大宮以外の埼玉の街にフォーカスをあてる大宮以外の埼玉シリーズ。
今月ご紹介するのは、まさかまさかで今話題沸騰の深谷市です!
誰もが知っている偉人の郷
川に挟まれた肥沃な土地
まずは街のプロフィールからです。
深谷市は東京都心から北に約70km、埼玉県北部に位置する人口約14万人の街です。北部は利根川水系の低地で南部は荒川の扇状台地から成る平坦な土地となっていて、起伏が多くないのが特徴です。
鉄道路線はJR高崎線と秩父鉄道の2路線が、道路は関越自動車道や国道17号線などが走り、中心市街地はJR深谷駅周辺です。
1456年に上杉房顕によって深谷城を築かれて城下町が形成されたのを皮切りに、江戸時代には中山道の宿場が置かれ栄華を極めました。
現在の市域は2006年に旧深谷市と周辺の岡部町・川本町・花園町が合併して形成されました。
ちなみに深谷という名前の由来には、台地下の低湿地帯であったためその名がついたという説と低湿地帯に茂っていた萱(かや)が折り重なるように広がっていたことから「伏せ萱」が訛って深谷になったという説があるのだそうですよ。
みんなに人気のふっかちゃん
同市の名産といえば、何と言っても深谷ねぎ!普通のねぎよりも白身が多いことが特徴で、全国に出荷されています。
そんな同市の農業産出額(2015年度推計)は349億円で、全国20位・県内トップの生産規模となっています。ねぎに限らず、生花や鶏卵の生産量も非常に多いんですよ。
花の生産量が多いことで、街としても「花の王国」としてブランド化にも取り組んでいます。
そんな深谷ねぎを象って2010年に誕生した同市のゆるキャラといえば、ご存知ふっかちゃんです!
イメージや知名度の向上を目的に制定されたふっかちゃんは市内外で市のPRキャラクターを務めており、2014年のゆるキャラグランプリでは2位に輝いた実績を持つ埼玉を代表するゆるキャラです。
近代日本の父・渋沢栄一翁の故郷
そして深谷が生んだ人物といったら、この人を避けて通ることはできないでしょう。
それが近代日本の父・渋沢栄一(1840〜1931)翁です!
詳しい人物史は後に取り上げますが、渋沢は江戸時代末期に深谷・血洗島の地で生を受けました。幼い頃から論語や剣術に触れた渋沢は15代将軍徳川慶喜に仕え、フランスをへ渡りパリ万博などを視察します。
その後明治新政府が誕生すると大蔵省へ入省しましたが、程なく実業家に転じます。
それからは商法講習所(現在の一橋大学)や第一国立銀行(現在のみずほ銀行)をはじめ東京瓦斯や東京証券取引所、秩父セメントなどあらゆる機関や企業の立ち上げに参画し、生涯設立した企業は500社以上とも言われています。
埼玉の偉人、いよいよ紙幣に!
満を持しての採用
先月頃から深谷を取り上げようとは思っていたのですが、実際に現地へロケに向かう直前に衝撃的なニュースが埼玉を、そして列島を震撼させました。
財務省は9日、千円、5千円、1万円の紙幣(日本銀行券)を2024年度上半期に一新すると発表した。04年以来、20年ぶりとなる。新紙幣の表の図柄は1万円札が渋沢栄一、5千円札が津田梅子、千円札が北里柴三郎になる。
〜中略〜
渋沢栄一は第一国立銀行(現在のみずほ銀行)など数多くの企業を設立し、日本の資本主義の父とされた。1万円札の人物の変更は1984年に聖徳太子から福沢諭吉になって以来となる。
〜中略〜
裏の図柄は新1万円札が東京駅舎、新5千円札が藤(ふじ)の柄、新千円札が葛飾北斎の「富嶽三十六景」の一つ「神奈川沖浪裏」となる。
〜以下略〜
(「紙幣24年度に刷新 1万円、渋沢栄一と東京駅舎 」 日本経済新聞 2019/4/9)
なんと2024年から新たに発行される1万円紙幣に渋沢の肖像が使われることになったのです!1万円札というと福沢諭吉の肖像が長く使われてきましたが、40年ぶりのモデルチェンジとなります。
なお、1963年に発行された1000円札でも肖像の候補として伊藤博文と共に渋沢が最終候補に上がっておりサンプル紙幣も作られました。ですが偽造防止には髭のある人物の方が好ましいということで、最終的に伊藤が採用されたという苦い歴史もあります。
なので悲願の、そして埼玉県民待望の採用ともいえるでしょう!
裏面にも所縁あり
そして裏面には、渋沢や深谷が建設に大きく関わった東京駅の赤レンガ駅舎も描かれています。どのように関わったのかは後の回でご紹介いたします。
この報道がされるや否や、渋沢の生まれた深谷に大きな注目が集まっているといいます。
発表前から決めてはいたことですが、当サイトとしてもこれからますます注目されること間違いなしの深谷市の魅力を最大限にお伝えできるよう気合いを入れて現地ロケを敢行しました。