【埼事記 2020/11/3】混沌下での一戦 アメリカ大統領選挙の行く末は

■埼玉ではなく大阪での出来事だが、先日11/1に大阪維新の会が結党以来の悲願としている大阪都構想の住民投票が行われた。東京に続く特別区の設置として当の大阪市民はもとより全国的にも注目を集める投票となった。

結果は既報の通り前回2015年の住民投票と同じく反対が賛成を上回り、同構想は廃案となる見込みだ。

投票結果を受けて、同会代表の松井一郎大阪市長も任期後の政界引退を公言している。

■そして本日、コロナ禍の真っ只中にある日本国内はもとより世界各国が注目を集める投票が行われる。4年に一度のアメリカ大統領選挙、その一般有権者投票だ。

遠く海を隔てた異国のトップを決める選挙ではあるが、戦後75年に渡り強固な日米同盟のもとで存続している我が国にとっても無視はできない選挙である。こちらも首相も代わったばかりではあるが、誰がトップになるかで同同盟を始め今後の外交や通商にも影響が出かねない。

■埼玉もその影響を例外なく受けうる。

ぶぎん地域経済研究所が今年3月に公表した調査結果では約1/4の県内企業が景気後退になりうる要因として米中貿易摩擦の強まりを挙げている。ここ数年でアメリカと中国間で対立が生じているが、誰がトップになるかによってこの対立関係にも変化が生じるかもしれない。

そのような点で見ると、地域にとっても同選挙は単なる一選挙とは言い難い。

■今回の立候補者で選挙戦の目玉となりそうなのが、現職大統領の共和党ドナルド・トランプ氏と前副大統領の民主党ジョー・バイデン氏の2名だ。

トランプ氏は「自国第一主義」のもと自国の権利拡大に奔走してきたが、自身も感染し国内でも感染者が急増している新型コロナウイルス対策をどのように打ち出すかが勝敗の鍵になる。

そしてバイデン氏もトランプ氏による4年間に出た不満などを踏まえ、社会保障の充実や同盟国との関係強化に努めていくとしている。

両者の支持率も僅差でトランプ氏が上回っているとされ、接戦が予想される。

■選挙戦が繰り広げられている現地の人と話す機会があり 、現地の様子を聞いた。

聞けば両者の支持者の対立でデモや暴動が起こっており、管轄するシカゴ日本大使館からも外出時に十分気をつけるようにと警告を受けているという。同選挙の前後に何か起きるのではないかと不安も感じているということだ。

新型コロナウイルスをはじめ折からの人種差別問題や貧富差の拡大など、社会不安が広がっている中においての選挙だけに、この上ない緊張が走っていることがうかがえる。全州で銃の登録も増えているというが、南北戦争さながらの「内戦」といった様相を呈している。

■コロナ禍において郵便投票も行われるなど、今回の選挙戦はいつになく混沌としたものになりそうだ。支持率もほぼ拮抗し有権者投票だけで大勢が決まらない可能性もあるだけに、どちらに触れてもおかしくはない状況である。

アメリカのみならず世界各国で社会不安が顕在化しつつある中、世界が注目する一戦の火蓋が今まさに切って落とされる。

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