春日部市のシンボルの一つにもなっている古利根公園橋。
川を流れる橋の上に設けられた公園だが、同橋はじめ街中には芸術要素が散りばめられているところが多い。
地域の特産あしらう 古利根公園橋
テーマは躍進
春日部駅東口から歩いて5分ほど、古利根川に架かるのが同橋だ。川下の南側が公園にあたる。
全長79mに及ぶ1984年の市制30周年を記念して設けられ、公園と一体になった橋というのは全国で初めてという。
「躍進」をテーマに、光を醸し出す動く造形物としてのモニュメント。
道路側の柱は同市の花である藤の花、側道側の柱は桐たんすなど同市の特産品をスクリーンによって表現する。
照明灯は、こちらも同市の特産品である麦わら帽子をデザイン化したものになる。
橋上の憩いの空間
本道から入った側道は歩行者や自転車のみを受け付け、市民の憩いの場となっている。
随所に設けられたベンチに座り、ひと休みする者の姿も見られた。
同橋から同川を臨む。川の音や流れがより感じられ、川岸からはまた違った光景が見られる。
毎年10月に入ると、同市の鳥であるゆりかもめも同橋周辺に飛来する。
通年で楽しめるライトアップ
(東芝ライテックHPより)
ところで、同橋では毎日日没から午後10時までライトアップが行われている。
20台のLEDスポットライトから、8種類の季節に合った演出パターンを作成しその時期ごとに点灯している。
大凧あげ祭りが開催される5/3〜5は大凧のシンボルカラーである緑と赤の組み合わせ、市民の日にあたる10/1は市のシンボルカラーである春日部グリーン、12/24〜25緑と赤が交互に変化するクリスマスカラーと通年で楽しめる。
【ブルーライトアップで医療従事者を応援】新型コロナウイルス感染症の治療に尽力する医療関係者に感謝の気持ちを込めて、当面の間、日没から22:00に古利根公園橋をブルーにライトアップします#春日部 #公園 #古利根川 #公園橋 #ブルーライトアップ pic.twitter.com/FoGGNVHe7W
— 春日部市 (@KasukabeCity_PR) May 11, 2020
新型コロナウイルスが拡大している中で、当面の間医療従事者を応援するブルーライトアップが行われている。
青い光で纏われた同橋も、また美しい。
彫刻のあるまちづくり
ところで同橋も含め、同市の中心市街地では至る所に彫刻作品が置かれているのが目につく。
同士では1990年より「彫刻のあるまちづくり」を進めており、街中で気軽に芸術を鑑賞できる機会として彫刻が設けられているというわけだ。
個性的な作品たち
人物を象った作品が多くを占める街中の彫刻作品。そのどれもが個性的な特徴を有する。
その一つが春日部駅東口に置かれた廣嶋照道氏による「あのね」。糸電話の糸は見えないが、二人の少女が糸電話で話している場面を写実的にかたどる。
ふと出会った街角の彫刻との対話に楽しさや心の安らぎを覚えるが、糸電話で遊んだ遠い日のひとこまを捉え大らかで豊かな心が育つようにという願いを込めて制作されたものだ。
こちらは藤原吉志子氏による「おでかけ」。童話の世界のように着飾ったうさぎが家を立とうとしている光景を表した。
様々な文学作品に登場するうさぎに平和を託し、国家間の歪んだ関係やプライドを越えて心躍る出会いや友情のためにさっそうと出かけようとしている。このようなメッセージを同作に込めたのだという。
同市教育センター前に位置する「小さい花」はベンチと一体となった作品。
黒川晃彦氏による作品で、彫刻とその周辺の空間や彫刻を見る人がひとつになれるようという想いが込められた。
このように日常の都市生活の中の至る場面で彫刻が登場するのは、同市の面白い特徴といえよう。