新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)により、観光客など顧客減で営業不振に陥っている企業・事業者も出始めている。
また、オフィス・作業場での感染対策も急務だ。
前回は個人・家庭に向けての対策を紹介したが、明日から連休明けだけに今回は法人・事業者に向けた対策を紹介する。
参考:企業での対策状況
埼玉県内の事例ではないが、株式会社オルトプラスが運営するバックオフィス向け情報発信メディア「CBplus」では2/4〜2/14の期間で、都内バックオフィス(人事・総務・労務・経理・その他内勤など、総サンプル数61)勤務者を中心に「新型コロナウイルスに対する企業対策アンケート」を実施した。
その結果、88%の企業が何らかの対策を実施していることがわかった。
一番多かったのは社内呼びかけ、これに消臭スプレーの設置、マスク配布、在宅勤務と続き、皆3割を超えている。特に社内呼びかけについてはすぐに実践できることなので、朝礼や社内メールを通じて注意喚起を行うのがいいだろう。
ただ、調査に答えた企業の半数近くがその対策に満足していないと答えている。
労務関連
雇用調整助成金の特例措置
雇用調整助成金とは?
厚生労働省では、雇用の維持に向けて雇用調整助成金を支給している。
これは景気の後退等、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用調整を行わざるを得ない事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用を維持した場合に、休業手当や賃金の一部を助成する。
対象者及び特例内容
同感染症の影響で日中間の人の往来が急減し、事業活動が急激に縮小する事業所が生じており、その影響の長期化も懸念される。
それゆえ、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う以下のような経営環境の悪化については、経済上の理由に当たり、それによって事業活動が縮小して休業等を行った場合は、助成対象となる。
- 市民活動が自粛されたことにより、客数が減った。
- 風評被害により観光客の予約キャンセルが相次ぎ、これに伴い客数が減った
通常の助成から今回の助成金は以下のように特例を設けている。
- 対象事業者を新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主に拡大
- 1/24に遡っての休業等計画届の提出が可能(〜5/31)
- 生産指標(販売量、売上高等の事業活動を示す指標)の確認期間を3か月から1か月に短縮
- 1/24時点で事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象
- 最近3か月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象
詳細や申込方法は最寄りのハローワークに確認されたい。
テレワークの導入について
感染防止のため、自社従業員にテレワーク(在宅勤務)を導入したいと考える事業者も多いことだろう。
厚生労働省では、テレワークに関する相談窓口、企業の導入事例紹介などテレワークの導入・活用に向けた各種情報「テレワーク総合ポータルサイト」で発信している。
また導入にあたっての相談を、以下の窓口で実施している。
◇テレワーク相談センター(平日9:00〜17:00)
- TEL:0120-91-6479(または03-5577-4572)
- Mail:sodan@japan-telework.or.jp
なおテレワーク時にも労働基準関係法令が適用されるが、労働者が通常の勤務と異なる環境で就業することになるため、労働時間管理などに留意する必要がある。同省が定めるガイドラインを参考にすること。
新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコースの助成について
厚労省は、「働き方改革推進支援助成金」に新型コロナウイルス感染症対策を目的とした取組を行う事業主を支援するテレワーク導入特例コースを時限的に設けている。
(1)対象事業主
新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規(※)で導入する中小企業事業主 ※試行的に導入している事業主も対象となる。
<対象となる中小企業事業主>
労働者災害補償保険の適用中小企業事業主であること
(2)助成対象の取組
- テレワーク用通信機器(※)の導入・運用
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 労務管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング 等
※パソコン、タブレット、スマートフォンの購入費用は
(3)主な要件
事業実施期間中に
- 助成対象の取組を行うこと
- テレワークを実施した労働者が1人以上いること
(4)助成の対象となる事業の実施期間
令和2年2月17日~5月31日
(5)支給額
補助率:1/2(1企業当たりの上限額:100万円)
(6)利用の流れ(申請マニュアル参照)
- 「働き方改革推進支援助成金交付申請書」を事業実施計画書などの必要書類とともに、テレワーク相談センターに提出(締切は5/29(金))
- 後日、厚生労働省から交付決定通知書が送付される
- 事業実施期間終了後、テレワーク相談センターに支給申請(締切は7/15(水))
- 厚生労働省から支給
休業手当の扱い
同省では、発熱などの風邪の症状がある従業員に対して会社を休むよう呼びかけることを使用者に奨励している。
同感染症に関連して労働者を休業させる場合、欠勤中の賃金の取り扱いについては、労使で十分に話し合い、労使が協力して労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えることが必要だ。
特に労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされている。そのため、休業に際して休業手当の支払いが発生する場合がある。例えば感染有無に関わらず37.5度以上の発熱がある従業員に一律に休業させる場合には発生する。
一方で、同感染症に感染しているものの都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当せず支払い義務は発生しない。また、従業員自身が自主的に休む場合も通常の病欠と同様とされる。
労働関係全般の相談窓口
厚生労働省埼玉労働局では、特別労働相談窓口をしている。
同感染症による経済的影響に係る労働関係に関する相談(休業、雇用調整助成金、解雇・退職、特別休暇制度等)を受け付けている。もしもわからない点があれば、利用するのがいいだろう。
さいたま市中央区新都心11-2 ランド・アクシス・タワー16階
048-600-6262
受付時間は平日9:00〜17:00となっている。