行田市の冬の風物詩、愛宕神社(同市行田)の酉の市が12/6(火)開催された。
例年のように露店なども多く出店し、寒空の下でも同神社や周辺で多くの人々が伝統のひと時を楽しんだ。
戦災を経て地域の伝統へ
同行事は1907(明治40)年より開催され、今年で115周年の熊手市。隣の熊谷市・高城神社の酉の市をモデルに開催され、当初は多くの出店を依頼するため露天商に金一封や弁当も提供したという。
関東大震災や第二次大戦などの戦災を経て今日まで続いてきたが、2020年は中止。昨年2021年は露店の出店も見合わせて縮小開催となった。
例年だと4000〜5000人が来訪するが、2年間は中止・縮小となっただけに例年見られた来訪者で姿が見えない者もいるという。それでも熊手の売れ行きは例年通りと同神社。
「いつもに戻りつつある」
同神社境内には関東全域から4の熊手商が出店。商談が成立すると、商売繁盛を願って威勢のいい掛け声が響く。
絢爛な装飾がなされた熊手は夜の闇で光に当たると一層輝きを増している。例年よりも大きな熊手を予約して購入する者もいれば、お土産も兼ねて小型のものを購入する者もいた。
東京都足立区の熊手商・渡辺は同行事に70年近く出店してきたが、「このようなご時世でも出店させてもらえてありがたい」と感謝を述べた。
コロナ禍で不安もある中で、同行事が行われるだけでも多くの人出がある。栃木県芳賀郡市貝町の小堀造園も「いつもの酉の市に戻りつつある」と手応えを感じる。同行事のみならず様々な酉の市にも出店するが、同神社の昔ながらの雰囲気は独特という。
同神社にも多くの人々が参拝し鳥居に至る行列もできた。販売された福熊手も好評。
子ども中心に屋台好評
同行事に合わせて同神社近くを走る県道128号線が封鎖され、屋台も多数出店。3年ぶりの出店で例年よりも数は少ないものの、同日15時に封鎖が始まると一斉に道路に出て店舗を構えた。
同日は学校の授業もあったものの、日が暮れてくると下校した地域の子どもたちも友達や家族を連れて道を練り歩いた。
たこ焼きやチョコバナナといった料理に舌鼓する者もいれば、射的などゲームに興じる者もいた。祭事の中止・縮小も相次いだだけに、久々の祭りの雰囲気を皆楽しんだ。
華添える演奏・演舞
封鎖された同道一角では、地域の学校などによる演奏・演舞も行われた。
若葉保育園(同市行田)は運動会でも行った太鼓の演奏で「キャッツ・アイ」「残響讃歌」を披露。コロナ禍で皆集まっての練習は難しかったものの、手本を見ながら各自で練習し体得していったという。カメラを向ける保護者も多く集まった。同園の保泉欣嗣理事長も3年ぶりの開催を喜び、「ここにいる皆が来年良い年を迎えられるように」と挨拶した。
中央小学校と星宮小学校を統合して今年4月に開校した市立忍小学校(同市本丸)からも吹奏楽部が演奏を披露。同校校歌と前身の小学校でも演奏されてきた「千本桜」などを演奏した。
このほか、戦国時代に秀吉軍と対峙した成田家の武将達らをモデルにした忍城おもてなし甲冑隊も迫力の戦国演舞やクイズ大会を行った。