さいたま市文化振興事業団(同市南区根岸、柳沢幸一理事長)は1/9(月・祝)、大宮高島屋(同市大宮区大門町)において「新春・和の彩りコンサート」を開催した。
アウトリーチの一環として、地域企業と連携して市民に対して芸術に触れ合う機会を提供し地域の芸術振興に努める。
市民会館開館契機に
同事業団は、市民に対して様々な側面から文化芸術の普及活動を行っている。
市民が芸術に触れ合うきっかけとして、2012年より公共機関でアウトリーチコンサートを開催してきたが、その経験を踏まえて地域企業と連携した文化振興を推進。昨年度は文明堂(桜区在家)と連携してコンサートを開催した。
昨年4月には、同事業団が所管するRaiBocHall市民会館おおみやが、大宮門街に開館した。そして、向かいにある同店とつながりができたことで、今回の開催に至ったという。
「文化芸術に触れる機会を」
2部制で行われた同コンサートは、県出身者で構成され県内を中心に活動する和楽器ユニット「サイタマティック」が生演奏を披露。コロナ感染予防のため定員を67名とし、抽選に当選した老若男女が参加。
会場には県いけばな連合会所属の小堀香水氏の草月いけばなも飾られ、「春よ早く来い」と思いを込めたフリージアを添えている。
冒頭で同事業団事業課の大野佐代子さんが挨拶。スマホの普及で手軽に音楽が聴けるようになったが、生演奏を聴く機会が少ないだけに「アウトリーチとして文化芸術に触れる機会を提供できれば」と開催の主旨を述べた。
琴・尺八で地域表現
続けてサイタマティックから和服をまとった女性メンバー3名が登場し、琴や尺八といった和楽器を用いた生演奏を行った。
新春らしく「春の海」をアレンジした曲や地域の名物である大宮盆栽をモチーフにした楽曲「盆栽の街」や県の花をモチーフにした「サクラソウ」など10曲を演奏。息のあった演奏に参加者からも割れんばかりの拍手が起きた。
オリジナルの和楽器ポーズで参加者と触れ合う中で、地域の名産・資源を和楽器で表現する同ユニットとして「埼玉県全市町村を巡るツアーをやりたい」と抱負を述べた。地域外でも演奏することがあるが「『埼玉といえばこれ』という曲はあまりないので、アイディアがあれば」と同ユニット。
見沼区の母娘は、娘の名前に「和」があるということで参加。「演奏を聴いて正月の気分になれた」と感想を述べた。今年は健康に過ごしつつ新しいことにチャレンジできる1年にしていきたいとしている。
10区での企業連携視野に
今回の開催について、各回とも100を超える応募があった。「コロナ禍で人々がコンサートに行く機会も減っていただけに、通常に戻ってきたのでは」と同事業団事業課の羽諸英臣さん。
1/21(木)には、さいたま市文化センター(同市南区根岸)のステージで本格的な能楽を展開する「さいたま能」も開催予定。
今年2023年はさいたま市が政令指定都市に移行して20年となる節目だが、「全10区で各地域の企業と連携できないか検討している」と展望を抱く。