12/23までの会期で予定されているさいたま市議会12月定例会において、一般質問が3日間にわたって行われた。
各会派議員からの質問のうち、一部答弁を紹介する。
オーガニックビレッジと有機農業支援について
久保美樹議員(共産)は市における有機農業支援について質問した。
質問内容
昨今の円高・コスト高が農業を直撃している。特に肥料については輸入への依存度が高く、農業は危機的状況にある。
世界的な気候変動を鑑みても、食料自給率を向上させるためにも有機肥料への転換を必要がある。有機農業は我々にとっても安全な農作物を作るだけでなく、地球環境を維持させるためにも重要だ。
11/12には、市内周辺で有機野菜栽培に取り組む農家から成るさいたま有機都市計画主催のオーガニックフェスが、市農業政策課協賛で開催された。若い生産者や消費者も多数来場し、盛況を収めた。
こうした有機農家を応援していく責務があるが、市の見解を問う。
国の訃報も2050年までに有機農業割合を現在0.5%から25%にする目標を立てている。2025年までに100のオーガニックビレッジを予定しており、53自治体が応募している。(埼玉県内からは小川町が応募)
市もオーガニックビレッジに名乗り出て交付金を活用し、有機農業を支援すべきと考える。見解を問う。
経済局長回答
同質問に対して、矢口敦彦経済局長は以下のように回答。
オーガニックフェスの成功をもとに、市としてもこうしたイベントを通じて生産者支援や有機農業を取り巻く事業者や市民のネットワーク形成を図っていく。
市では信頼性の高い農産物生産に向けた有機JAS認定を生産者が取得する際の費用助成を、今年より実施している。来年からは、生産者へ向けた有機農業の技術的支援を行うための人材育成として、職員を専門研修に派遣する。
オーガニックビレッジについては、様々な機会で生産者と情報交換を行なっているので、その中で出た意見や市の状況などを鑑みて応募を検討する。
公職選挙法における選挙区選出議員数について
市議会の選挙区別議員定数を変更する条例改正案も可決した中、土井裕之議員(未来市議団)は選挙区選出議員数の法的根拠について質問した。
質問内容
現状で市議会の選挙区は10の行政区となっている。昨今の人口比を考慮して、人口が増加傾向にある緑区の議員定数を1増とし、桜区を1減とする方向で条例が改正される。
第三者を交えた調査会も行われてきたが、9月時点で議員総数維持は妥当とされるも、両区における定数を見直すよう意見が出ていた。このため各会派でも検討を進めた結果、一部議員より同改正案が提出されている。
このような経緯を受けて、市議会を念頭に置き公職選挙法上の選挙区の選出議員数に関する法的根拠を尋ねる。
人口が議員数に関わりを持つとされるが、この人口というのは公職選挙法上では何を持って定義するのかを尋ねる。
選管事務局長回答
若林一彦選挙管理事務局長は以下のように答えた。
選挙区の選出議員数に関する法的根拠について、地方自治法第91条第1項では「市町村の議会の議員定数は条例で定める」とある。
これに関連して公職選挙法第15条第6項では、さいたま市を含む政令指定都市については区の区域を持って選挙区とし、同条第8項では各選挙区において選挙すべき各地方公共団体議会の議員数は人口に比例して条例で定めなけなければならないとある。
※特別の事情があるときは概ね人口を基準とし地域間の均衡を考慮することができる。
公職選挙法における人口の規定については、同法施行令第144条で定義している。法及び同政令における人口は、官報で公表された最近の国政調査、またはこれに準ずる全国的な人口調査の結果に準ずると規定されている。
旧市民会館おおみや跡地の活用について
服部剛議員(公明)は、山丸公園に隣接する旧市民会館おおみや跡地(大宮区吉敷町)の活用について質問した。
質問内容
同施設は来年の国際芸術祭の会場として活用される見込みだが、その後の跡地活用をどうするか市民関心が高まっている。
市長に対して地元4町会と5の大規模マンション管理組合から成る1200人超の住民から要望がなされているが、周辺は複数マンションが立地し人口密度も高い。災害発生時の避難場所は大宮小学校と同公園のみで、住民が一斉避難すると過密になりかねない。
このため要望では、平時は地域交流の場として利用でき、災害時には避難場所となる施設が求められている。
近隣には子育て世代が多いので、そうした世代が集えて子どもの居場所となれるような場所になってほしい。災害時には同公園と一体になって防災機能を高める場になってほしいと考えるが、市の見解を聞く。
都市局長回答
同質問に対して、篠崎靖夫都市局長は以下のように回答。
同地の活用については2018年10月に取りまとめた大宮駅東口周辺公共施設再編全体方針で地域連携拠点として位置づけ、今年3月に実施方針の骨子を作成した。
骨子における土地活用方針では、同地と同公園を一体に活用した居心地が良い広場空間の拡充・氷川参道と調和した憩いある緑地空間の創造に向け、公民連携手法の積極的な活用を検討している。機能として災害支援や歴史文化学習・交流の具体化を挙げている。
2021年6月には平時は交流拠点施設としつつ災害時には避難施設として活用できるよう跡地の住民要望も受けている。跡地の活用としては、地域交流の場や防災強化につながる施設として検討を進める。