【日々是埼玉 2020/1/3】県内企業約4割が「悪化見込み」ー2020年埼玉経済の行く末は

いよいよ始まった2020年。

東京オリンピック・パラリンピックなど埼玉県内でも大きなイベントなどが予定されているが、気になるのが県内経済の行く末。果たして県内企業は経済の先行きをどのように見ているのか。

2019年の景気動向及び2020年の景気見通しに対する県内企業の見解について帝国データバンク大宮支店が調査を実施したので、その結果をもとに分析していく。

調査概要

  • 調査主体:帝国データバンク大宮支店
  • 調査期間:2019/11/18〜30
  • 対象企業数:埼玉県内企業976社
  • 有効回答企業数:389社(回答率39.9%)
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前年の景気、「悪化局面」が倍増

まずは前年2019年の景気動向について、回復基調か悪化基調か各企業に聞いた結果が以下の通り。

(帝国データバンク大宮支店発表資料より、以下同)

「回復局面」と答えた企業は4.4%で2年連続で1ケタ台となった。「踊り場局面」とした企業は47.0%で全体最多となり、半数近くにのぼった。

しかし「悪化局面」とした企業は30.6%に上り、これは前回2018年分の調査結果よりも倍以上の割合。同割合が3割を超えたのは、いわゆるアベノミクス前の2012年以来7年ぶりだ。

「回復局面」と答えた企業からは「ラグビーW杯や2020年の東京五輪への設備投資の影響により稼働率がやや上がっている」(小規模建設業)「豪雨災害により発注が増加した」(中小企業・製造)といった声が上がっている。

一方「踊り場局面」と答えた企業からは「自動車関連がここまで落ちる予想はなく、建築もオリンピック関連が一段落、一方半導体関連は回復基調で業種によるばらつきがある」(中小製造業)「景気減速の入り口に差し掛かっていると感じ、東京オリンピックも大した経済波及効果はなかった」(大企業サービス業)といった声が上がっており、オリパラ効果が全ての業種に表れている訳ではないという現状が伺える。

さらに「悪化局面」とした企業からは「消費増税および米中経済摩擦により景気悪化は進んでいる」(小規模運輸業)と昨年後半になって懸念点となっていた事象が影響していることが伺える。加えて、「自然災害の影響で顧客の生産状況に変化が出始め、悪化傾向にある」(中小卸売業)といった自然災害被害をあげる声もあったということだ。

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2020年の先行き、「悪化局面」が約4割

今年の先行き見通しについてはどうか。

その結果が上図の通り。

「悪化局面」と見込む企業は37.3%にものぼり、調査開始以来3番目に高い水準となった。業種別に見ると金融業で66.7%と最も高く、これに製造業(45.9%)・小売業(42.9%)と続く。

「東京オリンピック終了後の景気悪化を懸念する」(小規模建設業、中小製造業、中小サービス業)とオリパラ後の景気反動を懸念する声が多く上がっているためのようだ。

特に悪化と見込んだ割合を業種別に見ると、金融や運輸・倉庫業では前年比10ポイント以上の増加が見られるということがわかっている。小売については同0差となっているが、オリパラなどの需要増がありながら増税による買い控えで差し引き0になっている可能性もあるだろう。

一方で「回復局面」は5.4%と前年比4.0ポイント減となり、「踊り場局面」も32.9%で同10.3ポイント減となった。先行きについては慎重な見方があるようだ。

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