こんばんは。
大宮以外の埼玉シリーズ蓮田市編でございます。
今回からは街の見どころをじゃんじゃん紹介してまいりますよ。
俺の行方は誰も知らない
賞にもなっている文豪
蜘蛛の糸、羅生門、地獄変…。
日本に生まれたからには、この文豪の作品を知らない人は誰もいないでしょう。
そう、芥川龍之介!
明治から昭和にかけて活躍した、日本を代表する文豪の一人です。
現代でも通用する作品を数多く残し、その名を冠した芥川賞は作家にとっては非常に名誉ある賞になっています。
俺も高校で羅生門を国語で扱ったっけ。
直筆の石碑は大変貴重!?
そんな芥川から多大な影響を受け、芥川と同じく日本を代表する文豪である太宰治が大宮に滞在していたことは、あまりにも有名ですよね。
大宮には太宰が通院していたとされる病院(宇治病院)が今も残っているんですよ。
それはさておき、今回扱ってる蓮田市にその芥川の直筆の石碑があるって、皆さんご存知でしたか?
日本で唯一とも言われており、大変貴重な石碑なんだとか。
というわけで、そんな貴重な石碑を求めて、街の西側の根金稲荷神社を目指します!
地元の知り合いをベタ誉め!
東口から西へ向かう
さあ、その石碑がある根金稲荷神社に向かおうじゃないか!
残念ながら、蓮田市にもレンタサイクルがないので、今回もバスで街巡りです。
根金稲荷神社は街の西側にありますが、蓮田駅の東口のバス乗り場から出ているバスに乗ります。
街をぐるっと巡って、駅の西側へと回る路線です。
なんだか矛盾している感じもしますが、いざ出発進行!
冴えない天気で街巡り
蓮田駅東口から出たバスは途中大きく回って、宇都宮線に元荒川を超えて、街の西側を目指します。
それにしても天気が…。まあ、雨が降ったりジリジリと暑いのよりかはよっぽどいいんだけどね。
先日の土曜に街を巡りましたが、幸いなことに雨には降られませんでした。
マジであるっぽい
そして道にはこんな標識。
芥川龍之介撰文碑(根金・稲荷神社)
どうやら本当にあるようですね。
そんなまさにお宝な石碑を一目見ようと、私も現場に急行します。
すごいな、古銭だけじゃなくてそんなお宝もあるんだね蓮田市は!
5分ほど歩くと、農耕地の中になにやら見えてきました。
まさか、あそこか?
石碑は鳥居のすぐ隣!
そして、鳥居のすぐ横にある石碑、これこそが芥川直筆の石碑なのです!!
ちょっと見づらいのですが、その証拠に「文學士芥川龍之介」と書いてあるのが確認できますよ!
それにしても、一体なんでこんなものがこの蓮田の地に?
蓮田出身の知り合いに敬意を示して
寄付を惜しまなかった関口平太郎
石碑には、以下のように書かれています。
勤儉奉公 高木正年
皆さんこの華表を奉献した人は明治三十年から三十八年まで岩槻町で按摩をしてゐた人であります
この人が生まれつき情深い人だと云ふ事は三十八年東北地方に大飢饉があった時に率先して筆墨紙教科書などの義捐品を集めて凶歉地へ送ったと云ふのでもわかりませう
これは東北地方の小學校の生徒が飢饉の為學用気が品に差支へるのを救はうと思ってしたのです
それからこの人は三十九年に東京へ出て色々の辛い目苦しい目に會ひながら一心に按摩の家業を勵んでとうとう大正五年には平墅村の就學奨励資金に百圓を岩槻町の同資金に五十圓を寄附するやうな身分になりました
その外色々な救恤事業に盡悴した事は云ふまでもありません
正直の頭に神宿るとはかう云ふ人の事でありませう
この感心な人と云ふのは明治十七年四月十日埼玉縣南埼玉郡平野村字根金に生まれた廣庵関口平太郎君の事であります
大正六年九月一日文學士芥川龍之介撰并書
文語体にはなっていますが、この石碑はこの土地で生まれた関口平太郎という人を讃えたもの。岩槻、そして東京で按摩業を営んでいた彼は、大飢饉に襲われた東北地方の子どもたちに学用品を贈ったり、平野村(蓮田市)や岩槻町(さいたま市)の子どもたちにも就学奨励金を贈ったりして、石碑ではその偉業をたたえています。
芥川も彼のことを「頭に神宿る」とまで評していますね。
冒頭の勤儉奉公とは?
そんな平太郎の按摩をしばしば受けていた芥川。
ちょうど文豪としての頭角を表していた20代の頃でしたが、平太郎の偉業を称える石碑を建てたいという神社周囲の村人の思いを受けて筆を握ったそうです。
こうして今から100年以上前の1916年に石碑の除幕が行われ、以来この地に建っています。
なお、上部に勤儉奉公という言葉が書かれていますが、これは日本で初めて目が見えないながらも国会議員になった高木正年が残した言葉です。
辛い目や苦しい目にもたくさんあった平太郎の偉業をたたえて、一生懸命勤労に励むことの大切さを訴えているというわけですね。
ないとは思うけど、このサイトがどんどん発展していったら俺も石碑とか建ててもらえるのかな?
豊作にご利益あり!
神社そのものはこんな感じ。
トタンの壁に覆われていますが、本元は京都の伏見稲荷神社で、商売繁盛や豊作にご利益があるようです。
稲荷神社の他に、学問の神様の菅原道真を祀った天満神社を敷地内に併設しています。
裏には広大な運動場
そして本殿の裏には、蓮田市農業者運動広場という運動場があります。
だいたいサッカーのコートの半分くらいの大きさですが、朝早くからゲートボールに興じる地元のご老体の方もいらっしゃいました。
農作業にゲートボール、長生きの秘訣ですね。
スポット紹介
◇根金稲荷神社
- 住所:埼玉県蓮田市根金436
- 電話:0480-92-8259
田畑に潤い届ける山ノ神沼
住宅地の中の巨大な沼
今度は神社から1キロほど南に進みます。
周りは住宅、そして田畑が設けられた田園風景となっています。
何があるんだろう?
その先には大きな柳の木に、広大な沼!
周囲には遊歩道も整備されていますが、行けども行けども終わりが見えず。
どれだけ大きい沼なんだ、ここは。
豊かな自然をいつまでも!
こちらは山ノ神沼という沼でございます。
水質悪化に直面した水瓶
面積約3.8ha、貯水量約5万7千tを擁する同沼は、周辺の水田へのかんがい用水として古くから使われてきました。
また、広大な面積を有する沼の周辺には野鳥が多く飛来し、ヘラブナやモロコといった多くの魚が生息していることから魚釣り場としても利用されます。
しかし、近年では波による辺の浸食や宅地化の進行に伴う水質悪化といった問題が生じていました。
県が主体となって再生
そこで埼玉県が事業主体となった再生事業が執り行われることとなりました。
1999年度より約10年をかけて環境整備工事が行われ、護岸工事や浮島の整備などによって沼の水質が改善され、多くの魚が戻ってくるようになりました。
また、このほかに遊歩道や湿性植物園などが設けられ、散歩や釣りを気軽に楽しむことのできる憩いの場所として生まれ変わりました。
沼の周囲は以下の3つの区域に分けて整備がされています。
- ふれあいゾーン:住宅地近くで、水辺とのふれあいによって、自然環境の大切さの理解を深め、沼の保全管理に努める区域。
- いこいのゾーン:田園風景を楽しみながら、整備された水路沿いを散策し、沼とのつながりや機能を理解する区域。
- やすらぎゾーン:ヨシ、ススキ等の繁茂により豊かな自然環境を維持し、沼周辺の動植物の生態系を保全する区域。
市民主体の維持活動
県での整備事業は2009年度に完了しましたが、沼周辺の保全活動は沼周辺の住民の皆様から成る「山ノ神沼を守る会」、そして沼からやや離れた地域の皆様も含めた「山ノ神沼敬愛会」によってなされています。
定期的に行う清掃活動や草刈り、水質調査と言った取り組みを通じて、沼の保全に日々汗を流しています。
これからも綺麗な環境保全のために、頑張ってください!
スポット紹介
◇山ノ神沼
- 住所:埼玉県蓮田市貝塚72
さてさて、芥川の石碑や貴重な沼も見たし、次なるお宝スポットへと向かうとしよう。
次は一体どんなお宝が?
つづく