■「さあゲームの始まりです 愚鈍な警察諸君 ボクを止めてみたまえ」
四半世紀前の1997年に社会に衝撃を与えた神戸連続児童殺傷事件で、犯人である酒鬼薔薇聖斗こと少年Aが記した犯行声明の一文だ。
当時中学生だった同少年は、殺害した男児の首と同声明を近隣の中学校の校門へ置いた。普通の中学生による犯行で猟奇さもさながら、血をイメージしたのか赤文字で書かれた同声明に社会全体が震撼した。
■直接の被害は確認されていないが、受験シーズンが到来した先週の埼玉に緊張が走った。
1/24、135の県立学校に「金を振り込まなければ生徒や教員を殺害する」という内容のFAXが届いた。直接の被害は確認されなかったが、受信した学校が急遽臨時休校となり、一部学校では入試の追試験が取りやめられる措置が取られた。
その翌日1/25にも、同内容を想起させる犯行予告のFAXを県立学校や市町村立中学校333校で受信。こちらも直接の被害は確認されなかったが、各校が警察と連携して生徒の安全確保に奔走した。
同様の事件が埼玉のみならず他の都道府県でも起きているといい、当事者となる生徒はもちろん保護者や教育関係者に多大な緊張や不安が生じている。
■ちょうど1年前の大学入試共通テスト実施日に起きた事件が、脳裏をよぎった。
昨年1/15に同テスト会場となっていた東京都文京区の東京大学前で、受験生や高齢者ら3名が刃物で切りつけられる事件が発生。いずれも命に別状はなかったが、名古屋の男子高校生による犯行だった。
当時高校2年生だった同生徒も東大を目指して受験勉強に励んでいた。それでも、成績が伸び悩んだことに頭を抱え、自信を無くした末の犯行だったと報じられている。
■小生は警察でも探偵でもないので、今回のFAXを送った犯人がどういう人物かは断定しかねる。
しかし、中学・高校受験が本格化しつつある中で起こった事件だけに、何かしら受験に不安を感じたもしくは受験自体にコンプレックスがある者の犯行かもしれないと感じた。1校だけでなく複数の学校にFAXが送られているという点が気がかりで、受験を控える各学校やそこに通う生徒に対して不安を与え、受験そのものに影響を与えたかったのではと推察する。
同じ生徒によるものなのか大人によるものかも判断はできないが、受験シーズンに突入したこの時期というのがどうにも引っかかる。確かに受験を控えて多くの学生が不安になっていることだし、少子化に伴う倍率低下で各学校とも生徒確保に思案巡らせていることだろう。昨年も東大であのような事件が起きていただけに、やはりこの時期というのは特に教育現場においては緊張が止まらない時期といえよう。
そのような時期に起きた事件ゆえ、何かしらの関係があるように思えてならないのだ。
■「まず自分のことを誇れる存在になりなさい。そうなればあなたは自分の望みをかなえることができるでしょう。それが自信というものです」
アイルランドの宗教家ジョセフ・マーフィー(1898〜1981)の言葉だ。
誰の犯行にしても、これから受験という荒波に挑む生徒たちにはどうか自信を持って欲しい。いくら他人が褒めても、自分のことを認められないと真の自信とは言えない。自信があるからこそ人はより上昇していこうと思えるし、それに向かって努力ができる。そうして、その目標を叶えやすくなる。
小生もこれから大学院を修了できるかの大一番だ。正直自信があるようでないのだが、こんな偉そうなことを書いている身としてまず手本を示さなければならない。
自分を認め、他者も認めていくこと。これこそが互いを信じることにつながり、難局を乗り越える鍵となるのだ。