強み×気づきで地域創造 さいたま市内中学生のビジネス提案・さいたまカップ開催

今年度から始まったさいたま市内の公立中学3校の生徒と5企業が協働で地域からイノベーションを生み出すプロジェクト「さいたまエンジン」の集大成として、同プロジェクトに参加する中学生の各チームがビジネス提案のプレゼンテーションを競う「さいたまカップ」が、12/17(土)に大宮国際中等教育学校(大宮区三橋)にて開催された。主催は同市教育委員会。

各チームとも独自の視点で地域や協働企業の現状・強みを把握し、その気づきのもとで独創性溢れる提案を行った。

「社会全体で人づくりを」

同委員会では、中高生向け探究学習プログラムを開発・提供する教育と探求社の地域探究プログラム「エンジン」を活用し、同市内の中学生と企業が共に地域の未来を探究するプロジェクトとして、7月より同プロジェクトを開始。

初回となる今年度は▽浦和中学校(浦和区元町)▽大宮国際中等教育学校▽岸中学校(南区南本町)の3中学校13の生徒チームが、▽AGS(浦和区針ヶ谷、原俊樹代表取締役社長)▽サイサン(大宮区桜木町、川本武彦代表取締役社長)▽タムロン(見沼区蓮沼、鯵坂司郎代表取締役社長)▽デサン(大宮区大成町、藤池一誠代表取締役社長)▽武蔵コーポレーション(大宮区桜木町、大谷義武代表取締役社長)の5企業と連携。生徒は「地域イノベーター」として、各企業の助言のもと企業の特色や強みと地域の魅力や可能性をかけ合わせた「イノベーションプラン」を考え、提案する。

開催に先立つ挨拶で細田眞由美教育長は日本の18歳が「自分で社会や国を変えられる」と実感できていない現状に触れた上で、「社会全体で人づくりを」と同プロジェクトの狙いを述べた。

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13チームが気づきと創造性込め提案

各チームの提案のうち、「every day」(大宮国際)は地域で増加する空き家と武蔵コーポレーションのリフォーム事業を掛け合わせた児童保育施設の運営を提案。2階以上を子どもの声が気にならない人を対象にした賃貸住宅として1階で学童保育を運営することで、希望する学童に入れない子が減り地域に子どもが増えるとメリットがあるとした。

女子2名の「オムハヤシ」(浦和中)は、岩槻人形をイメージした水やり人形を提案。タムロンの測るレンズを応用し、周囲のものとぶつからず成長模様もカメラで撮れる仕様。雨水を水に太陽光で動作するとした。リモートセンシングを活用して作物の大きさや成熟度合いを把握できる。「『清水』がさいたま市を良くします」の説明に、来賓の清水勇人市長も驚き。

「捜査本部」(岸中)は人口の多さや交通の便の良さと地域の強みに着目しつつも、観光客数が少ない現状の打開策として、航空自衛隊「ブルーインパルス」のようにドローンによる塗料散布を提案。デサンの塗装技術を生かして水性塗料を使用し、人体へのリスク低減にも工夫。区民祭りなど地域イベントのオープニングイベントでの実施だけでなく、関連商品も発売して経済活性化に繋げるとした。

「IMPACT 菜産」(浦和中)は調理も含めた親子向けの農業体験を提案。農家から農地を借り上げ初心者でも作りやすいトマトを種まきから収穫まで行い、季節に応じて具材を変えやすいピザとして調理する。使用する電気やガスはガスワンやエネワンとサイサンのサービスを活用。

アニメーションやBGMだけでなく、寸劇も入れるなど各チームとも創造性や独創性を十分に押し出した提案を展開した。

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水やり人形「清水」がグランプリ

委員による審査を経て、各企業賞とグランプリ・準グランプリが該当するチームに授与された。

グランプリとタムロン賞を受賞したのは「オムハヤシ」。「素直に引き込まれるプレゼン」という講評の上、夏の炎天下でも動作するため温暖化や食糧問題にも対応している点が評価された。準グランプリ・武蔵コーポレーション賞には「every day」が輝いている。

グランプリを受賞した「オムハヤシ」の2名は「まさかとれるとは」と感想。アイディアを出すのには苦労があったが、「今後何かを考える際の糧になれば」と胸を張った。

ギャラリー

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