
さいたま市議会では6月定例会が開かれているが、去る6/8(月)に市政に対する一般質問が各会派9名の議員によってなされた。
引き続き新型コロナウイルス関連の質問が多く出たが、一部答弁をピックアップして紹介する。
スタディエッセンスの課題認識と今後のICT活用の方向性について
三神尊志議員(民主改革)から、さいたま市が市内公立小・中学生に向けて提供しているWeb学習コンテンツ「スタディエッセンス」に関して質問があった。
質問内容
5月の大型連休後に本格始動となった同コンテンツ。
各学年の科目内容に合わせた学習動画を配信し在宅での教育をオンラインで支援するものだが、開始時から保護者より「サイトに繋がらない」など改善を求める声が多く寄せられている。
一方で文部科学省は5/11に学校の情報環境整備に関する説明会をYoutubeで開催している。
この中でICTを用いた教育は双方向で学びがますます深まるのにいまいち取り組まれていないと危機感を訴えた上で、学校のICT化を進めてほしい、使えるものはなんでも使ってできることから取り組んでほしいと各地域の教育委員会へICT教育展開の必要性を訴求している。
保護者からの声を教訓に、双方向の学習ができる環境整備をスピード感持って整備することが必要と考えるが、今後の体制づくりについて細田教育長に尋ねる。
こどもだけでなく大人の学びについても双方向性の担保が必要と考えるが、教育委員会の対応方針を合わせて尋ねる。
細田教育長からの回答
質問に対する細田教育長からの回答。
この休業期間中、全国の公立学校で双方のオンライン指導が展開されたのは約5%、なんらかの形でデジタルコンテンツを提供したのは29%となった。
さいたま市でも双方向のオンライン指導を展開したいと検討している。
市の調査によるとインターネット環境がある家庭は94.8%だが、子ども自身が専用の情報端末を保持している割合は35.6%に留まっている。
それでもなんとかこどもたちに学びの機会を提供したいという思いから、168校6,000人の教職員とともに同コンテンツの作成に至った。
トラブルもあり決して100点満点の取り組みではなかったが、同省からも評価の声が上がっている。また保護者の中には「こどもの生活リズムを取り戻した」「学びの要点がわかる」などといった声も出ており、大いにモチベーションにつながったとしている。
曲がりなりにも10万人のこどもたちに教育の機会を担保しICTを用いた授業への機運も高まったが、オンラインは必ずしも万能ではない。
オンライン時代だからこそ対面授業や体験活動の重要性も逆に高まってきている。
国の方針も踏まえつつ、デジタルと対面のメリットを補完しながら教育の質向上に市としても努めていく。
次に大人の学習に関して。
市民の学びたいという思いに応えるべく、市では博物館などでの資料や宇宙の動画などをまとめ、学びの泉としてネット上配信し学習機会を提供する
また全公民館でコンテンツを作成し、e-公民館として展開している。
解雇・雇い止めとなった市民の臨時採用等について
服部剛議員(公明)から解雇・雇い止めとなった市民の臨時採用などに関して質問があった。
質問内容
同ウイルス感染症の影響で雇用情勢が大きく変化し、今後非正規労働者の働く場がなくなることが予想される。
緊急事態宣言解除後に解雇や雇い止めに遭った人も多く、この動きはますます深刻になりうる。
それゆえ市でもさいたま市版「ニューディール政策」として、雇い止めや内定取り消しにあった人々や氷河期世代や障がい者に対して積極的に就労支援をすべきと考える。
先月そのような人々を対象に30名の臨時採用が行われ、事務補助職に20名および保健・看護師に10名とされたが、さらに枠増やすべきである。
加えて市内の事業所とも連携し雇用の受け皿を確保する体制作りも検討すべきだ。
またイベント中止などで、運営が厳しい就労継続支援B型施設では工賃の支払いも厳しくなりつつある。そのような雇用調整助成金の対象外で、ますます窮地に立たされている。
京都市など施設で働く障がい者への工賃支援に乗り出す自治体もある中、障がい者の就労支援のため市にも同様の支援が必要と考えるが、市の見解を尋ねる。
阪口副市長からの回答
質問に対する阪口副市長の回答。
緊急雇用の採用枠増については、さらなる雇用情勢悪化が懸念される現状も踏まえ検討する。
市はこれまでも就労支援施設ワークステーションさいたまにおいて、座学研修や企業実習などを合わせた対象別の就労支援の中で、協力企業と求職者のマッチング支援を実施してきた。
従業員の雇用維持に苦慮する企業がある一方、好況で積極的に人材確保する企業もあると思われる。そのため今後は両者を効果的にマッチングできるよう努めていく。
また昨年度、市は埼玉労働局と雇用対策協定を締結。事業計画に基づき総合的な雇用対策を実施しているが、コロナに伴う雇用情勢悪化を踏まえ計画の見直しや再展開も準備している。
加えて、市内のハローワークでは就職窓口における支援ナビゲーター拡充に取り組んでいる。
また就労継続支援B型施設の支援に関しては、利用者にとって工賃は生活や生産意欲の維持向上に欠かせないものであるという認識のもと、他の指定都市を参考にしながら検討していく。
いずれにせよ、新型コロナに伴う雇用情勢変化に応じた就労支援を、市としても積極的に展開する。