個々の企業の決算状況

ここからは個々の企業の決算状況を、各社発表の決算短信をもとに見ていく。

コロナも短期間で影響大ーNITTOKU(JASDAQ 6145)

巻線機や巻取り・繰出し機器及びその周辺機器の開発などを手掛けるNITTOKU(さいたま市大宮区東町、近藤進茂社長)の2020年3月期決算を見る。

売上高は274億92百万円で前期比13.6%減、経常利益は26億68百万円で32.0%減、当期純利益も21億20百万円で25.8%減と減収減益に見舞われた。

同社グループの経営環境は米中貿易摩擦の影響によりグローバルで設備投資に慎重な姿勢が続いていた。そこに第4四半期に流行した新型コロナウイルスが追い打ちをかけた。短期間でグローバルの生産活動や消費活動を冷え込ませ、受注済み案件に関しても人の移動制限により出荷前検査ができないなどの理由から売上に至らないものもあったという。

こうした状況を同社は「未曾有といえる規模の経済停滞」と評す。

セグメント別に見ると、同貿易摩擦や同ウイルス感染症の拡大の影響を受け設備需要が停滞したことによ、り同セグメント売上高は同15.5%減少した。一方で非接触ICタグ・カード事業については、ICカード普及に向けた需要により受注並びに売上が増加。連結売上高は同44.2%増となった。

人件費増・キャッシュレスで減収へーハイデイ日高(東証一部7611)

首都圏を中心にラーメンチェーン日高屋など飲食業を展開するハイデイ日高(さいたま市大宮区大門町、高橋均社長)の2020年2月期決算を見る。

当期の売上高は422億9百万円で前期比0.8%増だが、営業利益は40億96百万円で同13.4%減、経常利益も41億12百万円で同12.4%減となった。最終的な当期純利益も25億78百万円で同16.3%減と、2桁近い減益を見せた。

首都圏600店舗体制に向けて安定的な新規出店やサービス向上などを行い売上は増えたものの、人手不足による人件費関連コストやQRコード決済に伴う支払手数料の増加などにより営業利益が減少。これにつられて経常利益や当期純利益も減少となった格好だ。

こと働き方改革の影響でディナータイム以降の売上が減少したほか、夏の猛暑や暖冬や台風19号といった天候不順と営業時間短縮の影響などにより、既存店の売上高は同98.2%になったという。

新型コロナウイルス感染拡大が続く今後に関しては、収束時期が見通せないことから現時点での売上高減少の適正かつ合理的な算定が困難であるとして、来年度見通しの開示を見合わせている。

積極攻勢で増収増益ー丸和運輸機関(東証一部9090)

最後にサード・パーティ・ロジスティックス(以下3PL)や「桃太郎便」などを展開する丸和運輸機関(吉川市旭、和佐見勝社長)の2020年3月期決算を見る。

同社グループの当連結会計年度における経営成績は、売上高は98,348百万円で前年同期比14.9%増、経常利益7,392百万円で同22.3%増、当期純利益は4,818百万円同23.5%増と増収増益となった。

昨年より中期経営計画を始動させた同社。特に成長著しいEC・常温物流において、「ECラストワンマイル当日お届けサービス」の受託エリアにおける稼働拠点及び車両台数が順次拡大したことに加え、新たな3PL業務受託により増収につながった。また新たな物流センター設備や車両に対する投資に加え、労働力確保に向けた積極採用に伴うコストの増加はあるものの、日次決算マネジメントの強化による生産性向上をはじめ積極的な事業拡大による効果が現れている。

国内経済の低迷長期化や購買意欲低下が懸念される中、今後も同社は「3PL&プラットフォームカンパニー」をコンセプトに新たな事業領域の拡大を目指し、人材の確保及び育成や先端技術の研究・活用や輸配送パートナー企業との更なる連携強化などに努めていくとしてる。
これらの状況を踏まえ、来期連結業績を売上高100,000百万円、経常利益7,500百万円、当期純利益4,830百万円を見込む。

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