【聞かせてくだサイタマ!】映画の文化今こそ 第1回SAITAMAなんとか映画祭開催迫る

コロナ禍で多くの行事イベントが中止・縮小を余儀なくされる中、大宮を舞台にした一つの映画祭がこの春開催される。第1回SAITAMAなんとか映画祭(3/19〜21、3/19のプログラムは中止)だ。

埼玉を舞台にした映画の上映やゲストを交えたトークにコンペティションなどが目白押しの一大イベントとなっている。

開催が迫る中、同イベントに込めた思いやみどころを同映画祭実行委員会副会長の清水清津里さんとディレクターの山辺健史さんに聞いた。

SAITAMAなんとか映画祭とは

企画経緯

かつて大宮駅周辺にはハタシネマやシネマリゾートなど多くの映画館が営業していた。週末には家族全員でそれら映画館に出かけ、映画の世界を共有するのが人々の娯楽となっていた。

その後はインターネットの普及などで娯楽も多様化し、駅周辺の映画館も次々と閉館して郊外型のシネマコンプレックスが主流となってきた。家族ではなく一人で観に行くなど鑑賞スタイルも変わってきている。

それでも「鬼滅の刃」の大ヒットに見られるように、映画は依然として我々の大きな娯楽として存在している。

そのような中、2017年頃から大宮周辺では日本初の職業漫画家で大宮にも深い関わりのある北沢楽天の半生を描いた映画「漫画誕生」の撮影が行われた。

当時の興奮冷めぬまま撮影に携わった地域関係者を中心に、映画を題材にした地域興しができないかということで同映画祭の実施が企画された。

コロナ禍ではあるが、「映画を通じて家族の絆を深めたり心を奮い立たせるきっかけになれれば」と清水さん。

名前に込めた思い

かくして企画された同映画祭は名付けられた。

SAITAMAなんとか映画祭の「なんとか」には先行きの不透明な時代に背伸びせず、これだけあればなんとかなる、なんとか暮らしていける、なんとか目的地にたどりつく、そういった思いが込められている。

埼玉でもさいたまでもなくSAITAMAとローマ字なのは、海外にも視野を向けているためという。

ロゴは実行委員で副委員長を務める漫画家のあらい太朗氏がデザインした。

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映画祭のみどころ

埼玉発の映画セレクション

同映画祭の大きな見どころの一つが、MOVIXさいたまとソニックシティ小ホールで行われる埼玉にゆかりある映画の上映だ。

自分の近くでロケをしていたり地域にゆかりがある人々が制作に携わっていると親しみが持てるだけに、身近な感じの映画祭をイメージした。それだけに「漫画誕生」をはじめ「クレヨンしんちゃん」や「チョコリエッタ」と、埼玉県やさいたま市にゆかりある監督・俳優が携わったり舞台となった作品を中心に上映する。

このほか「喜劇 愛妻物語」や「男はつらいよ おかえり寅さん」といったヒューマンドラマやコメディが上映予定。「家族で見られユーモアや感動を感じられる作品をセレクトした」と実行委員の一人の山辺さん。

ファミリー層から高齢層まで映画が好きな人々の心を刺激する。

コンペティション・映画関連イベント

これらに加え、映画に纏わるイベントも多く予定されている。

その一つが最終日に行われるコンペティションで、25分以内の短編映画を全国より応募し厳選8本を上映・審査し新人監督を発掘する。

一部上映では制作に携わったスタッフや俳優が登壇し、作品の解説や裏話などを披露する。映画本編だけでなく製作時の生の声を聞くことができるのも大きな魅力だ。

人と地域繋げる交流企画

映画と同時に、地域交流企画も大宮銀座通りなどで開催される。

ただ映画を見るだけなくて、その土地を歩いたり買い物をしたりして街が賑やかになれればイベントとして根付くことはないし、そうして得られる体験も大きな喜びに満ちている。人と地域を繋げたいという思いから同時開催されることになったのが同企画だ。

当初予定していた食祭マルシェは中止となったが、大宮銀座通りにある、東日本の各地域が交流するプラットホーム「まるまるひがしにほん」では、北沢楽天に関するひとり演劇「落チ語リ」の公演などを開催。同時に、3/21には同場所で、インフォメーションやグッズ販売ブースなども置き、映画祭を盛り上げる。

ボランティアと一緒に作る映画祭


開催にあたっては、ボランティアも活躍している。チケット確認や会場案内といった運営はもちろん、カメラマンやレポーターとその役割は大きい。

地域からの参加が多く、中には高校生もいる。「映画が好きだから」「コロナだからこそボランティアがしたかった」と参加理由も様々だが、皆同映画祭を楽しみにしていることは間違いない。

初めての経験だけに、運営会議も遅くにまで及ぶほど決して開催までの道のりは平坦ではない。それでも、「実行委員・ボランティアサポーター皆で同じ場所に向かうことは楽しいことであるし、その楽しさがコロナ禍における希望になれれば」と山辺さんも思いを懸ける。

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これからの展望

今回の開催を契機に、「10年は続けたい」と実行委員会も意気込む。

一過性ではなくみんなの記憶に残るよう、地域や国内はもちろん海外も視野に入れて多くの参加者を呼び込むためレッドカーペットの実施など様々な企画を検討している。

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭など埼玉における他の映画祭とも連携し、地域により波及できればとしている。

地域主体で行うイベントだけに、第1回の開催が成功すれば何かが変わったりもっと大きくなる可能性は十分にある。それでも「最初は小さなところから」と清水さん。

読者・地域へのメッセージ


コロナになって繋がりが薄くなったが、映画であれば一席空けるなど工夫しながら見られるし、同じ場所で感動や表情を共有し合う体験もできる。そのような映画を通じてその楽しさや人々の絆の大切さを伝えるのが同映画祭だ。

「状況厳しいですが、楽しみにしてくれている人の気持ちを無駄にしないために最善尽くします!皆さんの楽しみになってもらえれば」と清水さん。

今後に向けて、「一過性でなく地域に根付いてこそのイベントなので、なんとか応援よろしくお願いします」と山辺さん。

イベント詳細

第1回SAITAMAなんとか映画祭

  • 開催日:2021/3/19(金)〜3/21(日) ※3/19のプログラムは中止
  • 開催場所:大宮周辺各所(MOVIXさいたま、ソニックシティ、まるまるひがしにほん、ほか)
  • 料金:1作品¥1,200〜
  • 前売券:チケットぴあより発売中
  • 当日券:プログラム当日、各会場において開場時間より発売。金額は、前売りと同料金。前売で売切の場合、当日券がない場合あり
  • 備考:今後の社会情勢により内容に変更が生じる場合あり
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