小企業庁が策定しているBCPを採用している企業も一定数存在します。後者についてはあらかじめテンプレートが用意されていますので策定の際の負担も大幅に減るため、手軽に採用できることと思います。

策定のネックになっているのは…

一方「策定する気はない」と答えた41.8%の企業はなぜそのように回答したのでしょうか。

その理由を見たのが上図。

「人的余裕がない」(41.6%)が最も多く、人的余裕がBCP策定へのネックになっている実情が伺えます。特に製造業(38.6%)よりも非製造業(44.0%)での回答割合が高くなっていました。

以下「具体的な策定方法が分からない」(30.5%)、「資金的余裕がない」(27.1%)、「より優先すべき課題がある」(25.4%)、「時間的余裕がない」(22.3%)と続いています。

求められる金銭的支援

BCPの策定に関して求める支援策を見たのが上図。

「補助金等金銭的な支援」(41.6%)、「事例集や策定手引きの提供」(40.4%)、「セミナーの開催」(31.1%)、「専門家によるコンサルティング」(15.8%)の順となりました。

上述したように資金的な問題よりも人材面での問題でBCP策定を見送っている企業が多いのですが、実際には逆にコンサルティングよりも資金援助が求められているようです。それでも事例集や策定手引きの提供を求める声も根強く、なんとか人的余裕を割いて自分たちで考えて策定したいという意図も伝わってきます。

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書き終えての所感

災害が少ないということで埼玉県に拠点を増やす企業も増えていますが、いつ災害は起きてしまうかわかりません。
どの企業や事業者であってもBCPは避けて通れません。
国交相や中小企業庁でも事例を配布しているのでそれを基準に検討してみれば負担は少ないことでしょう。地域の他社や取引先などのBCPを参考にするのも良いと思います。
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