繭からのきもの作りと川越きものの日ー川越

続けて、NPO川越きもの散歩の大島寛子理事が登壇しその取り組みを紹介した。

川越と着物の関係

同団体が活動拠点とする川越市は時の鐘周辺の蔵の街並みが有名だ。

あの蔵はなぜ建てられたか、考えたことはあるだろうか。

川越地域では江戸時代から織物産業が盛んだったが、あれらの蔵は木綿の織物(川越唐桟)が多く作られた幕末にその保存などを目的に建てられている。

そうした織物は当然着物としても使われており、川越と着物の関係は昔から深かったと言えよう。

同団体の取り組み

そのような川越の街で2009年に設立されたのが同団体だ。同氏を含め会員は30名いるが以下3点をミッションとしている。

  • きもの文化を次代に伝える
  • なくなりつつある埼玉の着物文化を伝えたい
  • きものでまちづくり

このうち「きもの文化を次代に伝える」に関する取り組みとしては、子育てサークルとの連携や企業の福利厚生を通じて着物の着用体験の機会を提供している。

「なくなりつつある埼玉の着物文化を伝えたい」に関する取り組みとしては、県産ブランド繭の振興をおこなっている。

国産絹は1%以下に落ち込んでいるが、全国で330軒ある養蚕農家のうち埼玉には25軒が存在する。秩父の養蚕農家が育てた埼玉ブランド繭「いろどり」を毎年100キロ購入して、そこから生糸を20キロ制作、本庄の黒沢織物などで織ってもらいオリジナル着物へと仕立てる。そうして完成した着物を秩父神社の蚕糸祭で養蚕農家に披露する「きものの里帰り」を実施している。

加えて秩父神社・高麗神社・川越氷川神社の3社の宮司が立ち上げ、絹文化の発信・啓発などを実施するさいたま絹文化研究会とも連携している。

きものでまちづくり

そして「きものでまちづくり」に関する取り組み。18年前より毎月28日の成田山川越別院での骨董市に合わせて、着物愛好家が集う「きもの散歩」を開催している。着物を着ながら小江戸の街をめぐる企画で毎回盛況を博している。

川越市観光課・商店街おかみさん会と「毎月8の日・川越きものの日」の制定に関わる。

この取り組みから、川越市観光課や商店街おかみさん会と共同で「毎月8の日・川越きものの日」の制定にも繋げた。8・18・28日と毎月8が付く日に着物を着て川越の街をめぐると、店舗や公共施設などで料金割引などのサービスを受けることができる。

他にも毎年3月末に開催される川越江戸の日などにも協力している。

振袖で希望をーACHAプロジェクト

近年では、児童養護施設出身者を対象に成人式の振袖撮影の機会を提供するACHAプロジェクトとも連携している。

代表の山本昌子氏も登壇した。

自身も施設で育った同氏だが、施設出身者にとって一生に一度の晴れ舞台である振袖は費用がかさみ着たくても着られないという人が多い。

自身も着られなかったというが振袖に手を通すことで得られる喜びや希望は大きい。それゆえそのような人々を対象にヘアメイクや着付け、撮影までを行うのが同プロジェクトだ。

同団体も主に着付け面で協力している。

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参考:大宮周辺での取り組み

時間の関係で中座したが、この後は館林・足利・伊勢崎の事例紹介と総括・質問の時間が取られた。

(北浦和「二木屋」)

ところで大宮周辺でも着物によるまちづくりを行う団体がある。それがさいたま着物さんぽだ。

2017年より活動しているが、2ヶ月に1回のペースで着物愛好家たちが着物で鉄道博物館など大宮周辺の名所を巡る。年齢層も高齢者からこどもまで幅広く、外国人の参加もあるそうだ。

今回のイベントでも着物で参加しており、イベント前には氷川神社での参拝も一行で行なっている。

詳細や今後のスケジュールは同団体のHPを確認されたい。

秩父銘仙の紹介にもあったが、普段の生活でなかなか着用や購入までに至ることは多くない着物。しかしレンタル着物などを通じて着用機会を提供する動きがあることもまた事実だ。

オリパラも控え文化交流が加速した今、着物は新たな局面へと突入している。

 

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