新型コロナウイルスの影響で大打撃を受けている観光業。埼玉県内の観光地も例外ではない。
政府によるGo toキャンペーンも先の4連休から始まったが、当サイトにおいても少しでも地域をということで秩父郡長瀞町を訪ねた。
埼玉屈指の観光地の魅力、そしてその今はどうか。
長瀞町のプロフィール
まずは長瀞町がどのような場所なのか簡単に紹介する。
埼玉県西北部、秩父山系の関門に位置する同町。
中央を縦貫する荒川の両岸に細長く開けており、同川に沿って秩父鉄道秩父本線が通る。中心市街地は同線長瀞駅周辺となる。
30.43㎢の総面積のうち、約6割を山林が占める。その全域は県立長瀞玉淀自然公園区域に指定されている。特に上長瀞から高砂橋に至る荒川の両岸は、国指定の名勝及び天然記念物保存区域となっている。後述するが岩畳の広がる長瀞渓谷は、秩父赤壁など地質学的にも貴重な要素が多くあり日本の地質学発祥の地とされている。
主力となる産業は観光業で、2018年には年間298万人が訪れる県内を代表する観光地となっている。
養蚕・農業から観光の町へ
元は農業や秩父地域で古くから行われていた養蚕が盛んだった同町域。
明治以降次第に地質学的な価値が認められ、さらに秩父鉄道が開通すると観光地として発展していった。長瀞ライン下りや宝登山ロープウェイなど同鉄道による観光開発も著しく、現在も発展途上にある。
町名も1972年までは野上町(1940年に野上村が町制移行、その後周辺の村と合併)という名前だったが、名勝に合わせて同年11月に長瀞町となった。その名残で現在も町役場は野上駅近くに存在する。
これぞ観光地!現地を歩く
風情を醸す長瀞駅
大宮から熊谷で乗り換えること約1時間45分、同町の玄関である長瀞駅へやってきた。
この日は連休2日目の朝10時頃だったが、同駅に電車が着くと降りる客も管理人含め50名近くいた。こんなご時世であっても、さすが長瀞といったところか。
同駅はSLパレオエクスプレスや急行秩父路と全ての列車が停車する秩父鉄道線の中心駅の一つ。新型コロナウイルスの影響で運休中だが、土休日には飯能から西武線も乗り入れてくる。
1911年の開業以来の駅舎を使用している同駅は、関東の駅百選にもノミネートされる。脇の懐かしい縦型ポストもいい味を出している。
その駅前には1928年建立の石碑が建つ。
長瀞は天下の勝地
秩父鉄道設立にも携わった郷土の偉人・渋沢栄一88歳の時の書になる。
駅周辺も懐かしの観光地
同駅には同町観光協会が運営する観光案内所も隣接する。
各種パンフレット類の配布やコンシェルジュによる観光案内、レンタサイクルの貸出を実施する同所。梅雨の出口が見えないが、カブトムシの成虫も売られている。
長瀞渓谷は踏切を渡って南側だが、北側を歩いていく。皆渓谷へ向かうのか、北側を歩く者はそう多くなくまばらだった。
駅周辺は長瀞ライン下りのチケット売り場をはじめレトロな食堂や土産物店、さらに射的場といった娯楽店が並ぶ。
昔ながらの観光地といったところだが、変に手が加わっていないだけに逆に歩いていて懐かしくもあり新鮮だ。少し駅から歩くとサル劇場もあり、さながら日光にでも来たような気分だ。