【さいたま市議会短信】スフィア基準導入など質問ー2020年9月定例会代表・一般質問から

10/16(金)までの会期で開催されているさいたま市議会9月定例会では、先週9/7〜9にかけて各会派からの代表・一般質問が行われた。

一部答弁の模様を紹介する。

避難所にスフィア基準の導入を

小森谷優議員(公明)から、コロナ禍における災害対策として避難所へのスフィア基準導入に関する質問があった。

質問内容

災害時の避難所の多くは、主に小・中学校の体育館に雑魚寝で設けられる。

それゆえ阪神大震災では避難所の不衛生により900名もの災害関連死が発生した。2016年の熊本地震では災害関連死が地震による死の4倍近くに及んでいる。

雑魚寝の避難所には床が硬く冷たい、十分なプライバシーがない、トイレが少ないなど不満は多い。

そのような避難所開設に関する国際基準として、スフィア基準がある。一人あたり3.5㎡、トイレは20人に一つ、食料の栄養価など快適性を担保する基準を設定したものだ。

新型コロナウイルス感染拡大により避難所での感染が懸念されるが、今こそ市内避難所においても密を避けるためにも、衛生的でより快適な同基準によるスタンダードを確立すべきである。
そのためには避難所の容量確保が重要となるが、昨今発生した台風10号では避難所に収容できないという事態も起きていた。
それゆえ、ホテルなどの宿泊施設や民間施設などを活用し、分散避難の推進が望ましい。

また浸水が懸念される地区など危険な箇所に設定される避難所もあるが、実際に機能できる配置を検討すべきだが見解を聞く。

質問への回答

日野副市長からは以下のように回答があった。

内閣府の避難所運営ガイドラインでも、同基準は参考にすべき基準とされている。

市内において大規模災害が発生し避難所運営が長期になる場合は、国のプッシュ型支援や物資提供などの各種支援を活用し、避難所の環境向上に努めていく。

昨今のコロナ禍においては、密集や密接を避ける必要がある。
避難所に入れなかった人々に向けて、二次避難所を各区に1箇所設ける。

また居住スペース拡大に向けて一人あたりスペースを通常2㎡から6㎡への拡大を検討しており、マスクや消毒液など感染防止物資や飛沫防止パーテーションを備蓄する。

避難者へ向けた駐車場もイオンリテールと連携、民間商業施設や公営駐車場などと協議しさらなる拡充に努める。

その上でホテルなどの活用は、利用客との兼ね合いも考え運用について研究している。

ただ、避難所の配置見直しは既存の施設を利用している都合上難しい。
洪水時は浸水想定区域内に避難所を原則開設しないが、緊急避難所として垂直避難用の施設を確保する。

今後もWithコロナ時代における安心安全な避難所の確保に努めていく。

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大宮駅GCS構想について

新藤信夫議員(自民党真政)から、大宮駅GCS構想に関して2点質問があった。

桜木駐車場を中心とした第5地区の整備と進捗について

質問内容

(さいたま市HPより)

大栄橋北側の第5地区は、今までなかなか整備がされず桜木駐車場として利用されてきた。

しかし、4車線に増強される大栄橋の北側地域としてこれから整備が進められることになった。

同地区についても積極的な取り組みを進めて欲しいが、その進捗と完了見通しを尋ねる。

質問への回答

この質問に対して阪口副市長は以下のように回答した。

昨年12月に地元自治会や公募委員より構成される同地区まちづくり協議会を設立し、市と地域共同でまちづくりの方向性を検討している。同月と今年7月に協議会を開き、地区の長所や改善事項を整理した。

地域からの意見として「大宮駅に近いのに静か」という声や「木造建物の密集で延焼のおそれあり」「地区内に狭い道路が多い」と安全・防災面の課題や歩行者を含めたアクセス強化などが上がった。

市としては協議会での意見を踏まえ課題解決に向けた方策を提示、同会のみならず広く地域住民も聴きながら今年度中にまちづくりの方向性を固めていく。

大宮のレガシーをいかに残すか

質問内容

東口地域は五街道の一角たる中山道が南北に走っている。しかし史跡や案内板は見当たらず、宿場としてのレガシーがほとんどない。

小学校では郷土学習で「氷川の門前町として設けられ、江戸時代は中山道の宿場町として、明治以降は鉄道の街として大いに発展を遂げてきた」と教える。しかしこれらを象徴する事物が現地に残っていないのはなんとも寂しい限りである。

鉄道の街としてのレガシー含め、同構想にも宿場町としての歴史を位置づけてその整備に努めるべきだが、市の見解を聞く。

質問への回答

この質問に対して阪口副市長は以下のように回答。

町割りにも宿場町の名残が見られるが、大宮の歴史的価値を継承していくことは大変重要と言える。
同構想プランにおいても、歴史的価値をまちづくりに生かすべき大宮の一要素と位置づける。

歴史の継承に関する整備は、石碑や案内板などの設置に向けて地域や関係機関との協議をしていく。

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小・中学校における少人数学級実現のために

金子昭代議員(共産党)から、小中学校における少人数教育実現に関して質問があった。

質問内容

小・中学校における少人数学級実現は子どもたちの健やかな成長願う市民の強い要求だ。
市民からは毎年その実現を望む請願が出されている。

コロナ禍下ではソーシャルディスタンス確保に向け、より実現へ世論が高まっている。
特に全国知事会・市長会・町村長会は共同で「新しい時代の学びの環境整備に向けた緊急提言」を発表し、少人数学級実現と教員の確保を提唱したことも記憶に新しい。

全国市長会の一員でもある市長はこのような要望についてどう認識するか。

教育再生実行会議で萩生田文科大臣も来年度から段階的な実現に向けて予算を投じるとしている。
さいたま市においてもその実現には課題が多いが、一クラス30人以下とすると新たに増える学級数や必要な教員増員数や予算額はどの程度か。

加えて校舎拡張に向けて土地も必要になるが、これらの課題に対して市はどのように考えるか。

質問への回答

真々田都市戦略本部長は、同提言は今後予想される感染拡大時においても子供達の学びを保証するべく距離確保のためにも教員増強を要請するものと回答した。

高崎副教育長からも回答。

今年度基準で1学級29人以下とした場合、新たに増える学級数は小学校で455、中学校で263となる。
必要となる教員数は、小学校で518、中学校で390人。財政負担は人件費のみだと年間62億円に及ぶ。

施設面でもその対応は難しい状況だが、課題解決のために様々な対応を検討する必要がある。

少人数学級の実現は国の根幹たる基盤整備につき、引き続き国に対して要望していくとともに、教育委員会としてスクールアシスタントの活用なども引き続き実施していく。

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