今年度最後となる埼玉県議会令和5年2月定例会が2/20〜3/17の会期に開催され、来年度予算などについて審議が行われている。
2/24・27・28・3/1には各会派議員による代表・一般質問が行われた。一部答弁内容を紹介する。
大野知事の2期目に向けた決意について
岡重夫議員(無所属県民会議)は、8/30で1期目任期が満了となる大野元裕県知事に対して2期目へ向けた決意に関して質問した。
「2期目の決意明確に」ー質問内容
知事の1期目は、就任以来豚熱や台風19号被害対応、コロナ、鳥インフルエンザなど様々な対応に追われたものとなった。
危機管理のプロである知事だからこそ、対策が的確に取られたものといえる。会派としても知事を応援して良かったと感じている。
県内の多くの首長や県民からも2期目を期待する声が出ている。
埼玉県5カ年計画が2年目に入り来年度予算案も出されたばかりではあるが、2期目の決意を明確にして予算特別委員会に臨んでほしい。
新たな埼玉県、日本一暮らしやすい埼玉県を目指すために、2期目の決意を表明してほしい。
「個人の去就は自らの責任も」ー知事回答
同質問を受けて、知事の回答。
的確な対応という評価だが、日々悩み苦しみながらなんとか乗り越えてこられた。県議会やすべての県民の力添えがあってこそと言える。
本県は人口減少、超少子高齢社会の到来、自然災害や感染症など危機の頻発・甚大化など多くの課題を抱えている。そのために数多くの施策に取り組んできた。
その中でも5カ年計画に掲げた施策の実現は待った無しである。現任期では直面する危機対応を行いつつも、中長期的施策の礎を築くために、引き続き真摯に取り組んでいく。岡議員からの指摘を受けて、改めてこれら施策の実現に向けて身の引き締まる想いである。
先般市長会や町村会からも出馬要請を受けている。
政治家個人の去就は自らの責任で考えるべきものではあるが、危機が続く中で共に闘った皆からの意見として、重く受け止めている。
任期中はもとよりその先においても、未来への責任を担うための礎を確固たるものとするためにも、準備を進めていく。
飼い主亡き後のペット、多頭飼育問題について
動物と共生する社会を推進する議員連盟会長を務める西山淳次議員(公明党議員団)は、ペットに関する諸問題について質問した。
関係各所の連携をー質問内容
本県における犬猫の殺処分数はこの20年間で劇的に減少した。2002年には1万頭超が、20年で339頭にまで減っている。
県職員や議員連盟だけでなく、殺処分減に向けて献身的に活動している県内各地のボランティアに感謝をしたい。
それでも飼い主亡き後のペットと多頭飼育が新たな問題となっている。
独居老人が施設に入居したり亡くなった際に取り残されるペットの扱い、悪質ブリーダーによる多頭飼育で悲惨な状況にあるペットの救助が報じられている。
特に不適切な多頭飼育は動物虐待のみならず、周辺の環境にも影響を与え、社会的問題といえる。
個人による多頭飼育には、飼い主の社会的孤立や経済的事情が複雑に絡んでいる場合もある。こうした場合には、飼い主に動物虐待の罰則を課しても根本的解決にはならない。動物愛護分野だけでなく、社会福祉、警察、公衆衛生、ボランティアなど関係各所が連携して取り組むことが有効と言える。
本県では条例で合計10頭以上の犬猫多頭飼育では届け出を義務づけているが、その現状と問題事例を聞く。今後の対応として各所の連携が大切になってくると考えるが、見解を聞く。
多頭飼育届け出は増加傾向ー知事回答
知事が同質問に対して回答した。
今年2月時点で多頭飼育に関する届け出は347件受理している。保健所の指導で譲渡がなされ届け出の対象から外れるケースもある一方、飼育数が新たに10頭以上となるケースもある。届け出自体は増加傾向にある。
県保健所や動物指導センターでは届け出のあった飼育先を定期的に訪問し、飼育数が増えたり飼育環境が悪化しないよう見守りや必要に応じた助言を行っている。それでも、近隣からの鳴き声や悪臭などの通報を端緒に多頭飼育が発覚したり、犬猫が増えすぎて飼い主だけでは対処できない事例も報告されている。ボランティアによる譲渡が有効だが、ペットを手放したくない飼い主も多く、その説得も容易ではない。
ペットを取り巻く様々な問題の対処には、各所の連携が重要といえる。多頭飼育の場合でも、飼育環境の改善だけでなく飼い主の生活支援と、異なる側面からの支援も有効だ。
福祉関係者が業務を通じてペットの問題を探知した場合、保健所などに情報を連携できれば、事態が悪化する前に対処できる。実際に連携して対処した事例もある。
福祉関係者が参加する研修会などでこうした事例を共有し、ペットの問題を探知した場合の保健所などとの連携について広く働きかける。また、福祉関係者に保健所や動物指導センターの業務について理解を深めてもらうため、リーフレットを作成し福祉機関に配布する。
今後とも多機関が連携して対処できる体制を整えていく。
市町村と連携した効果的な移住施策の推進について
内沼博史議員(自由民主党議員団)は、地元である飯能市の事例も踏まえ移住施策に関して質問した。
県と市町村連携した移住施策をー質問内容
ここ数年のコロナ禍でテレワークによる在宅勤務が広く推奨されてきた。副業や兼業を導入する事例もあるが、多様な働き方で人々の暮らしの選択肢も増えている。
こうした中、若い世代を中心に地方移住に関心が高まっている。民間調査によると、移住にあたって重視する点として、日常の買い物に不便がないことや都心部へのアクセスの良さなどが挙がっている。従来移住には転職が伴っていたが、テレワークが普及したことで転職なき移住が主流となっている。
豊かな自然や優れた交通アクセスを有する本県としても移住に適しているといえる。
地元の飯能市も自然や交通アクセスの利便性だけでなく商業施設も多く、農ある暮らし「飯能住まい」を求めて移住者が増えている。今年1月までに49世帯152名が移住し、東京や神奈川と県内から移住する者も増加傾向にある。地域の自然を生かしたジビエ商品の販売やハチミツの栽培を始めた者もいる。
同市以外にも県内の各自治体はそれぞれの特徴を生かした移住施策を進めているが、効果的な移住施策にあたっては県と市町村の連携が不可欠となる。例えば県のHPで各市町村の動画を流すことも有効といえる。
今後市町村と連携してどのように移住施策を進めていくのか、聞く。
新たな移住サイト構築中ー企画財政部長回答
県では今年度、市町村の移住情報をワンストップで発信するための新たな移住サイトを構築する。同サイトでは各市町村の動画をまとめて配信する特設ページを準備、特に若い世代に対して市町村の魅力を効果的に配信できる。
また都内主要駅からの所要時間や子育てや住まいといったカテゴリごとの移住施策を掲載し、希望者のニーズに合った検索が可能。3月中旬に公開予定。
来年度には移住ガイドブックを作成するなど、様々な手法で県の魅力を発信し移住につなげていく。
移住相談や都内での移住イベントの開催も含め、引き続き市町村連携のもと効果的な移住施策を推進する。