【埼事記 2022/2/24】ウクライナ危機 歯止め役になれるのは日本だけだ

■「沖縄が本土から分かれて20年、私たち国民は沖縄90万人の皆さんのことを片時たりとも忘れたことはありません。私は沖縄の祖国復帰が実現しない限り、わが国にとって戦争が終わっていないことをよく承知しております」

20世紀に最も長く首相を務めた佐藤栄作(1901〜1975)の言葉である。

第二次世界大戦後に米国の占領下に置かれた沖縄は、佐藤の尽力によりちょうど50年前の1972年5月15日に沖縄県として我が国に返還された。米軍基地問題には依然として解決の糸口が見えないも、一つの地域を取り戻したという功績は現代日本の礎となっている。

■一方で北に目を向けると、未だ返還されていない地域が存在する。北海道の根室沖、択捉・国後・色丹・歯舞群島の4島から成る北方領土だ。

江戸時代末期から日本が同地を領有し日本国民も定住していたが、第二次大戦終盤のソ連対日参戦以降ソ連が占領。1991年のソ連解体後もロシア連邦が占領を続けている。日本も領有権を主張し変換を求めているが、その目処は一向に立つ気配はない。

少し過ぎたが、先日2/7は全国的な返還運動の一層の推進を図るた北方領土の日でもあった。

■そのロシアの西側で戦火が上がっている。本日2/24より同国西側で黒海沿いのウクライナにロシアが軍事的侵攻を仕掛けた。

ロシアが本土から黒海へ抜けるルートを確保すべく両国間では以前から衝突が起きており、2014年には同国南部のクリミア半島をロシアが一方的に併合している。そのような中でウクライナは米国を中心とするNATO(北大西洋条約機構)への加盟を目指したが、ロシアがこれに反発。キエフなど同国の主要都市に空爆など軍事的侵攻を行なっている。

罪なき一般市民が犠牲になっており、現在進行形で戦場となっている。

■一方的な侵攻に対して国際社会からはロシアへの非難が多くあがるが、米国をはじめ列強は軍事介入に消極的な態度を見せている。その裏にはロシアがチラつかせる核への畏怖があるのか。

日本を含む諸外国はロシアに対する経済制裁を加えている。しかし、世界有数の原油産出国であり資源も豊富なロシアにとっては痛くも痒くもない。むしろ、ロシアからの供給が途絶え原油価格が急騰している。

ウクライナに肩入れする勢力も聞かれず、このままでは一方的な侵攻で多数の犠牲者が出ることが予想される。

■経済制裁は加えるも、日本としてもこのままダンマリでいいのか。それは断じて許されない。

ウクライナと日本が置かれた立場はよく似ている。どちらもロシアの東西の端にあり、ロシアにとってその土地を制すれば陸空海路が大いに開ける。軍事的侵攻にはなっていないものの、北方領土とていつ同じような状況に陥ってもおかしくはない。

■同じ立場だからこそ、今回の侵攻に対して日本が歯止め役となるべきである。同志が一方的に攻められるのを見て手を拱いていられようか。軍事的な衝突は絶対にあってはならないが、交渉の仲介など平和的解決を司ることはできないか。

むしろ今こそ、北方領土の返還を声高に要求してはどうだろうか。楽観的と思われるかもしれないが、そうすればロシアの視線はこちらの方に向くし今回の侵攻も落ち着くかもしれない。北方領土の返還に向けて少なからず進展もあろう。

■「人間は死ぬまで、『人生はこれでいい』ということはありません。人間は死ぬまで、自分との闘いであり勉強なのだと思います」

ウクライナの血を引き1960年代に昭和の大横綱として活躍した、大鵬幸喜(1940〜2013)の言葉である。

何れにしても、唯一無二の同志として、明確にこの侵攻にNoを突きつけなければならない。その役を担えるのは日本だけだ。

コロナで国全体が弱体化しつつある今、多くの市民が北方領土問題について関心を失いつつあるかもしれない。

「これでいい」と思わず北方領土返還に向けて小さくても行動し、非戦を実践して行く。我々市民も闘っていこう。

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