SNSでコミュニケーション創出

ーー御社の人財投資について教えてください

当社に営業として入社すると一人前になるまで約半年かかりますが、それまでは研修として学習機会を多く提供しています。

福利厚生としてもベネフィットステーションを今年12月に導入し誕生日を迎えた従業員に休日を提供したり(誕生日特別休暇)と、見えない部分でも充実させています。

変わった福利厚生に「WAKOH図書館」というものがあります。従業員の中にも子育て世代と子育てが終わった世代がいます。子どもが中学生くらいになってくると絵本を使わなくなることも多いかと思いますが、そうして家庭で使わなくなった絵本を当社で管理して子育て世代の従業員に貸し出すオリジナルの図書館です。10分間読書などで絵本のニーズや、絵本を気軽に読ませてあげられ、好評です。

このように当社ならではの視点で人財に投資しています。

ーー従業員の年齢構成はいかがでしょう

40代半ばがボリュームゾーンです。

55〜65歳の団塊の世代も多かったですが、今は過渡期でそれよりも若い世代も増えてきています。

人材募集も常に行なっていますが、職種によって応募が多いものも少ないものもあります。そこで、我々が働いている姿をもっと紹介できないかということで、InstagramなどSNSの活用にも力を入れています。当社で扱っている包装資材は工業用であるため、一般人が見ることはあまりなくイメージもつきづらいと思います。そのため、求人募集ではわからないことも伝えてイメージをつかめるようにということ実施しています。

SNSの活用には、求人だけでなく従業員への情報共有といった目的もあります。埼玉県だけでなく神奈川県や三重県、新潟県などと拠点も多いため、一同に会ってコミュニケーションをとる機会も多くはありません。コロナ禍で各拠点へ行くこともできなかったので、こういう取り組みをしているということを共有するためにもSNSを活用しています。包装資材だけに家族にこういう仕事をしていると伝えるのは難しいと思います。今は変わりつつありますが、少し前までは当社で行う段ボール加工についても綺麗な仕事のイメージがなかったことでしょう。それでもSNSでの情報発信や表彰を通じて、従業員の家族にもその仕事内容を伝えていけると聞いていますので、やってきてよかったと思っています。

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誇れる会社づくりが使命

ーー100年を目指して、これから強化していきたいことはどういったことでしょうか?

恒久的なミッションとして初代以来の経営理念がありますが、自分としては5年と10年の中期ビジョンを策定しています。20年30年先のことも考えても、時代は常に変わってしまいますし、その時に合わせた行動をしていきたいということで中期にしています。

100年後のことをいくら考えてもその頃に自分はいませんし、次の世代が考えたほうがいいと思っています。それでも、自分の使命としては、誰かわかりませんけれども、次の世代の人が「社長をやりたい」と思ってくれる会社にすることです。自分は身内での承継でしたが、事業承継をするのもなかなか勇気がいります。社長になったからといって必ずしも大きなメリットはないですが、とにかく社長職は志が問われる仕事だと自分がやるようになってからは痛感しています。魅力があったり、この会社を守りたいと思えたり。そうして続けていきたいと思えるかどうか。

魅力がある会社にしないと、いくら高みを目指しても続くことはないでしょう。まずは社員の皆さんが誇れる会社を目指していけば、協力会社から見ても魅力があると思ってもらえるはずです。それを目指していくのが社長としての使命だと思いますし、そういう風にして次へ次へとつないでいくことですね。

ーー地域とは今後どう関わっていきたいですか?

地域がないと我々の仕事は成り立ちませんから、まずは地域に対してできることを考えて展開していければと思います。現状は川口市内のイベント出展で子どもたちが遊べるスペースを提供したり、有事の際には防災用のダンボールベッドなどを提供する体制を整えています。少ないスペース・予算でもたくさん買えるものを提供できるようにしています。

そういう時にも、自分だけでなく従業員のアイディアも入れるよう心がけています。我々で扱うダンボールベッドも皆のアイディアを合わせた産物なのです。そういう風に皆のアイディアを合わせていくことは、地域での活動を進める上で大きな力になっています。やっぱり自分のアイディアが可視化されるとモチベーションには繋がりますよね。

従業員も一体となってSDGsやサーキュラーエコノミーを推進していますが、これも会社のミッションたる経営理念にリンクさせるようにしています。やはり形だけでやってもしょうがないですから。

従業員向けの取り組みとして、各自が年間を通じたSDGs活動を発表する会も12月に実施しています。一個人としてSDGsのどの分野でどういった活動をしてきたかを発表してもらいます。オリジナルの「和光ノート」にどの分野でどういう活動をしたいかも書いてもらっていますが、その結果を発表して表彰するとともに、誰が挙げた意見かというのも見える化するようにしています。例えばゴミ箱に「美化BOX」と名前をつけていますが、これも昨年の発表会で出たアイディアです。「ゴミという呼び方を無くしたい」というアイディアから生まれました。ゴミを不要なものと捉えるところから見方を変えられないかということで、身近なところからそれを形にしたのです。このような見える化の仕組み作りは徹底しています。

2018年頃にSDGsという言葉を聞きましたが、なんとなくそういう方向に向かっていくということを認識はしていました。それでも自分でも学習していくうちに、やるのであれば単に社会貢献をしたとアピールするのではなく意義あるものにしないと続かないと思えてきました。情熱を持てたり社会の中で見える成果がないと時間の無駄ですし、皆もやろうと思えてきません。「SDGsは綺麗事」と言われることも多いですが、それでもやらない、動かないよりやったほうがいいでしょう。

社内でもSDGsの勉強会を年に数回実施していますが、正解・不正解を決めつけないことをルールにしています。特にSDGsを前にすると、綺麗事が正解になって現実が不正解になってしまいます。先日、行なった勉強会では3番のジェンダーの平等がテーマでしたが、世代によってはジェンダーの平等が難しいという人もいます。そういう人を悪と決めつけてしまうのは、やはり不平等です。正解・不正解を決めつけるのではなく、いろんな考えがあるということを、この場ではみんなで学んで吸収していくようにしています。そうじゃないと意見も出てきません。最初の頃の発表では「マイバッグやマイボトルを使う」という発表が大半でしたが、勉強会などを通じて知識をつかんでいくうちに発表のレベルも上がってきていると感じます。
生活環境などによって各人でSDGsの全項目を対応するのは難しいかもしれません。マイバッグにしたって、スーパーでビニール袋をもらわないためゴミ袋に使える袋に不自由することになります。ゴミ袋用に大型スーパーなどでビニール袋を買うようになればプラスチック削減にはなりませんし、マイバッグを忘れたらまた買うことになります。それでもマイバッグを作る際のCO2の排出量とビニール袋を作る際の量は全く異なります。ビニールバッグをもらわないのが美德というのは、生活環境によっても大きく異なってくることでしょう。やれないことを無理してやろうとしても継続できないですし、1つ2つでもやれるならOKだと思っています。
このように勉強会では様々な意見が出てきますが、皆で議論するからこそ話す習慣もついてきます。会社での業務内だけでなく家庭でもSDGsについて話すようになって、活動がどんどん広まっていると感じます。

ーー地域や読者にメッセージがあれば
埼玉県で少しでも必要にされる会社になれればとずっと思っています。
これからも埼玉県の中で頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。

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企業紹介

和光紙器株式会社

  • 事業内容:梱包資材の製造・加工・販売、ならびに上記に付帯する一切の業務
  • 資本金:3,000万円
  • 従業員数:85名(2022年3月現在)
  • 本社所在地:〒332-0016 埼玉県川口市幸町1-9-17
  • 取得認証:ISO9001・14001、埼玉県SDGsパートナー、彩の国工場 など

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