変革取り組む事例発表 埼玉経済同友会がビジネスプラン発表会開催

埼玉経済同友会(さいたま市大宮区桜木町、戸所邦弘・吉野寛治代表幹事)は1/27(金)、大宮ソニックシティにおいて同会企業経営委員会によるビジネスプラン発表会を開催した。

厳しい時代において変革に挑む県内の二者が、そのビジネスプランや取り組み始めた経緯などを発表した。

「企業経営のあり方考えるきっかけに」

同会には会場とオンラインで合わせて40名が参加。

開催に先立ち、同委員会の野村眞委員長は「混沌とする未曾有の時代において当たり前のことをゼロベースで見直すこと、変革に取り組んでいくことが重要」と同会の狙いを語った。

混沌とする未曾有の時代に変革に取り組む県内の二者が登壇するが、「両者の話が企業経営のあり方について考えるきっかけになれば」とした。

「しくじり」から地域連携へ

1人目に日本薬科大学(北足立郡伊奈町小室)の都築稔副学長が登壇。大学の機能として教育・研究・社会貢献の三つを挙げた上で、社会貢献がビジネスにどうつながるか最新事情を語った。

もともと宇宙に興味があった同氏だが、東大卒業後はサントリーに就職。それでも同大学を運営する都築学園理事長の親族と結婚した縁から、2004年の同大学開設に伴い2005年より現職に就いている。

同大学は日本で初めて漢方薬学科を設置し、県内自治体をはじめ各地域の強みを生かした地域連携で知られる。しかし、そうした大学へと進化したのは自身の「しくじり経験」が元になっているという。入学第1期生の薬剤師国家試験合格率は全国最下位で、定員割れになることもあった。

しかし、2012年に当時の上田清司埼玉県知事が同大学を訪問したことを契機に、それまで近しい関係になかった伊奈町役場を訪問。そこで地域のことを懸命に考える町長の考えに触れ、「独りよがりになっても何も生まれない」と自身の考えも変わっていったという。

以来、薬学を薬剤師・研究者へ結びつける固定観念を払拭して、食や運動など薬学の隣接領域であるヘルスケアに着目。栄養薬学やスポーツ薬学、情報薬学など同大学の学科も拡大を遂げている。

キャンパス外へ出て他者と交流し多様な意見を吸収すべく、各自治体や企業との連携にも着手。伊奈町や春日部市など1区12市8町と連携、県内に同じくキャンパスを置く女子栄養大学とも包括連携協定を結んでいる。こうした連携のもとで、ボートレース戸田や戸田市などと開発した薬膳カレーや、深谷市や東都大学などと取り組んだ渋沢栄一モチーフのスイーツといった商品を、世に送り出してきた。

人口規模別施設の立地確率を見ると、大学は近隣地域に10万人規模の人口がいないと存在し得ない。すなわち、地域から人口が減ると、大学自体の存在意義がなくなってしまう。「だからこそ、地域のことを徹底的にすることで存在意義をあげていく」と都築副学長。

旅行業からメタバースに挑戦

日本旅行埼玉法人営業部の本間恒志部長は、コロナ禍を契機としたメタバース事業参入について発表した。

コロナ禍の2019年は改元連休で過去最高に近い決算をあげた同社だったが、2020年以来のコロナ蔓延で旅行需要が消滅した。このため同社では同年末から受託事業に着手し、ワクチンの接種会場やコールセンター運営などを受託している。

今後は5類移行や全国旅行支援や円安で旅行業界の回復を期待する声もあるが、同社としてはコロナ禍前の水準に戻ることはないと見ている。旅行代理店から脱却し社会に必要とされる会社へと生まれ変わるべく、同社は社会課題の解決による発展成長の確立を今年度の経営目標に据えている。

その一環としてメタバースに着目し、コロナ災で失われたコミュニケーションを取り戻し誰一人取り残さない社会を目指す。メタバース上でのイベント開催や新規事業創出やビジネスマッチングを図るべく、メタバースプラットフォームVirbelaを扱うガイアリンクと包括連携協定を結び実証実験などを展開。さいたま市とも実証実験に向けて連携し、川口市や川越市でもメタバースに関する講演会を展開している。

実際にPCからメタバースを実演。メタバース空間上のアバターが他のアバターと会話や握手を交わしたり、移動して建物に入ったりモーターボートを操作する様子を紹介した。

リスキリングが叫ばれる中で、同社も「旅行代理店ではなく社会に必要になる存在になろう」と若手社員に呼びかけ。政策勉強を行うなど教育周知にも積極的だ。

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