さいたま市議会は3/18に45日の会期を終え、市長提出の来年度一般会計予算などの議案が成立した。
同市20年目となる一般会計予算は目下のコロナ対応に加え20周年やDXに関する取り組みも踏まえたものとなり、その規模も過去最大級のものになった。
2021年度一般会計について
予算全体概要
一般会計含む来年度予算の規模は以下の通り。
- 一般会計:6,118億円(前年度比 +491億円 +8.7%)
- 特別会計:3,189億円(前年度比 +22億円 +0.7%)
- 企業会計:1,250億円(前年度比 ▲14億円 ▲1.1%)
合計:1兆557億円(前年度比 +499億円 +5.0%)
市の事業全般に充てられる一般会計は前年度比491億円増の6,118億円となり、過去最大級の規模となった。
国民健康保険や土地区画整理など特定事業に充てられてる特別会計は同22億円増の3,189億円で、下水道や病院など企業会計は同14億円減の1,250億円。
これら3会計を合わせた合計予算は同499億円増の1兆557億円で、こちらも過去最大級の規模となる。
一般会計歳入概要
予算の過半数を占める一般会計の歳入を見る。
(さいたま市発表資料より、以下同)
このうち市税での歳入が2,617億円を占めるが、コロナによる個人所得減や企業収益悪化により前年度比102億円減となる。
一方で、国庫・県支出金は同173億円増の1,467億円。ワクチン接種の実施及び私立認可保育所など特定教育・保育施設への給付の増加などにより、同173億円増となった。
加えて市債も687億円で、同177億円増。臨時財政対策債の増加や市民会館おおみや新施設整備事業の進捗などが背景にある。
一般会計歳出概要
一般会計の歳出を見る。
人件費は1,309億円で、職員数増加により前年度比8億円増となった。
扶助費も特定教育・保育施設などの給付や障害福祉サービスの支給の増加などの要因で、同103億円の増の1,424億円。
その他歳出も市内中小企業に対する貸付金の増加等により、同329億円の増の2,062億円となる。
一般会計予算・3つの柱
来年度一般会計予算の策定にあたっては、以下3点を柱に据えている。
新型コロナウイルス感染症と自然災害への対策
昨年度に引き続き、外来センター設置などコロナの検査体制整備や病床確保や感染者を受け入れた医療機関への支援を行うとともに、市民に対するワクチン接種体制整備や自宅療養を行う患者の食料品配送など、コロナ対策に113億円を盛り込んだ。
また前年度比約10億円減の70億円となったが、自然災害への対策にも力を入れる。河川や排水路への治水対策の継続や、災害時の避難所機能の強化を図るため市内6中学校体育館への空調機の設置および災害情報を確実かつ迅速に伝達できる防災アプリの配信を新規に実施する。
さいたま市誕生20周年を契機に新たな未来を拓く取組
来年度は市誕生20周年の節目で、新たな総合振興計画の計画初年度となる。
このため記念式典実施や市民憲章・市民の日制定など20周年記念事業や、再生可能エネルギーの利活用などゼロカーボンシティに向けた取組の新規実施やシェア型マルチモビリティ実証実験の拡大などに2億4786億円を計上した。
また、開催が延期された東京五輪について関して都市装飾や地域の魅力を発信する動画上映に3億6799万円を盛り込んだ。
新しい時代に対応した行政運営とDXの推進
ポストコロナ時代を見据えたデジタルファーストな行政運営や市内企業のDX推進に向けて、前年度の倍以上となる12億4230万円を計上した。
デジタルファーストな行政運営にあたってはスマートフォン決済導入による市税納付方法の拡大をはじめ、窓口手続のオンライン化促進やITを活用した「スマート部活動」の推進、全市立中学校へのプロジェクタ設置などを実施する。
また市内企業に対して AI・ IoTなどの実装支援を行うことでDX化に対応する。
新規に始まる取り組み
来年度から新たに始まる取り組みの一部を紹介する。
環境・都市
環境面の取り組みとして、日常的な市民清掃活動の普及啓発のためごみ拾い情報共有アプリを活用したWEBシステムを導入する。(182万円)また、衛生センターを統廃合するため大宮南部浄化センター基幹的設備改良の長寿命化計画を策定する。(702万円)
都市インフラ面では大宮駅周辺まちなかウォーカブル推進に541万円を新規計上。ウォーカブル推進都市として大宮駅周辺地域を中心に居心地が良く歩きたくなるまちなかを創出するため、道路空間等の利活用に向けた取組を推進するとしている。
このほか拡大事業としては、緑の核となり地区内外から多くの人が訪れる大規模公園(秋葉の森総合公園、見沼通船堀公園、仮称セントラルパーク、与野中央公園)の整備推進(8,369万円)、調査や期成会活動支援など地下鉄7号線(埼玉高速鉄道線)延伸に向けた事業(1,941万円)、適正管理指導や「空き家等対策計画」の見直しなど空き家等対策推進(1,149万円)などがある。
生活・子育て・福祉
教育面では、学校プールへの機能・合理性向上や質の高い教育提供へ向けて水泳授業を民間委託化(419万円)するとともに、経済的理由で就学困難な就学援助世帯に対して家庭でのオンライン学習に係る通信費を支援する。(6,577万円)
生活面においては、犯罪被害者等が受けた被害の回復や軽減を図るため相談体制の構築および支援を行う。(1,253万円)
子育て面では、働きながら幼稚園を利用できる環境を整えるため、駅周辺などの利便性の高い地域から周辺の幼稚園に児童を送迎する拠点となる送迎保育ステーションを整備する。(1,560万円)
このほか拡大事業として、大宮・中央区・浦和・岩槻の4区への相談支援包括化推進員配しや福祉丸ごと相談センター設置(908万円)、60歳以上の者がボランティア活動を行った場合に付与され奨励金やシルバー元気応援券と交換したり寄附できるシルバーポイント事業(4,629万円)、地域活動への参加を促すポスターやリーフレット等による自治会への加入促進事業(118万円)などがある。