共通投票所はなぜできない?

全国45カ所の導入に止まる

同請願にも出ていた共通投票所は居住区に関係なく投票が行える場所のこと。

10の行政区から成るさいたま市で実施した場合居住区に囚われず投票ができるので、メリットは大きそうです。特に今年に入ってから統一地方選挙に始まり参院選に知事選、そして明日に投票日が迫った参院補選と4回も選挙が行われる地域としてはなおさらです。

それでも採択には至りませんでした。果たして何がその実現を阻んでいるのか考えるにあたり、以下の記事を見つけました。

〜前略〜

総務省によると、今年7月の参院選で設置された共通投票所は13市町村で計45カ所。3年前の7カ所(4市町村)よりは増えたものの、同省の28年の調査では206の自治体が「導入を検討する」と回答していた。

利便性や投票機会の増加につながるはずの共通投票所に、なぜ自治体は及び腰なのか。

■無線導入に拒否感も

「コスト面以上に、セキュリティー面に懸念や課題を感じている自治体が多い」。選挙制度に詳しい東北大の河村和徳准教授が分析する。

共通投票所制度では二重投票などの不正やミスを防ぐため、投票済みかどうかの情報を投票所間で共有する仕組みが不可欠。電話で伝える方法もあるが、現実的には専用のネットワーク回線によるオンラインの選挙人名簿対照システムの導入や整備が必要となる。

課題の一つがこのコストだが、大がかりな工事が必要な有線ではなく、無線接続を利用すれば費用や手間はかなり抑えられる。しかし、壁となるのが自治体の情報セキュリティーポリシー(行動指針)の現状だ。

情報管理の徹底のため無線接続を認めていなかったり、運用に消極的だったりする自治体は多く、河村氏らが実施した全国調査では、選挙管理で無線接続システムを導入する自治体はわずか4・7%。「確実に選挙を実施するために、新しい機材や情報システムよりも従来のやり方が安心だという考え方が根強い」(河村氏)という。

■災害時にも活用

しかし人口減少や過疎化を背景に、投票機会は縮み続けている。

〜中略〜

一方で、投票所を減らしつつ、共通投票所を有効活用しようとする自治体もある。青森県つがる市では今年1月、49あった投票所を17カ所に再編成した上で無線接続でつなぎ、すべてを共通投票所として運用する取り組みを始めた。担当者は「人口や職員が減る中で、これまでの投票所の体制を維持するのは困難。有権者が投票しやすい環境とは何かを考えた」という。

河村氏は「リスクやコストはゼロではないが、導入による今後のメリットをよく考えるべきだ」と指摘。「災害で従来の投票所が使えない事態などへのリスクヘッジにもつながる」とし、地域の事情に応じてバスなどによる共通投票所への移動支援なども検討すべきだと話した。

(「投票率向上の切り札『共通投票所』、普及広がらない背景」 産経新聞 2019/9/3)

7月に行われた参議院選挙でも全国45カ所での設置にとどまりましたが、その背景にはセキュリティ面で不安が大きいことがあるようです。

確かに秘密選挙を含む4大原則の元行われている我が国での選挙制度において、セキュリティの担保は至上の命題。それでもネットワークで繋げればかなり便利にはなりますが、従来のやり方の方がリスクもコストも低いようで及び腰になっている自治体が多いようです。

総合政策委員会での審議内容は非公開ですが、さいたま市においても同様の事情があるものと考えられます。

ゆくゆくはネット投票へ

とはいえ人手不足対策や住民サービス向上に向けて電子システムを用いた行政サービスを行う動きがあります。さいたま市としても、固定資産税業務や保育所選考にAIを使用することを発表しています。

そうなると共通投票所という枠を超えて、ネット投票について審議してもいいのではないかとも感じます。

そもそもネットワークで選挙人情報を共有できるようになれば、場所にとらわれる必要は無くなりますし市民一人ひとりのデバイスからアクセスすることも不可能ではありません。

そのためには頑強なネットワーク構築など様々な課題の解決が求められますが、共通投票所の設置と並行して進めることもできるでしょう。

現状ネット投票を行なっている自治体は日本にはなく世界レベルで見てもエストニアのみです。行政の手間を取るか市民サービスの向上を取るか、さいたま市が我が国での魁となるか今後も注目したいです。

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その他請願の審議状況

請願番号 件名 審議結果
23 大宮駅の西口に公衆トイレを設置を求める請願 継続審査
25 土呂駅へのエスカレーター設置願い 継続審査
37 国民健康保険の県内「統一保険税率水準」の導入中止を求める請願 取り下げ
38 「心身障害者医療費支給制度」の対象拡大を求める請願書 取り下げ
39 消費税増税に伴う学校給食費の値上げはしないでください 不採択
40 消費税値上げ中止の意見書提出を求める請願 不採択
41 投票率向上のための施策の実施を求める請願 不採択
42 11月30日の JR東日本ダイヤ改正で、埼京線の大宮~武蔵浦和間の運行本数が大幅に削減されることに対して、さいたま市としてJR東日本に抗議し削減を見直すよう緊急に申し入れるとともに、さいたま市議会でも同様の決議をあげてください 不採択

次回の市議会は11/27(水)開会の12月定例会です。

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