【商店街最前線】小ささゆえまとまるー狭山市・入間川七夕通り商店街<上>

独自の発想で挑戦する埼玉県内の商店街のうち、入間川七夕通り商店街(狭山市入間川)の取り組みを紹介する。

小規模ながらもまとまりを持って、地域とも連携し様々挑戦している。

馬車道から七夕通りへ

西武新宿線狭山市駅西口から坂を下って5分ほど、県道340号中新田入間川線沿い150mにわたり同商店街は位置する。加盟店は15店で、組合結成は60年近く前。協同組合としてはじまり任意団体や振興組合を経てまた任意団体として活動している。

もとは狭山一番街という名前であったが、周囲一帯が会場となる後述の狭山入間川七夕祭りを近隣商店街と連携して盛り上げられないかということで、現在の名前に改称したと吉田早苗会長。

もともと同道には馬車鉄道が通ってたという。それが武蔵野鉄道になり、いつしか西武鉄道になった。「駅がこの近くにできていれば街も違ったものになっていたのでは」と「if」の世界に想いを馳せる。

入間川で水運が行われていた時代には、西川材を運ぶいかだを近隣で組み替えており、いかだ職人も多く住んでいたことがある。それに因んでいかだレースを開催したこともあるという。

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手作りの七夕まつり

毎年8月第一土曜・日曜開催で同商店街の名前の由来となる狭山入間川七夕祭りは、発祥は定かではないものの100年以上の歴史がある。

店舗や家屋の軒や支柱に竹竿を通してくす玉飾りや吹流しなどを吊るす「やらい飾り」が特徴で、加盟店各店でも手染めで作った飾りを吊るす。地域でも最大級のイベントで、同商店街としても掻き入れ時だ。最盛期から本数は減ったものの、子ども達が吊るす短冊を親子で探しに来る光景も微笑ましいという。

コロナ禍で中止が続いていたが、昨年3年ぶりに開催された。同商店街はじめ市民が手作りで盛大に行う祭事だからこそ、「市民が盛り上げていって、昭和・平成・令和と続いていく祭りになれば」と吉田会長。

冬場でも、11月開催で同商店街駐車場や神社仏閣などでのキャンドルイベントを含む入間川冬祭りや12月からの狭山市駅イルミネーションといったイベントが開催され、同商店街としてもスタンプラリーや模擬店出店などで協力している。

また、ウォーキングイベントを市と連携して開催。緑豊かな自然を生かして里山を歩く企画で、新狭山駅から狭山市駅西口まで6.5kmの道を歩く。12月の開催では2000人以上が参加したが、景品提供や宣伝などでロッテや西武鉄道といった地域にゆかりのある企業も協力。「狭山は地域企業の協力も厚い」と、こうした協力には同商店街としても手応えを感じている。

この他、同商店街としてもナイトバザールや映画上映イベントといった独自イベントも開催実績がある。地域コミュニティと担い手として、スタンプラリーなど幅広い年齢層が楽しめる企画を日々模索中で、「一つ新しい取り組みを作れば、もっと街は賑わう」と吉田会長。

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商店街の強みとは

積極的に挑戦を行う同商店街の強みを聞くと、「小さいからこそまとまりもつく」と吉田会長。

15人ほどの集まりだからこそ、すぐに議論ができて修正もしやすい。加盟店店主だけでなく夫婦で会合に出席するからこそ、家で会合の内容を話す必要もなくなりコミュニケーションが促進される。

イベント当日には当日は加盟店店主の子息だけでなく、地域の子どもたちも多く協力がある。アルバイトよりもやっていて良かったと思えるし、達成感も感じられる。

前述したような地域企業や行政団体などの協力も厚いが、商店街としては珍しい女性の会長だからこそ協力も得られやすいのではと吉田会長も分析する。

<つづく>

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