川口駅東口で30年近くにわたって営業を続けてきたそごう川口店(川口市栄町)が2/28(日)をもって閉店する。
閉店まで1週間となった先日2/21(日)には地域住民をはじめ多くの買い物客が訪れ、閉店セールでの買い物とともに消え去る地域のシンボルとの別れを惜しんでいた。
そごう川口店について
店舗概要
1991年10月に同系列悲願となる30店舗目(当時)の店舗として開店した同店。周辺一帯では再開発が行われていたが、その鍵となる施設として設立された。
地上11階地下1階建の店内では主に衣料品・生活雑貨類を販売、上階にはユニクロやロフトなども入居する。10階は川の流れるレストラン街となっており、宮川本店やレストラン桃源など銀座周辺の名店を揃えた。3階部が駅から続く歩行者デッキと直結しており、アクセスも優れる。
「世界へ。そごう新世紀、始まる」をキャッチフレーズに開店して以来、県南東部において大型百貨店が少なかったこともあり地域の注目を集めていた。
その後、ポストバブルの平成不況に伴う消費低迷で運営するそごうも2000年に経営破綻に追い込まれ、系列店の閉店も相次いだ。しかし同店はリストラの結果家賃が減額される見込みとなったことから、閉店対象にはならなかった。同社は2003年に西武百貨店(当時)と経営統合し、2009年にはそごう・西武として合併を果たしている。
開店以来今日に至るまで、約1億6000万人の利用者を集めてきた。
閉店に至る経緯・その後の反応
30年近くにわたり地域のシンボルとして営業を続けてきた同店だが、2019年10月にそごう・西武は同店の閉店を発表。郊外大型ショッピングモールやネットショッピングの発展で、最盛期の半分近くにまで売上が低下していたことが主な要因となる。
同店周辺でも2000年にイオンモール川口前川(同市前川)、2005年にアリオ川口(同市並木元町)などが相次いで開店している。
直結の駐車場がないため、遠方からのアクセスに適しなかったことも客足が離れた要因という。
閉店が発表されると、奥ノ木信夫市長はじめ地域内外で「地域のシンボルだっただけに残念」など落胆の声が多く上がった。
実際の閉店まで1年以上時間はあったが、「さよならの前に、できること」として様々な取り組みを通じ同店では今まで利用してきた地域への感謝を示してきた。
コロナ禍で外出制限がかかり大々的な閉店セールもしづらい中、「最後の1ヶ月も、いつも通りに。」と歩行者デッキにつながる3階入口にメッセージボードを掲示している。
閉店直前の店内の模様
写真で見る川口そごうの歩み
閉店に伴い、3階エントランスでは「我が街川口写真展」として往年の地域の様相や同店の開店までの歩みを写真で紹介している。
歩行者デッキを埋め尽くすほど多くの客が殺到した開店日の写真も掲示されており、当時を懐かしむ見物客の姿も多くあった。開店時の新聞折込チラシの拡大コピーも掲示され、別れに華を添えている。
華やかも寂しげな閉店セール
各フロアでは「さよなら大セール」と銘打ち、閉店セールが行われている。
9割にも及ぶ割引商品もあり、燃え尽きる前の線香花火のごとく大判振る舞いだ。
コロナ禍で客足も落ちており寂しい閉店セールではあるが、興味津々で商品を手に取り名残惜しくも買い物に興じる買い物客の姿も多く見られた。
感謝溢れるメッセージボード
レストラン街がある10階には利用客によるメッセージボードが設置されている。
自由に書き加えることができるが、空きスペースがほとんどないほどびっしりメッセージが貼り付けられており、地域からの愛顧の大きさがうかがい知れる。
「長い間ありがとう」「今までお疲れ様」といった労いの言葉から「結婚や出産の時に利用しました」「20年間働いていました」など店舗にまつわる思い出を語るメッセージもあった。
いずれにしても各自が同店に対して並々ならぬ想いを抱いていることが伺えてくる。