住宅と土地の保有状況及び世帯の居住状況等の実態を調査しその現状と推移を全国及び地域別に明らかにすることを目的に、総務省統計局では住宅・土地統計調査結果を5年ごとに行なっています。
このほど昨年2018年の結果がまとまりました。
住みたい街ランキングで大宮が関東4位に食い込むなど、都心の北にあり依然として転入者超過の傾向が顕著な埼玉県。果たしてその結果から、埼玉県の住宅事情はどのように浮かんでくるのしょうか。
調査概要
- 調査対象:全国から無作為に抽出した約370万住戸・世帯、このうち埼玉県内では、約19万5千住戸・世帯を対象に実施
- 調査期日:2018/10/1現在
- 調査方法:調査員が調査世帯ごとに調査票を配布・取集する方法及びインターネットによる回答方法により実施
- 集計地域:全国、都道府県、市区、町村(※) ※H27国勢調査時の人口が1万5千人以上の町村のみ。埼玉県では、越生町、鳩山町、ときがわ町、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町、東秩父村、美里町、神川町を除く13町が対象。
住宅数は全国5位で増加傾向も
(埼玉県発表資料より、以下同)
それによると、2018/10/1現在の埼玉県内の総住宅数は、338万4,700戸で、2013年に比べると、11万8,900戸(3.6%)増加しています。過去20年で見ていると、住宅数・世帯数とも増加傾向にあります。これは東京都・大阪府・神奈川県・愛知県に次いで、全国5位の数値です。都道府県別人口でも5位ですので、それに準じた数値と言えそうです。
市町別の総住宅数をみると、1位はさいたま市で60万8,700戸、次いで川口市の28万5,710戸、所沢市の16万5,420戸となっていて、こちらもほぼ市町村別の人口に比例します。
日常用の住宅の需要高し?
一方で1世帯当たりの住宅数は1.11戸で、全国一低い数値です。それだけ県内には別荘などレジャー用ではなく日常生活用の住宅を求めている人が多いということの表れといえそうです。
調査対象のすべての市町において住宅数が世帯数を上回っていますが、1世帯当たりの住宅数の1位は寄居町の1.24戸、2位は秩父市の1.24戸、3位は毛呂山町の1.18戸で、最小は吉見町の1.06戸となりました。郊外部ほど少なそうではありますが、53市町トータルで0.18戸とそこまで差があるというわけではなさそうです。
空き家率は全国最小レベル!?
少子高齢化の進展に伴って全国的に問題となっているのが空き家。持ち主が不在で持て余してしまうという事例が全国で多発しています。
県内の総住宅数338万4,700戸のうち、「居住世帯のある住宅」は302万3,300戸で総住宅数の89.3%を占める一方で、空き家や建設中などの「居住世帯のない住宅」は36万1,500戸と総住宅数の10.7%となっています。
前回2013年に比べると前者は4.4%増加した一方、後者は2.7%減少しています。
居住世帯のない住宅の内訳をみると、最も多いのは34万6,200戸の「空き家」。総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は10.2%で、2013年に比べると0.7ポイント低下しています。
全国(13.6%)と比べても3.4ポイント下回っていて、これは全国一低い数値です。
無用途空き家は増加中?
空き家の内訳をみると、「賃貸用の住宅」が空き家全体の57.6%を占め、「売却用の住宅」が同4.4%を占めています。また「売却用の住宅」の空き家は同0.5%で、別荘やふだん住んでいる住宅とは別にたまに寝泊りしている人がいる二次的住宅は同2.1%を占めます。
一方で上記以外の理由で人が住んでいない無用途の住宅(「その他の住宅」)は12万4,100戸で、空き家全体の35.8%を占めています。今問題になっている相続で使い道に困った住宅もここに含まれてくることでしょうが、同種住宅が総住宅数に占める割合は3.7%で、全国で3番目に低くなっています。
しかし、ここ20年で空き家に占める割合は増加傾向にあり空き家総数も増加傾向にあります。それゆえ無用途空き家は増加傾向にあると言えそうです。
町で目立つ空き家
市町別の空き家数をみると、1位はさいたま市で5万7,500戸、2位は川口市の2万9,150戸、3位は所沢市の1万6,860戸と市町村人口に比例しています。空き家率をみると、1位は秩父市で19.6%、2位は寄居町の18.3%、3位は毛呂山町の15.9%で、最も空き家率が低いのは吉見町の5.9%となっており、1世帯当たりの住宅数と同じ順位となりました。
空き家率が10%以上となっているのは20市8町で、2013年に比べると4市1町減少しました。
市町別にその他の住宅の空き家数をみると、1位はさいたま市で1万8,100戸、2位は川口市の9,020戸、3位は熊谷市の5,090戸となりました。
その他の住宅の空き家が住宅総数に占める割合をみると、1位は寄居町で11.7%、2位は秩父市の10.9%、3位は嵐山町の7.7%で、最も空き家率が小さいのは戸田市の0.9%となりました。
このほか、その他の住宅の空き家が住宅総数に占める割合が3%以上となっているのは27市13町でした。2013年に比べると4町が増加しており、特に人口5万人以下の町で空き家が顕著になっているようです。
持ち家率は全国中位
県内の住宅を所有関係別にみると持ち家数は198万7,700戸で全国4位ですが、住宅全体に占める割合(持ち家率)は65.7%で全国28位と中位になっています。
それだけ賃貸や借家の需要が高いことが伺えてきそうです。
市町別に住宅の所有関係をみると、持ち家割合が最も高いのは川島町の96.0%で、2位は小川町の87.8%、3位は松伏町の86.4%となりました。
また、持ち家率が70%以上となっているのは18市13町で、2013年より2市1町減少しています。
居住室数は減少中
県内の1住宅当たりの住宅の規模をみると、居住室数は4.26室で3回連続の減少となりました。
特に持ち家では居住室数が5.08室・延べ面積は105.94㎡となのに対して、借家では居住室数2.56室・延べ面積46.02㎡と大きく下回っています。
全国的にも、居住室数では0.14室、延べ面積では5.54㎡平均を下回っています。