ものづくりからAI・IoTまで 彩の国ビジネスアリーナ2020 後編

前回に引き続き、彩の国ビジネスアリーナ2020の出展企業・団体の一部を紹介する。

スグに使える工場IoT ソフトエイジェンシー

人工知能(AI)と並び、近年IoTが注目されている。Internet of Thingsとして様々な「モノ」がインターネットに接続されて情報交換することにより相互に制御しあう概念を指す。

ビジネスの現場でも普及が進んでいるが、会場でもIoTを扱う企業・団体が多く出展した。

ソフトエイジェンシー(栃木県小山市)もその一つだ。

1997年創業の同社はデータベース・システム設計やソフトウェア開発などを行なっており、日本で初めてデータベースのオープンソフトウェアとして主流のMySQLの商用ライセンスを扱ったことでも知られる。

ブースでは同社が展開する「VG-Sync IoT」を中心とした展示があった。後述するIoT端末から送られてきた観測値をリアルタイムで表示・監視できるシステムで、スマートフォンやパソコンから専用のURLを開くことで確認できる。

扱える観測値も温度・湿度はもちろん圧力やひずみ、電磁気など幅が広い。

同システムに観測値を送るセンサーとなるのがIoTデバイス「SuguIoT 4-20」。世界的に使われていると言われている計装用標準信号(4~20mAの直流電流信号、通称:4-20)を利用して、4G回線を通じて観測値を送っている。

価格も安価で、すぐにIoT化が実現できそうだ。

加えて注目なのがビーコン検出IoTデバイス「SuguIoTビーコン」。太陽光や振動と電池交換不要のビーコンの位置をオレンジ色の検出デバイスが及ぶ範囲ごとに確認できる。例えばパレットや台車にビーコンを取り付ければ、今どこの部屋にあるのかがわかるし工程管理にも最適だ。

他にも屋外センサーユニット「さるぼぼアラーム」や血流認証装置なども展示された。

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少子高齢社会で進む新たな取り組み

少子高齢化が急速に進んでいる昨今、こと製造業においても担い手不足が深刻化している。事業承継など次世代にどのようにものづくりのDNAを繋いでいくかが課題になっているが、新たな取り組みを始める企業・団体もある。

町工場と企業、町工場同士を繋ぐ NANASE

NANASE(川口市)もその一つだ。

精密部品の生産工場などを経て石田七瀬代表(上図左)が設立した同社は、町工場と企業をつなぐ存在として依頼企業と同社が技術力や品質を把握している町工場とのマッチングを展開している。

個々のコンサルティングだけでなくマッチングイベントも実施し、依頼企業と工場だけでなく工場間でのネットワーク構築にも貢献している。

加えて地域のこどもたちに向けた町工場見学ツアーやものづくりワークショップを通じて、ものづくりの魅力を若い世代にも訴求し技術継承にも努めている。

なお6人のお子さんをもつ石田代表は、同社での取り組みが男女共同参画社会の推進に寄与するものと評価され、県の第15回さいたま輝き荻野吟子賞を受賞された。

ものづくりのコミュニティ 栗原精機

同じく川口市に本社を構える栗原精機も新たな取り組みを始めている。

1968年の同社は、医療機器をはじめ光学部品やホビー製品などに使われる精密部品の加工を主な事業としている。長年培われてきた技術やノウハウ、NC施盤や縦型マシニングセンタといった設備を生かしてVE提案にも積極的だ。

そんな同社では2013年より「MAKERS LINK」を展開している。

これは同じ製造業だけでなく、デザイナーや学生などものづくりに興味・関心のある人が参加できるものづくりコミュニティ。facebookグループから広がったが、現在では1000人を超える人々が参加している。Facebook上での情報発信はもちろん、ものづくりをやりたい人や企業やマーケターなどをつなぐイベントなどを開催しており、いずれも活況を呈している。

近年では次期社長候補となる栗原稔社長の息子の匠氏も入社されており、次世代への事業継承にも取り組んでいる。

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