
川口市を舞台にした映画「車線変更-キューポラを見上げて」がこのほど完成し、12/30のMOVIX川口(同市並木元町)を皮切りに順次全国公開がなされる。
コロナ禍や出演者の死去など様々な逆境にあいながらも、障がいを抱えても前に進む若者を描いた作品を評価する声も多い。
道は一つでなく「車線変更」もあり
同作の主人公は同市内鋳物工場の息子でオートレーサーの野平幸助。幸助は練習中に起きた接触事故がもとで障がいを負うが、健常者の時には想像もつかなかったような仕打ちを受けることになる。大きな絶望を感じる中、父の徳人や母の円美といった周囲の手助け、そして義足でロードレースに挑む松本唯に出会ったことでバイクからロードレーサーに転換し再び自らの夢を追い求めるようになる。
若いオートレーサーの事故による「障がい」をテーマにしたストーリーになっているが、「本来描きたいことは私たちが日常で生活する上での『壁』だったり『挫折』といった事です」と同作の国枝秀美エグゼクティブプロデューサー。家庭の問題・仕事の問題・災害や経済の悪化など、生活する上において困難な壁は、誰にでも予告無くやってくる。そんな時に選択する道は1つとは限らず、どうしても乗り越えられない時は、誰かを頼りして困難に立ち向かうことも出来るしその困難から逃れて別の道を歩くことも出来る。 そして、その先にはきっと新しい未来が開けていると同氏は信じる。
「道は1つではなく『車線変更』していいんだ。そんなことをお伝えしたい映画です。 私自身がそうだったように」とタイトルに込めた想いを語る。
岡江久美子さんの遺作としても
主人公・野平幸助を演じるのはミスター中央大学受賞経験のある平田雄也さんで、父・徳人役に「スカイライダー」でおなじみの村上弘明さん、そして母・円美役に2020年に新型コロナウイルス感染症で亡くなった岡江久美子さんがキャスティングされている。
同作自体も2019年内にほとんどの撮影が終わっていたが、仕上げ以降の作業がコロナ禍で中止を余儀なくされていた。そのような中で岡江さんの訃報が流れたが、最初に聞いたときは驚きで信じられなかったという。同作自体も大きな影響を受け一時は完成が危ぶまれた時期があったものの、地域住民はじめ多くの支援者の力で完成に至った。
岡江さんにとって3年越しの出演作で遺作となった同作について、「今は岡江久美子さんの素晴らしい演技を全国の皆さんへお届けできることが、『心から良かった』と感じています」と同氏。
明日12/22アリオ川口でも公開イベント
11/26には完成披露試写会も開催されたが、多くの者が3年越しの完成を祝い何度も泣きながら観覧したという。明日12/22にはアリオ川口(同市並木元町)で公開イベントを開催。出演者らのスペシャルトークや主題歌のミニライブなどが行われる。11:00〜と13:00〜の2部制で、整理券を配布。
12/30からは同地に位置するMOVIX川口において1ヶ月間の予定で上映。以降も全国で順次上映するが、全国上映終了後は映画館の無い街や村でも上映会開催を予定。学校や公民館やホールなどでの上映を企画主催する団体や個人も募集中。
今年2022年は同市を舞台にした吉永小百合さん主演の「キューポラのある街」公開から60年の節目になっている。「この映画は今の川口市の風景や産業を、映画という歴史に残すために製作したものです。是非ご覧ください」と同氏。
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